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赤ちゃんに感染するリスクも!妊娠中に注意したい性感染症11

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alexkich/gettyimages

妊娠中に注意が必要な性感染症は数多くあります。でも、ママが自分で予防や対処ができる感染症ですから、妊娠・出産や赤ちゃんへの影響をきちんと理解し、覚えておくことが大切です。今回は、主に接触感染する11個の感染症について、産婦人科医の小川隆吉先生に教えていただきました。

【1】性器ヘルペス

性器ヘルペスは、セックスで感染し、分娩時に赤ちゃんに感染してしまうと重篤な症状を引き起こす病気。免疫力が低下したときに再発することもあるので、疲労をため込まないことが大事です。

★主な症状  
・発熱や頭痛
・外陰部に水疱・痛み※

※感染後、外陰部に小さな水疱ができ、それがつぶれて潰瘍になり、かさぶたになって治ります。水疱がつぶれると、排尿や歩行も難しいほどの激痛を伴うことも。

★妊娠・出産への影響
出産の段階で発疹が出ていると、産道で赤ちゃんに感染する可能性があるので、帝王切開によるお産になります。

★赤ちゃんへの影響
分娩時に赤ちゃんが産道感染すると、全身に重いヘルペス症状を発症することも。高熱のため口から栄養をとれなくなったり、脳炎などの深刻な状態に陥ることもあります。

★治療法
抗ウイルス薬の軟こうを1~2週間ほど塗ることで治療します。お産直前で早期完治を要する場合や、頭痛などの症状があるときは、内服薬の処方や注射を行う場合も。

【2】淋病

淋病(りんびょう)は、コンドーム不使用での性交渉などが原因で感染します。抗生物質で治療すれば完治しますが、放置すると不妊症の原因になることも。

★主な症状  
・おりものの増加※

※女性は、おりものの増加程度の軽い症状しかないので、気がつかないことも。進行すると、排尿時痛や白濁尿が見られる場合もあります。男性は、激しい痛みを伴う尿道炎を起こしやすいので、気がつくことが多いようです。

★妊娠・出産への影響
悪化して子宮頸管炎を発症すると、破水や早産を引き起こす心配もありますが、投薬治療を受けていれば、まず問題ないでしょう。

★赤ちゃんへの影響
分娩時に赤ちゃんが感染してしまうと、結膜炎を起こす心配があり、目やにが多くなるので、出生直後から点眼薬で治療します。

★治療法
ペニシリン系の抗生物質を注射するか、1~2週間ほど服用すれば、完治します。

【3】クラミジア

10代後半からの感染者が増加している性感染症。コンドームを使用しないセックスが、感染の原因です。男性にも尿道炎などの症状が現れますので、ママが無症状でもパートナーに自覚症状があったら一緒に受診しましょう。

★主な症状  
・おりものの増加、不正出血など※

※自覚症状がないまま進行してしまうケースも少なくありません。慢性化すると、発熱や子宮・卵管の癒着などが起きる例もあり、不妊症や異所性妊娠の原因になることも。男性は、尿道炎に伴い分泌物が出ることがあります。

★妊娠・出産への影響
炎症が赤ちゃんを包む卵膜にまで及んだ場合、破水を起こし早産の原因になることもあります。

★赤ちゃんへの影響
分娩時に産道で赤ちゃんが感染してしまうと、結膜炎や肺炎を起こす心配があります。お産までに確実に治しておくことが大切です。

★治療法
赤ちゃんに影響しない抗生物質を内服します。

【4】サイトメガロウイルス

妊娠中に初めて感染した場合は、赤ちゃんにまれに影響する心配があります。性行為や接触など、さまざまな感染ルートでうつってしまうので、抗体がない人は注意が必要です。とくに上の子がいる場合、だ液から感染するのでキスやスプーンを共有するなどは控えて。

★主な症状  
・軽い発熱※

※軽い風邪程度の微熱くらいしかなく、その後は抗体ができてかかりにくくなります。30年前までは、日本女性の抗体保有率が95%と高かったのですが、最近は65%くらいに下がり、妊娠中に初感染する人も増える傾向にあります。

★妊娠・出産への影響
影響のないケースがほとんどです。

★赤ちゃんへの影響
赤ちゃんの脳が発達している段階でママが初感染すると、ごくまれに小頭症や難聴、精神発育障害などの症状が出る先天性サイトメガロウイルス感染症を発症する例もあります。

★治療法
症状があっても軽く、1週間ほどで完治するため、治療薬はとくにありません。

【5】梅毒

梅毒(ばいどく)は感染力が強く、性行為でうつります。赤ちゃんに胎内感染する恐れもありますが、妊娠中は初期の血液検査で感染の有無が判明するため、すぐに治療を受ければ大丈夫です。

★主な症状  
・外陰部に発疹※

※発疹のほか、足のつけ根のリンパ節が腫れるなどの症状も。ただし、感染直後は痛みやかゆみなどの自覚症状がないこともあります。治療せず放置すると、全身に赤い発疹が現れ、数年後には脳や神経系にまで影響が及びます。

★妊娠・出産への影響
妊娠初期に血液検査で調べるので、早期発見して治療を始めれば問題ありません。中期以降の感染では、早産の原因になる心配も。

★赤ちゃんへの影響
赤ちゃんが胎内感染すると、先天性梅毒といって、骨や歯にトラブルが生じるなどの影響があります。ただし、妊娠初期の胎盤が完成する前に治しておけば、ほぼ影響はなくなります。

★治療法
ペニシリン系の抗生物質が処方されます。

【6】成人T細胞白血病(ATL)

母子感染以外では、性行為などでうつることも。赤ちゃんが感染すると、将来白血病にかかる恐れがあります。経母乳感染の予防法は、凍結母乳や短期母乳、ミルクだけで育てるなどいろいろあるので、産院で相談を。

★主な症状  
赤ちゃんが誕生前後に感染したとしても、約40年以上経過してから、2~5%の確率で発症します。発症後は白血病にかかりやすくなりますが、それまでは無症状で経過します。

★妊娠・出産への影響
とくに影響はありません。

★赤ちゃんへの影響
とくに予防策をとらなかった場合は、胎内感染や経母乳感染により、15~30%の頻度で赤ちゃんがキャリアーになるといわれています。

★治療法
数十年後の将来、白血病を発症した場合は抗がん剤投与などを行いますが、病状が重い例では、確実な治療法は確立されていません。

【7】尖圭コンジローム

尖圭(せんけい)コンジロームは、とがったいぼ状の小さな発疹がたくさんできるので、見た目でわかる性感染症。指先に触れるなどして見つけたら、早急に受診を。

★主な症状  
外陰部や腟などにいぼ※

※感染して2~3カ月経過すると、外陰部や腟などに、カリフラワー状のとがったいぼのようなブツブツができます。異物感程度で、痛みやかゆみなどの症状を伴わないことも。

★妊娠・出産への影響
影響のないケースがほとんどです。

★赤ちゃんへの影響
産道で感染すると、赤ちゃんの細いのどにいぼ(咽頭乳頭腫)ができ、呼吸困難を起こす可能性があります。ただし、いぼが相当広範囲にできていなければ、帝王切開は行いません。

★治療法
レーザーや電気メス、液体窒素などを用い、除去手術を行います。

【8】トリコモナス腟炎

トリコモナス腟炎は、トリコモナス原虫という微生物が原因の性感染症。妊娠・出産や赤ちゃんへの影響はありませんが、腟内の自浄作用が低下する妊娠中は、普段より感染しやすくなるので注意を。

★主な症状  
・おりものの異常※

※トリコモナス特有の、悪臭を伴う黄緑がかった泡状のおりものが増えることも。腟や外陰部に炎症が起こり、悪化するとかゆみを通り越して痛みが出やすくなります。排尿時痛や歩行時にすれて痛むなどの症状も見られます。

★妊娠・出産への影響
とくに影響はありません。

★赤ちゃんへの影響
感染する心配はありません。

★治療法
治療薬は、内服薬と腟坐薬の2つのタイプがあります。赤ちゃんへの影響を考え、腟坐薬を使用します。10日~2週間ほどで完治できます。

【9】エイズ

エイズは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染で起こります。複数の相手との性行為を避け、コンドームを使うなどの予防を心がければ、通常の日常生活では感染の心配はありません。

★主な症状  
・発熱
・全身のだるさ※

※感染すると、発熱や全身倦怠(けんたい)感などの症状が数週間続いて治まり、その後潜伏期間に入ります。発病する時期には、半年から十数年後までと個人差があります。発病すると、著しい免疫力低下が見られ、病状が進行していきます。

★妊娠・出産への影響
産道で赤ちゃんに感染するのを防ぐために、帝王切開のお産になります。ただ、妊娠により母体の発病や進行が早まる傾向があり、妊娠継続が可能かどうかが検討されることもあります。

★赤ちゃんへの影響
母子感染すると、赤ちゃんはエイズのキャリアーになります。

★治療法
確実な治療法は確立されていませんが、薬の開発研究も進められており、抗エイズ薬などによって進行を遅らせたり、母子感染率を減少させたりすることが可能です。

【10】B型肝炎

B型肝炎は、成人後に肝臓の病気を発症する可能性を持つ感染症。主な感染経路は出産時の母子感染ですが、性行為などによって感染することもあります。キャリアーのママから生まれた赤ちゃんは、定期的にワクチン接種を行うなどの予防措置が必要です。ママも定期的に健康診断を受け、病気の発症を予防していきます。

★主な症状  
出生前後に感染した赤ちゃんは、B型肝炎のキャリアーになります。数十年経過すると、過労などにより肝炎を発症し、食欲不振や倦怠感などが現れることも。また、まれに肝硬変や肝臓がんの原因となる場合があります。

★妊娠・出産への影響
影響することはないでしょう。

★赤ちゃんへの影響
ママがキャリアーの場合、赤ちゃんは出生直後に検査を受け、ワクチン接種などの感染予防をします。胎内感染していない場合、生後半年までにワクチン接種を行い、キャリアーになるのを防ぎます。

★治療法
現段階ではB型肝炎の抗ウイルス剤がないので、肝臓の状態が悪くなった場合、肝臓を守る薬の投与などで対症療法を行います。

【11】C型肝炎

C型肝炎の多くは手術や入院時の輸血、注射針による感染で、ごくまれに性行為や出産時に母子感染することが考えられます。キャリアーは、将来、慢性肝炎から肝硬変や肝臓がんに移行する可能性がありますが、ウイルスの型によっては、治療薬が有効なケースもあります。内科の定期検診は必ず受けましょう。

★主な症状  
普段は症状はありませんが、産後に肝機能障害を起こすことがあります。また、C型肝炎キャリアーの人は、将来、慢性肝炎を発症する確率が高くなって、一部ウイルスの型によっては重篤化しやすくなるとの報告があります。

★妊娠・出産への影響
影響することはないでしょう。

★赤ちゃんへの影響
母子感染は約5%の赤ちゃんに起こるといわれています。そのうち約半数は将来的には治る一過性感染で、一方、残りの半数はその後も感染状態が続く持続性感染とされています。

★治療法
特効薬はまだありません。慢性肝炎などの治療としては、妊娠していないときには、インターフェロンの注射や内服薬を使用します。

セックスなど主に接触感染による感染症は、ママ自身で予防や対処ができるものです。妊娠中のセックスではコンドームを使うなどの予防を心がけましょう。パートナーにもコンドーム使用の重要性を説明し、協力してもらって。また、もしも感染したら、夫婦一緒に治療することが必要です。(文・たまごクラブ編集部)

■監修:小川クリニック 院長 小川隆吉先生
日本医科大学卒業。同大学産婦人科講師、都立築地産院産婦人科医長を経て、1995年より現職。セックスカウンセラーセラピスト協会会員、日本不妊学会会員。

■参考:たまひよブックス「いつでもどこでもHAPPY妊娠・出産ガイドBOOK」(ベネッセコーポレーション刊)

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