[産後~育児]昔と違う今の常識★親世代とのギャップを産婦人科医、小児科医に聞きました
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妊娠・出産・育児の常識は、時代とともに移り変わっています。ばあば・じいじが子育てをしたころと今の違いについて、産婦人科医の山下隆博先生、小児科医の浦島崇先生に解説していただきました。
今回は、産後の生活・育児について、ママ・パパと祖父母が感じたギャップを”あるある”が多いものから紹介します。
母乳の出をよくするためには、おもちがいいの?
昔:母乳を出すには、おもちがいい
今:バランスよく食べ、水分をとる
「おもちは手軽なエネルギー源のため、母乳がよく出る食べ物として言い伝えられてきましたが、医学的根拠はなし。母乳の出をよくするためには、バランスのとれた食事と水分をしっかりとることに、そして赤ちゃんに頻回に乳首を吸わせることが大切です」(山下先生・以下同)
心が強ければ、マタニティブルーズにならないの?
昔:心が強ければ、ならないと考える人も
今:心の強さは関係なく、だれにでも起こるもの
「昔はまだマタニティブルーズの研究が進んでいなかったこともあり、心の弱さが原因と考えられたのかもしれません。マタニティブルーズは、産後のホルモン量の変化に、睡眠不足による自律神経の乱れ、慣れない育児への不安などが重なって起こるもの。心の強さは関係なく、だれにでも起こる可能性があります。家族の理解と協力も必要です」
おふろ上がりの水分補給に、湯冷ましは必要?
昔:湯冷ましを飲ませる
今:母乳やミルクを飲ませる
「赤ちゃんも大人と同じようにおふろ上がりにはのどが渇くので、湯冷ましを飲ませる考えが一般的でした。今は、離乳食開始前の赤ちゃんには、母乳・ミルク以外は飲ませなくていいという考え方になっています。離乳食開始後は、湯冷ましや麦茶を飲ませてもOKです」(浦島先生・以下同)
母乳で授乳後、泣いていたらミルクをたす?
昔:泣いているときはミルクをたす
今:必ずしもミルクをたす必要はない
「昔は、授乳後に泣くのは母乳がたりていないからと考えられ、母乳よりミルクが優れているとも考えられていました。今は、赤ちゃんにとって最も優れた栄養は、母乳と考えられています。ミルクをたすかどうかは、体重の増え方やおしっこの量などで総合的に判断します」
生後3カ月くらいから、離乳食準備として果汁をあげる?
昔:果汁を与えて慣らす
今:あえて果汁を与える必要はない
「離乳食準備で、生後3~4カ月に薄めた果汁やスープを飲ませていた時代があり、母子健康手帳にも推奨する文章がありました。2008年、『離乳食開始前に果汁を与えることに栄養学的な意味はない』とし、推奨する文章が母子健康手帳から削除されました。そのため、あえて与える必要はありません」
産後の生活、育児の常識について、時代とともに医学や研究の進歩で変わってきました。今と昔の背景を理解して、家族みんなで快適な妊娠・育児生活を過ごしてください。(文・たまごクラブ編集部)
■監修:総合母子保健センター 愛育病院
産婦人科部長 山下隆博先生
小児科部長 浦島 崇先生
■参考:『たまごクラブ』2018年10月号「保存版Babyを心待ちにしているNEWばあば・じいじ読本 妊娠 出産 育児 今の常識をオール解説!」