妊娠しても“つわりがない”けどこれでいいの?つわりがない人の理由と注意点
赤ちゃんの心拍が確認できたのにつわりの症状が現れないと、「赤ちゃんは元気なの?」と心配になりますよね。でも、つわりを妊娠中一度も経験しないママや、ごく軽い症状で終わるママもいます。珍しいことではありません。「でもどうしてないの?」。つわりがないママのギモンや気になることを、愛育病院(神奈川県)の助産師・松藤美穂さんに聞きました。
約2割のママはつわりがありません
妊娠すると、8割以上のママがつわりを経験しますが、逆にいえば、約2割のママはつわりがありません。その理由は、そもそもつわりが起きる原因がはっきりとわかっていないため、医学的に解明されていないのが現状です。
そもそもつわりの原因は?
つわりの原因は、はっきりとわかっていませんが、妊娠初期に胎盤からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが大量に分泌されることで、ママの体が急激な変化に対応できないからと考えられています。実際、hCGのレベルが高い人は、つわりがひどい傾向があります。また、黄体ホルモンの分泌が増えると高温期が続いたり、腸管の動きが悪くなり便秘やむかむかする症状が起きやすくなるから、ともいわれています。ほかにも、ビタミン不足による代謝障害、血糖の変動、精神的な影響など、さまざまな説がいわれています。
気づいていないだけかも
「つわりがない」と思っていても、実際はママが気づいていないということもあります。つわりの症状は「気持ち悪い」だけではありません。症状や度合いはさまざま。また、仕事などに集中しているとつわりの症状に気づきにくかったり、妊娠前から日常的に体調がよくなかった人は違いがわかりづらいこともあるようです。
<先輩ママのつわりの症状>
1位 だるい・眠い 45%
2位 においに敏感 43%
3位 ムカムカして気持ち悪い 29%
食べづわり 29%
5位 偏食 25%
6位 時々吐く 22%
7位 1日何度も吐く 22%
8位 頭痛 20%
ほかにも、唾液(だえき)が増える、食べ物の好みが変わる、眠れないなどさまざまな症状があります
※複数回答。たまひよアンケート2017年2月実施の結果より
これから出るのかも
つわりの多くが妊娠5~6週で始まり、16週ごろまでに終わりますが、症状が出る時期には個人差があります。本に書かれていることや先輩ママと違うからといって、気にすることはないですよ。
「つわりがない=流産」はウソ
「いつまでもつわりがないから流産しているのではないか」と心配になるママもいます。でも、つわりがある/なしで、流産の確率が高くなったり低くなったりはしません。妊娠初期の流産は胎児の遺伝子に問題があることが多く、つわりにかかわらず確率としてはだれにでも起こりうることなのです。
ただ、「妊娠が判明したころはつわりがあったのに急に症状が消えた」という場合は、稽留流産(自覚症状がなくおなかの中で赤ちゃんが死亡している状態)の可能性も否定できません。妊婦健診で異常がなければ心配ありませんが、不安なときは産院に連絡してみましょう。
つわりがなくても「妊娠中」です!
つわりがなくても赤ちゃんの成長に何の心配もいりませんが、普段どおりの生活が送れることで「妊娠中」という意識が芽生えにくいママもいます。つわりがないからこそ、早い段階から赤ちゃんのことを思って、いろいろと気をつけてあげられるといいですね。
<こんなことを意識しよう>
●からだを冷やさないようにする(服装、食べ物に気をつける)
●転倒しづらいローヒールの靴をはく
●栄養バランスのとれた食事をとる
●むやみに人ごみに行かない(感染症予防)
●激しい運動をしない
●タバコ、お酒をやめる
「私もなかった!」「今思えばあれがつわり」 先輩ママ体験談
「私は一人目も二人目もつわりがとても軽く、二人目に至っては『つわりって何?』状態でした。自覚症状がないので、健診と健診の間がとても不安でしたが、ちゃんと無事に生まれましたよ!」
「初めての妊娠で、現在3ヶ月です。先日母子手帳をもらいましたが、つわりがなく、本当に育ってくれているのか不安になります」
「私は第1子が食べづわり、現在第2子妊娠中ですが食べづわりもほぼないぐらい普通に過ごしてます。助産師さんから言わせるとない方が良いよって言われました。それでも4歳の娘はとっても健康ですし、現在妊娠7ヶ月ですが順調に育っています」
「妊娠5週の高年初産婦です。胎囊(たいのう)は確認済みで、月末の健診で心拍確認予定です。つわりがほぼなく、本当に赤ちゃんが育ってるのか不安になります。ひどい腹痛や出血がないのできっと大丈夫だと思うようにしてますが、次の健診までの時間が長い…。こんなに月日がたつのが遅く思えるのは初めてです」
「一人目のときも今回も、においに敏感になることもなければ気分が悪くなることもなく過ごしました。なんでもおいしく食べられるため、体重が減ることは一度もなく、右肩上がり…。いつ、あの『おえーー』ってのがくるの??!とドキドキして過ごしましたが、結局何もないまま出産。つわりがひどかった友人からは、めちゃくちゃうらやましがられました(^◇^;)。第1子はすくすく育って1歳半、第2子もとても順調ですよ☆」
「結局つわりがどんなものかよくわからなかったので、なかったほうだと思いますが、妊娠中に回転ずしのシーチキンが好きになってそればかり食べていたことは、つわりに入るのかな?」
「つわりはなかったというか、気持ち悪いとか苦手なにおいがまったくありませんでした。でも今思えば、初期にすごく体重が増えてしかられたので、食べつわりだったのかなと思います」
「1人目のとき、まーったくつわりはありませんでした。不謹慎ですが、つわりでやせるというのをちょっぴり期待していたのですが、これっぽっちもつわりがなく、順調に体重増えましたね」
「1人目はつわりがなく超元気妊婦でしたが、二人目は妊娠悪阻(にんしんおそ)で6kg減。点滴治療をしました」
「つわりは、まったくなく人生でいちばん快適でした。妊娠前の方が、月の半分ぐらいつわりのような症状が続いて不快です。思うに、私は低温期と高温期で、高温期のほうが体調がよいので、その状態がずっと続くのが最高だったのかも」
「一人目はつわりというつわりはまったくありませんでした。眠くなったり、胸が張ったりはありましたが…。三人目の今、7週ぐらいから胃のムカムカや、味覚の変化が出てきました。徐々にきつくなってきて、13週ごろになんとか落ち着いてきました。」
「つわりは赤ちゃんが元気な証拠」というフレーズは、つわりがつらいママを励ますための言葉。「つわりがない=赤ちゃんが元気じゃない」という意味ではありません。妊娠初期はおなかの赤ちゃんが成長するための大切な時期です。つわりがないことにストレスを感じるなんてもったいない! 早い段階からバランスのとれた食事をとれたり、赤ちゃん優先の生活ができるのです。「つわりがなくてラッキー」というくらいの気持ちで、快適なマタニティライフを楽しんでいきましょう。
(文/大部陽子、たまごクラブ編集部)
監修/愛育会 愛育病院(神奈川県) 助産師・病棟師長 松藤美穂さん
■文中のコメントは口コミサイト『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。
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