つわりに罪悪感を持たないで! 3児のママ女医からのエール
今回のテーマは「つわり」です。先日、出産経験のある方たちの座談会で、「つわりさえなければ、もう1人産みたかった」という声を複数聞きました。それだけ、つわりは妊娠中の悩みの中でも大きなものなっているといえそうですね。
今回は口コミサイト「ウィメンズパーク」に寄せられた、つわりに悩むママの声とともに、日本赤十字社医療センター第一産婦人科部長の木戸道子先生からのアドバイスを紹介します。
何もできない自分に心が折れそう
まずは、つわりの現状と、どう乗り切っているのか、ママたちの声は…
食べると、すぐに吐いてしまう
「今7週目なのですが、つわりが本格化してきました。1人目の時もつわりが辛く、2人目に踏み切るまでに6年かかっています。意を決して妊活しましたが、やっぱりツライ…。
四六時中の強い吐き気と、1日10回近くの嘔吐。全く食べられないわけではなく、アッサリしたものを食べてる瞬間は、吐き気が若干収まります。でも食べ終わるとまたすぐに吐き気が。
空腹でも吐き気は強まり、吐きやすいものを選んで食べるようにしています。
家事もほとんどできず、掃除もしたいのに体は動かず。汚れていく家を見つめながら、ソファーで横になってばかりで嫌になります。
夫も気遣ってくれますが、普段家事を全くやらない人なので、なかなか手も行き届きません。
これからピークかと思うと恐ろしく、終わりも見えない状態です」
食べづわり・吐きづわり・匂いつわり・喉つわりでした
「私も6週目からつわりが始まり、食べづわり・吐きづわり・匂いつわり・喉つわりを経験しました。あの辛さは、本人にしかわからない辛さです。
先が見えず、毎日が苦痛で妊婦をやめたいと思ったり、精神的にもやられてました。あまりのひどさから実家に戻り、立ち仕事だった接客業は続けることができず、毎日何もできずに、ただひたすら耐える日々でした。
今、臨月の私は2人目のことは考えられません。でも母親はお腹の中で命を育てているわけですから、他に何もできなくても、それだけで立派なことと思っています」
つわりで体重がかなり減ってしまいました
「現在、2回目の妊娠10週目。前回もつわりがひどく、梨とビスコで生き延び、一時は体重−10kgにまでなりました。
今回は食べづわり・匂いつわり・咳つわりで−5kgです。フルタイムで働いているので、仕事中はゼリー飲料やウエハースを食べながらやり過ごしています。
家に帰ると胃液を吐かないといられません。お風呂に入ってから寝るまでが一番酷いですね。お風呂のお湯の匂いでも気持ち悪くなります。吐いた直後はスッキリするんですが、おなかが少しでもへるとダメです。仕事をしていたり、外で誰かに会っていたりすると気が紛れますね。そうやって、気を紛らわしながら、もう少し頑張ります!」
何もできなくて、心が折れそうです
「私も2人目を妊娠中で、先週からつわりが悪化し、今は気持ち悪くて料理や掃除もできず、子どもの遊び相手もできない状態です。少し動いただけで動悸がして、常にムカムカしてソファーで寝てばかりです。妊娠したらつわりがあることはわかってたのに、実際その状況になると心が折れそうなくらい辛いです…。
今は割り切るしかないと思っています。たまに調子がいい時に一カ所だけ掃除するとか、料理は惣菜などを使ってやり過ごそうと思っています。
5歳の上の子がかわいそうですが、私が体調悪いことはわかっていて無理を言ってくることはあまりないです。辛い時は最低限、自分のことだけをして。あとは休みましょう!」
産婦人科医師からのアドバイス
寄せられた声を読むと、つわりの症状が重くて本当に辛そうです。そんな時期に、どのように過ごすといいのか、産婦人科医の木戸道子先生はこうアドバイスします。
「つわりはまったく症状がない場合から入院が必要なほど重い場合まで、かなり個人差があります。
辛さを周囲に理解してもらえないと余計しんどいですね。ただ症状には波があり、少しでも『食べられるかも』という気分になった時に、食べやすいものを口にしてみるのがおすすめです。
赤ちゃんのために栄養を摂らなければ、と焦って無理に食べる必要はありません。水分も受け付けないほどの場合は点滴で水分補給をすることもありますが、『これなら何とか飲める、口にできる』というものを少量でも摂取し、なるべく横になって心身ゆっくり休むことが大切です。
『梨とビスコなら何とか口にできた』と体験談にもありますが、湯気の立たないくらい冷ましたものや果物、パサついたものは割合食べやすいものです。
私もつわりの時は『バナナとメロンパン』ならOKでした。自分なりの『これなら食べられる!』というものにいろいろとトライしてみてはいかがでしょうか」
――「これなら」というものを見つけるといいのですね。
「はい。つわりは妊娠3カ月頃がピークで、良くなったかと思うと、またぶり返すこともありますが、胎盤ができあがってくる5カ月に入るとほとんどの場合、おさまってきます。
命を育んでいることに誇りを持って、家庭や職場で周囲に気を遣いすぎないように過ごすことも大切です。
家事についても手作りの料理などにこだわらず、この時期は惣菜やテイクアウト、宅配食材などを上手に利用するのも一手です。
働く妊婦さんの場合、母性健康連絡カードを活用して、勤務の軽減や通勤緩和などの制度を利用できますので、症状が辛い場合は産科で相談してみましょう」
つわりの時期はとにかく無理をせずに、できることだけをやって過ごしていくしかないのですね。自分なりに少しでも快適でいられる方法を見つけて、乗り切ってほしいと思います。(文・橋本真理子)
お話を伺ったのは…木戸道子先生
日本赤十字社医療センター 第一産婦人科部長。年間3000件近くの出産を扱う病院に勤務し、母子の健やかな出産を応援している。みずから3人の男の子を育てた経験からも、妊産婦、働く女性に親身なアドバイスを行っている。
■文中のコメントは『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。