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子どもを言葉の暴力で傷つけないために、イラっとしたら「6秒マジック」【専門家】

疲れた母に喧嘩を持つ子供たち
※写真はイメージです
Prostock-Studio/gettyimages

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、1年以上にわたって続いている自粛生活。家庭においても「子どもが感染しないか」「自分が感染してしまったら…」などの不安や心配が絶えず、「3食のごはん作りがしんどい」「テレワーク中に子どもが家にいると仕事が手につかない」などの疲れやつらさが、ママやパパを襲っているかもしれません。

このような負の感情は、イライラや怒りに結びつきやすく、抑え込もうとするほど怒りの感情が抑えきれなくなり、大爆発を起こしてしまうことも。そのような事態を防ぐためにはどうしたらいいのか、日本アンガーマネジメント協会の講師、小尻美奈さんに話を聞きました。

イライラや怒りを上手に表現するには

アンガーマネジメントの観点からすれば、「親が子に対してイライラしてしまうのは、自然な感情であり、その感情を抱くこと自体は悪いことではない」といいます。でも、その表現が適切でなければ、さらに悪い事態を引き起こしてしまうというのです。

――親のイライラや怒りの表現として、適切ではない言動とはどのようなものですか?

小尻さん(以下敬称略) たとえば、子どもに向かって「お前なんか消えろ」とか、「出ていきなさい!」とか、「バカなのー!」といった子どもを傷つけるような言葉をぶつけてしまったら、それは適切な表現ではないですよね。

なぐるとかたたくとかつねるとか、そういった身体的な暴力や、「頭悪い」「ダメな子!」といった人格否定にあたるような言葉の暴力、逆に、ずっと口をきかない、無視するといった精神的な暴力。これらの暴力で怒りを表現するのは、まったく適切ではないですよね。

――それなら、怒りを子どもにぶつけないようにすればいいのでしょうか?

小尻 そう考えて、子どもにぶつけないようにしようと、クッションやその辺にあるものを投げたり蹴ったりして、物に当たっている人もいますよね。やはり、これも適切ではないです。これらの怒りの表現では、怒りのもととなった「伝えたいこと」がまったく表現されていませんよね。

――たしかに、暴力をふるったり、物にあたったりしても、何にイライラや怒りを感じているのか、子どもにはまったくわかりません…。

イライラや怒りを感じたら、まずは自分の怒りのもとになっているものにしっかりと向き合って、「怒る必要のあることなのか」「怒る必要のないことなのか」を冷静に選別する必要があります。そして、「怒る必要のあること」のみ子どもに伝えるようにすれば、ママやパパもイライラに振り回されることがなくなり、後悔しない怒り方ができるようになります。

「イライラを落ち着かせる」マジック3

――イライラや怒りを感じても、それをすぐさま暴力的な言動で表現するべきではないことは理解できました。とはいえ、カーッとなってしまったら、自分の怒りのもとに冷静に向き合うのは難しそうです。衝動的な怒りを感じたら、まずどうしたらいいのでしょうか?

小尻 イラっとしたり、衝動的な怒りを覚えたら、とにかく「6秒」待ってみましょう。なぜ「6秒待つ」のかというと、怒りがわき上がってきたときに、つい何かを言ったりやったりすると、上手に怒れないからです。6秒やり過ごすことで理性が働くので、「怒るべきか、怒らなくていいか」といった冷静な判断や、「どんなふうに伝えるか、どういう行動を取ればよりよい状況になるか」といった理性的な行動をとることできるんです。

――6秒待つだけなら簡単そうに思えますが、頭に血が上ってしまうと、それさえも忘れてしまいそうです(笑)

小尻 そうですよね。いざとなると「6秒待つ」こともできなくなってしまうのが衝動的な怒りというものだと思います。そこで、親子で6秒やり過ごすための方法として「6秒マジック」というものをご紹介します。小さな子どももできるマジックを3つ紹介しますので、ぜひ試してみてください。

【1】スーハ―深呼吸

息(呼吸)には自分の心の状態が現れます。イライラしているときには、呼吸も速く、浅く、荒くなり、気持ちが落ち着いているときは、深い呼吸で体もリラックスしています。このように、呼吸と心の状態は影響し合っているため、呼吸を整えることで、体と心を緩めて落ち着かせることができます。
呼吸を整える最も簡単な方法は、深呼吸です。深呼吸は1回するだけでも約12秒かかるため、それだけですでに怒りが落ち着く6秒間をやり過ごせることになります。
子ども用には、風船や吹き戻しがついたピロピロ笛など、吸ったり吐いたりする行為を視覚的に体感できるものを用意してみましょう。

【2】落ち着く「呪文を唱えよう」

イラっとして、つい子どもを感情的に怒ってしまいそうになったら、自分を落ち着かせる「呪文」を唱えましょう6秒間をやり過ごし、イライラをクールダウンすることができます。呪文は、誰かを傷つけるような言葉でなければ、どんな呪文でもOK。「気にしない、気にしない」「相手は子ども、まだまだ2歳」など、気持ちがホッとするようなものを唱えてみましょう。シチュエーション別に、いくつか用意しておくのもおすすめです。
また、子ども用の呪文も作ってみましょう。好きな食べ物など、声に出して言ったり、思い浮かべたりするとうれしい気持ちや楽しい気持ちになる呪文を親子で一緒に唱えてみましょう。

【3】その場クギづけ作戦

この方法は、「今この瞬間」に意識を集中させることで、イライラそのものや、イライラの増幅、怒りの暴走を防ぎます。屋内でも屋外でも、そのとき目に留まった物に意識を集中して、形や色、傷や汚れ、模様や文字など隅々までこまかく観察します。そうすることで6秒間をやり過ごし、冷静さを取り戻すことができます。
たとえば、子どもと一緒に公園にいるときだったら、「あ、かたつむりがいる。かたつむりってこんなふうに渦巻いているんだね。角(つの)が出てきた!かたつむりが乗っているアジサイの葉っぱって、縁がギザギザだね」という感じに、なんでもいいので実況中継してみてください。
目の前にあるものについてていねいに語りかけることで、イライラの気持ちをそらし、クールダウンできます。


取材・文/ひよこクラブ編集部

お話・監修/小尻美奈さん

いつも笑顔でいたいと思っていても、子育てに真剣に取り組んでいるからこそ、子どもにイライラしたり怒ったりしてしまうようです。
子どもにイライラや怒りを感じたら、まずは「6秒マジック」で一度冷静になって、子どもの何にイライラや怒りを感じているのか、落ち着いて見つめるところから始めてみましょう。

ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント

大事なのは怒らないことではなく、「後悔しない怒り方」ができること。怒りの感情と上手につきあうためのアンガーマネジメントのトレーニングを、家庭で手軽にできる「35のスキル(マジック)」として紹介。(翔泳社)

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