真夏の授乳・赤ちゃんの水分補給 やりがちNG行動&基本【保健師が解説】
気象庁の2月24日の発表(全国 暖候期予報(06月~08月))によると、2021年の夏も平年並みか平年以上の気温になるとの予測だそうです。今夏も暑くなりそうです。たくさん汗をかく夏は、大人はもちろん、赤ちゃんにもこまめな水分補給が大切です。赤ちゃんを脱水にさせないためのお世話のポイントを、ママ保健師の中村真奈美先生に聞きました。
夏の授乳・水分補給でやりがちなNGはコレ!
ダメだということを知らないと、ついやってしまいがちな、夏の水分補給に関するNG行動とその正解を紹介します。本格的な夏が来る前に、しっかり予習しておきましょう。
【やりがちNG・ 1】授乳・水分補給をすることを後回しにする
外出中など、授乳の時間が来ても「もうすぐ用事が終わるから、家に帰ってからにしよう」などと遅らせることはありませんか。実はこれ、NG行動のひとつだそうです。
「たくさん汗をかく夏は、脱水や熱中症を防ぐため、いつも以上に水分補給をする必要があります。授乳のリズムをしっかり守ることはもちろん、大人ののどが渇くタイミングを目安に赤ちゃんにも水分補給をしましょう。
また、母乳をあげているママは、体の水分が失われがち。水分不足になることで、母乳の出にも影響があります。暑い時期は、ママ自身もいつも以上に水分補給を気にしてください」(中村先生)
【やりがちNG ・2】冷やしたミルクを飲ませる
暑いときは冷たいもののほうがおいしく飲めると思い、ミルクを冷やして飲ませるママやパパがときどきいるようですが、これもNG!
「赤ちゃんは体温調節機能が未発達です。大人が冷たいと感じるほどのミルクは体を冷やす恐れがあり、胃腸に負担もかかります。冷蔵庫や保冷剤でミルクを冷やすのは避けましょう」(中村先生)
【やりがちNG ・3】ベビー用ジュースやベビー用イオン飲料を常飲させる
麦茶や湯冷ましを嫌がるので、水分補給として甘いジュースを飲ませているというママやパパの声をときどき聞きます。これは何がNGなのでしょうか?
「ジュースは時々の楽しみとして飲ませるのはいいですが、満腹感が出て、母乳・ミルクや離乳食の量に影響が出ることがあります。また、何度も味を経験させると麦茶など甘くない飲み物を飲まなくなることもあります。量と頻度の両方で飲ませすぎには注意しましょう。飲ませる場合は、商品に記載された対象月齢を確認し、月齢に合ったものを選ぶようにしましょう。
また、ベビー用イオン飲料は、発熱したときや下痢、嘔吐のときの脱水予防に効果があるものです。糖分・塩分が含まれるので、普段の水分補給には向きません」(中村先生)
夏の1日、水分補給をしたいタイミングはどんなとき?
夏の1日の中で、とくに水分補給を意識すべきタイミングはいつになるのでしょうか?中村先生によると、以下のタイミングで意識するといいそうです。
「起きたあと・離乳食時・お出かけ時や帰宅後・おふろ上がり・就寝時など、要所要所で授乳や水分補給を心がけましょう。このときに限らずとも、大人がのどが渇いたと感じるタイミングで、こまめに水分補給を意識するといいですよ。
また、離乳食スタート前の水分補給は、授乳のみが基本です。この時期でも麦茶や湯冷ましを飲めますが、麦茶などを飲みすぎて母乳・ミルクの量が減ることを防ぐため、基本的にはこの時期に飲ませるのは母乳・ミルクだけでOKです。
母乳は欲しがるだけ飲ませてよく、ミルクは、水分不足が気になる場合、規定量を多少オーバーしても大丈夫です」(中村先生)
主な飲み物、赤ちゃんが飲んでいい時期は?
飲み物に含まれる成分によって、赤ちゃんが飲んでいい時期は変わります。主な飲み物の飲んでいい時期を教えてもらいました。
中には0カ月から飲めるものもありますが、基本的に離乳食のスタート前は、母乳やミルクを飲ませるのが基本です。
●麦茶/0カ月ごろから
大人用に煮出したものは、1才6カ月ごろまで湯冷ましで薄めます。
●水道水・ミネラルウォーター/0カ月ごろから
水道水は5~6カ月ごろまでは、一度沸騰させて湯冷ましにしたものを飲ませます。ミネラルウォーターは軟水を選び、離乳完了期までは一度沸騰させましう。
●ほうじ茶・番茶・玄米茶/5~6カ月ごろから
1才6カ月ごろまでは、大人用に煮出したものは湯冷ましで薄めます。
●煎茶・緑茶・ウーロン茶/1才7カ月ごろから
カフェインが含まれるので、3才になるまではうっすら色が残る程度まで薄めます。
●牛乳/1才ごろから
1才ごろからそのまま飲めますが、普段の水分補給には向きません。
●ベビー用イオン飲料/5~6カ月ごろから
塩分が多いため普段の水分補給には向きません。脱水が気になるときに使います。
取材・文/ひよこクラブ編集部
暑い夏にとくに心配な水分補給。汗っかきな赤ちゃんは脱水になりやすいので、こまめな水分補給をとくに意識することが大切だそうです。
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参考/『ひよこクラブ』2021年7・8月合併号「夏育児のやりがちNG まんがで解説!」