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猛暑到来!子どもの水分補給、水・麦茶だけでは危ない!小児科医に聞く夏の水分補給、OK・NG

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●写真はイメージです 写真提供/ピクスタ

ここ数年、記録的猛暑が続く日本の夏。心配になるのが子どもの脱水症です。脱水症にさせないためにしっかり水分補給をしたいと思っても、子どもによっては飲み物に好き嫌いがあったり、体調によって上手に水分がとれなかったりすることもあるでしょう。
小児科医の工藤紀子先生に暑い季節に脱水症を防ぐための生活のしかたや水分補給のポイントを聞きました。

子どもが大人より脱水症になりやすいのはどうして?

●写真はイメージです 写真提供/ピクスタ

――子どもは大人よりも脱水症になるリスクが高いといわれています。なぜでしょうか?

工藤先生(以下敬称略) 体内に占める水分の割合が大人は6割なのに対し、子どもは7~8割と高いたいため脱水の影響をすぐに受けやすいんです。
さらに子どもは代謝が活発で、汗やおしっことして水分が出ていくスピードも早い一方で、腎臓の機能は未熟。大人のように水分を貯めにくいのも理由です。

それ以外にも、子どもは遊びに夢中になると、水分補給を忘れてしまうことも。赤ちゃんの場合はのどがかわいたことを言葉で伝えることもできないでしょう。赤ちゃんも子どもも、大人が注意をする必要があります。

脱水症を防ぐ、赤ちゃん・子どもの水分補給のポイントは?

「子どもの水分補給で大事なことは3つ」と工藤先生は言います。ぜひ覚えておきましょう。

【ポイント1】水分はこまめにちょこちょことる

――水分補給のタイミングを教えてください。

工藤 屋外で過ごすときは水分補給のタイミングを逃してしまいがち。15分おきを目安に、タイマー設定するなど時間を決めて飲ませるようにするといいでしょう。

ただ冷房のきいた室内では脱水症のリスクは減るので、そこまで気にしなくても問題ありません。たくさん動いたあと、外出のあとなど、のどがかわきやすいタイミングに水分をとらせるようにしましょう。

【ポイント2】3~6歳ごろの水分量は食事以外で最低500mLのペットボトル1本が目安

――1日の水分摂取量の目安はどのくらいでしょうか?

工藤 3~6歳ごろの幼稚園児であれば、食事のほかに少なくとも500mLのペットボトル1本、小学生は1~2本が目安になります。

0~1歳代の赤ちゃんは母乳やミルクからの水分摂取で十分です。離乳食が進んできたら、コップ飲みの練習として水や麦茶を食後にスプーンなどで少量ずつ飲ませてもよいですが、あくまで練習であり、無理に与える必要はありません。

1歳代後半~2歳代で離乳食が完了している場合も、母乳を飲んでいる子は母乳を好きなだけ、母乳を飲んでいない子は1kgあたり 30~50mLの水分をとるといいでしょう。

【ポイント3】体調に合わせた飲み物を与える

――子どもへの水分補給というと、砂糖の入っていないものがマスト、というイメージがあります。飲ませるのは、常に水や麦茶でいいでしょうか?

工藤 水分補給の基本は「こまめにちょこちょこ」。たしかに元気なときであれば、砂糖やカフェインが入っていない水や麦茶を飲ませるのがおすすめです。ただし、熱中症のリスクがある場合や、胃腸炎や発熱による脱水症が疑われる場合、水や麦茶だけで水分補給をしていると糖分・塩分が不足することがあります。

実際に、嘔吐下痢の症状があるお子さんの水分補給を水だけでおこなっていたら低血糖になってしまった、というケースも。
感染症などになっていて脱水症が心配なときは、糖分と塩分も補給できる経口補水液を活用しましょう。幼児期以降であれば子ども用のスポーツドリンクでも構いません。

また体調が悪く、水も経口補水液も飲みたがらない場合は、糖分を補給する意味で、少し薄めた野菜や果物のジュース、甘酒(アルコールが含まれていないもの)、乳酸菌飲料など甘い飲み物を与えてもいいでしょう。飲まないより、飲めるものを少しでも飲むことが大切です。

これも大事!暑い日は室内で楽しく過ごす

――水分補給以外で、脱水症予防のために心がけたいことはありますか?

工藤 熱中症になると脱水症のリスクも高くなります。夏場は室内環境を整え、涼しく快適に過ごせるように工夫をしてください。

住環境によってはエアコンの温度を28度に設定しても、それ以上に室温が高い場合もあります。また熱中症は湿度も大きく影響するので、室内に温度計と湿度計を設置するのがベスト。室温25~28度、湿度40~60%を目安にしましょう。赤ちゃん・子どもが過ごすことが多いスペースでの計測が大切です。

赤ちゃんの月齢別/水分補給で飲ませていいもの・ダメなもの

●写真はイメージです 写真提供/ピクスタ

――0~2歳ごろの赤ちゃんの水分補給では、飲ませていいものが限られてきます。どういった点に注意するといいでしょうか?

工藤 赤ちゃんの水分補給は、母乳とミルクが基本です。マグやコップなどで、自分で飲めるようになったら水やカフェインレスのお茶(麦茶やルイボスティー)をあげてもいいでしょう。大人用に煮出したものは、1歳6カ月ごろまでは水で薄めます。病気の際、母乳・ミルクが飲めないときは経口補水液で水分補給をします。

避けてほしいのは、暑いからと調乳したミルクを冷たくすること。ミルクは沸騰させたあとの70度以上の湯で作りますが、冷やしているうちに菌が繁殖する可能性があります。液体ミルクの場合でも、大人が冷たいと感じるほどの温度は体を冷やす恐れがあり、赤ちゃんの胃腸の負担にもなるのですすめられません。

水分補給に牛乳や炭酸水を飲ませてもいい?

――水分補給として牛乳を飲ませもいいですか?

工藤 1歳ごろからは飲み物として牛乳を飲ませることもできます。牛乳を飲むことでタンパク質、カルシウムなどが摂取できますが、鉄の吸収をそ害する働きがあるので、飲み過ぎには注意しましょう。子どもは1日500mLを超えないようにします。

牛乳は手軽に栄養が補給できるので運動後のリカバリー飲料に向いてるとの研究報告もあります。ただし水やお茶のように屋外に持っていくのは不向き。暑い中でちょこちょこ飲む、というのも衛生的におすすめできません。水分補給のため、というよりも、運動後の1杯としたり、おやつや食事のときに飲用するのがいいでしょう。

――小学生くらいになると、炭酸が好きな子も出てきます。無糖のものであれば水分補給に飲ませてもいいでしょうか?

工藤 はい。むし歯のリスクもないので「ちょこちょここまめに」飲んでも問題ありません。子どもが飲めるのであれば、水分補給として取り入れることができます。

おしっこの色がオレンジや茶色になったら、脱水症のサイン

子どもが脱水症になったときの水分補給はどのようにすればいいのでしょうか?

脱水症のサインは?

――赤ちゃん・子どもが脱水症になるとどんな症状が現れますか?

工藤 初期の段階では元気がない、ぐったりしている、機嫌が悪いという様子が見られます。
注意が必要なのは、尿の量と色の変化です。

・おしっこの回数が少ない
・おしっこをした後のおむつがいつもより軽い状態が続く
・おしっこの色が濃い(黄色よりもオレンジ色や茶色に近い)

これらは脱水症のサインです。
さらに脱水が進むと、泣いていても涙が出ない、肌が乾燥している、唇がカサカサになる、目がくぼむといった症状が現れます。赤ちゃんの場合は、頭のやわらかい部分である大泉門がへこむこともあります。

脱水症になった場合は何を飲ませるといい?

――脱水症になった際に適した飲み物について教えてください。

工藤 脱水症になったときは、水と電解質(塩分)、塩分の吸収を促す糖分を補給することが大切です。赤ちゃんには母乳・ミルクを飲ませましょう。母乳やミルクが飲めない・卒乳している場合は経口補水液を与えます。

――経口補水液が自宅にない場合はどうすればいいですか?

工藤 経口補水液は自宅でも作ることができます。水1Lに対し砂糖大さじ3~4、塩小さじ1/2を入れてよく混ぜます。お好みで、レモン汁で風味づけをしてもいいでしょう。

子どもが経口補水液を飲んでくれない場合は、りんごジュースと水を1:1で割ったものを飲ませるのも方法です。もしくは、みそ汁でも代用できます。まだみそ汁が飲めない赤ちゃんなら上ずみをあげてみてください。

水が飲めない子・水しか飲まない子の脱水症対策は?

――最近は常温の水が飲めない子が増えているというニュースが話題になっています。「水嫌い」な子はどのように対策するといいでしょうか?

工藤 私はまだ、水が飲めないというお子さんを診察したことはありませんが、小学生以降の子であれば、水しか飲めない場面もあること、身の安全のためには飲めるように練習するといいこと話してみて、少しずつ慣れていくといいでと思います。
また、水が苦手であって状況が許せば、カフェインレスの麦茶やルイボスティーで水分補給をするようにしましょう。

そして常温の水が嫌な子には、氷を与えるという方法もあります。夜尿症の子が寝る前に何か飲みたいとき、氷をあげることがありますが、口のかわきが解消されます。

脱水症予防にはこまめな水分補給プラス、「炭水化物+塩」がおすすめ

●写真はイメージです 写真提供/ピクスタ

――脱水症を防ぐために、日々の食事面で工夫をしておいたほうがいいことはありますか?

工藤 脱水症予防には、「こまめにちょこちょこ」水分をとることが第一です。そのうえで、暑い時期、レジャーなどに出かけていて汗をいっぱいかいているようなとき、子どもの水分補給を水かお茶で済ませるのなら、食べ物で糖分と塩分を補いましょう。糖分は炭水化物からとれるので、おすすめは「塩おむすび」。塩分量は多くなりますが、「フライドポテト」なども外出先で食べるのにちょうどいいのかなと思います。

脱水症のリスクが高まる夏の感染症

――嘔吐下痢、高熱などの症状がある場合も脱水症が心配です。夏に注意すべき感染症はありますか?

工藤 夏に流行する感染症の代表がヘルパンギーナです。2023年に大流行したのを記憶されている人もいるかもしれません。突然39~40度の高熱が出るのが特徴で、のどに強い痛みが生じるため、水分をとりにくくなります。

さらに夏は食中毒も増える時期です。食中毒は発熱、嘔吐、下痢の症状を伴うため脱水症のリスクが高まります。家庭内でも発生するため、原因となる細菌やウイルスが体内に侵入しないよう、調理の際は食中毒予防を心がけましょう。

お話・監修/工藤紀子先生 取材・文/中澤夕美恵、たまひよONLINE編集部

脱水症予防とひと言で言っても、通常時と病気の場合とでは適した飲み物が異なります。とくに緊急時に必要となるのが経口補水液。いざというときのために備えておくと安心ですね。

●記事の内容は2025年6月の情報で、現在と異なる場合があります。

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