2人の子どもを“無理なく”バイリンガルに育てあげたママ教授にきく、0歳からの「おやこえいご」って?
英語の必要性を感じる昨今、「できることなら子どもの英語力を伸ばしたい」と願うママパパも多いことでしょう。とはいっても、英語が堪能ではない、高額な月謝を払って英語の塾に入れる経済力に不安もあり…。
そこで、2人のお子さんを“ムリなく、ムダなく”「おやこえいご」でバイリンガルに育てあげた「おやこえいごくらぶ」顧問・金城学院大学人間科学部現代子ども教育学科の小田せつこ教授に、幼児期の英語教育の進め方についてお話を伺ってみました。
幼児からの英語教育の必要性とは?
子どもに強い味方を与えることで、将来の選択肢や出会える人やものも増え、世界が広がっていきます。子どもの選択肢を増やせる英語は親から子へのプレゼントともいえますよね。子どものうちから英語に慣れ親しむことで、将来の英語学習のハードルを下げることもできます。本来なら英語の勉強に費やす時間やエネルギーを部活や自分の好きなことに注ぐことができるようにも。
理想は子どもが気付いたときには、生活の一部に英語が当たり前にあったという環境を小さいうちから親が作ってあげること。その環境作りはできるだけ早く始めるとより高い効果が出やすい傾向にもあります。ただし、早期に始めるだけではなく、親も子もムリなく、継続することが大切です。
ムリなく、ムダのない「おやこえいご」とは?
「おやこえいご」とは、0歳をスタートに子どもの発達段階に合った英語とのふれあいを軸に“ムリなく、ムダなく、18歳でバイリンガルに!”を目指すメソッドです。英語が得意でない親に「話しかけは英語で」というのは無理な話。忙しいパパやママが英語の宿題をサポートするのも続かない原因に。
「おやこえいご」は、英語の苦手なパパやママでも続けられて、子どもも楽しく取り組めることを大切にしています。親は苦手な英語を子どもに教えるのではなく、小さいうちに楽しく英語に触れさせ、慣れ親しませることから始めればいいんです。いわば、将来英語の勉強が無理なくスムーズにいくための“英語の種まき”です。
柔軟性のある時期にたくさんの英語のシャワーを
語学習得に欠かせないのは、充分なインプットと適切なアウトプットの機会です。英語には“聞く・読む・話す・書く”の4技能がありますが、この中でインプットは“聞く・読む”、アウトプットは“話す・書く”です。親としてはアウトプットを期待してしまいますが、大量のインプットなしにアウトプットができるようになることはありません。赤ちゃんに毎日日本語を話し掛け(=インプット)ていれば日本語が出てくるように、一方英語を話せるようにするには大量の英語のインプットが必要になってきます。
かといって英語の話し掛けとなると難しいですよね。なので、英語のアニメ、音楽や絵本などを子どもと一緒に楽しんでみるのはいかがでしょうか。スタートは、日本語の10分の1でいいので、毎日の生活に英語を取り入れてみてください。幼児期には英語を楽しむことが何よりも大切。子どもは楽しいことなら長く続けられますよ。子どもが興味を持った英語のコンテンツをたくさん聞かせてあげるといいでしょう。
「おやこえいご」は、いつから始めるべき?
はじめるのはできれば0歳から。3歳頃までの比較的英語に抵抗がなく、自由な時間が多い時期までに。英語への先入観がないこの時期にどれだけ英語にふれられるかで、その後の英語力に差が出るといっても過言ではありません。
何もわからない0歳からでは早過ぎるのでは?とお思いでしょうが、赤ちゃんは6カ月~8カ月の時点で、どんな言語の音でも聞き取ることができるという研究があります。しかし、この時期を過ぎると、自分の周りの言語の音を吸収するようになります。でも、たとえ少しの時間でも英語で遊ぶことによって赤ちゃんは聞き取る能力を伸ばすことができると言われています。
年齢にあわせた的確な英語教育を
早期の英語教育には、年齢にあった的確な教育が重要になってきます。
0~1歳半までで大事なのはママとのコミュニケーション。できる範囲で英語の絵本の読み聞かせや英語の歌を歌ってあげるのもいいですね。1歳半~幼稚園・保育園の時期は“おやこえいごの黄金期”! この時期にどれだけインプットできるかが勝負になります。英語の音への柔軟性があるので、子どもの好きな動画などで英語の大量インプットを。少し強引なやり方に思われるかもしれませんが、動画は英語がわからなくても楽しめるので英語のものだけにすることを徹底するといいでしょう。幼稚園・保育園~小学校低学年は、子どもがいろいろなことに興味を持ち始め英語から少し離れてしまいがちな時期。好きな動画やCD、楽しめている英語教材などを活用して英語に慣れた耳を維持していきましょう。すると、その先の英語学習がスムーズになります。
赤ちゃん期に英語を聞いていれば聞き取る能力が失われにくいことから、早い段階から英語に慣れ親しむことを勧めていますが、早く始めることより大切なのは途中でやめないことです。スタートがたとえ遅くとも、細く長くでも継続していくことが大切です。そのためにも、さまざまなコンテンツを利用して、親はムリなく、子どもも楽しく英語に慣れ親しむ「おやこえいご」を実践して、子どもたちに英語という最高のプレゼントを。
(文・井上裕紀子)