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児童虐待の相談件数が過去最多。子どもを虐待から守るため、これを知っておいて!【専門家】

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小さな男の子は孤独な遊び場で遊んでいます。小さな男の子は、遊び場に不幸な座っています。
※写真はイメージです
ByoungJoo/gettyimages

残虐な子どもの虐待報道が後を絶ちません。虐待から幼い命を守るために、私たちができることを、弁護士・後藤啓二先生に聞きました。後藤啓二先生は、子ども虐待・性犯罪をなくす会「NPO法人シンクキッズ」代表理事も務めています。

児童虐待相談対応件数が過去最多に。地域の目が敏感になったことも影響

後藤先生は、弁護士になる前、23年間警察庁で勤務していました。そのときの経験が、子どもたちの虐待を防ぐ活動につながっていると言います。

――後藤先生が、子どもの虐待問題に取り組むようになった理由を教えてください。

後藤先生(以下敬称略)  警察庁で勤務していた当時は、家出をしたり、深夜徘徊(はいかい)したりする子を補導したりもしました。しかし補導した子どもたちから話を聞くと、家庭で虐待を受けていたり、家庭環境が複雑なことが多いです。家にいたくても、いられないんです。しかし当時は、補導した子をそのまま虐待される家に帰していました。私自身も、こうした警察の対応に何の疑問も感じませんでした。今は、申し訳なかったという気持ちでいっぱいです。そうした経験を活かしながら、警察庁退職後、子どもの虐待問題に取り組むようになりました。

――後藤先生が警察庁に勤務していたころと、今では子どもの虐待の状況は変わってきていますか。

後藤 最も変わったのは、子どもに対する虐待が激増していることです。
これは実数が増えてきているということのほか、幼い子が虐待によって命を落とす痛ましい事件が後を絶たないため、地域の目が敏感になり、児童相談所や警察に通報する人が増えたこともあげられると思います。
厚生労働省が発表した、令和2年度の児童虐待相談対応件数は20万5029件と、過去最多を更新しました。前年度より1万1249件も多いです。児童虐待相談対応件数は、年々増加傾向にあります。
私は、児童虐待を防ぐには地域の見守りや気づきが必要だと考えています。

虐待を疑うときは、親の言い分をうのみにしないで!

後藤先生は「虐待を防ぐには、私たちの気づきが不可欠」と言います。まわりの大人が気づき、適切に対応すれば守れる命もあります。

――先生の著書「子どもが守られる社会に」の中には、児童虐待をする親は、まわりにバレないように背中や腹部など、洋服で隠れる部位を殴ったりして傷つけるとありました。こうした内容でも、私たちは虐待に気づけるのでしょうか。

後藤 悪質なケースほど、見た目にはわからないように子どもに暴行を加えます。たとえば真冬に、冷水シャワーを浴びせたりする親もいます。
そのため次のことに、1つでも該当したら児童虐待を疑ってください。

1.大人の怒鳴り声が頻繁に聞こえる
2.子どもの泣き声や助けを求めるような声が聞こえる
3.保育園、幼稚園などを長期欠席している
4.子どもに会わせようとしない
5.乳幼児健診などを受けている様子がない
6.子どもの具合が悪かったり、けがをしていても小児科などを受診しない


――ママ友だちや親せきなど知り合いを疑った場合は、まずはやんわりと虐待の有無について探ったほうがいいのでしょうか。

後藤 探ったところで、相手は虐待行為を認めないでしょう。たとえば「あざが多いけど、どうしたの?」と聞いて、相手の親に「この子、よく転んだり、ぶつけたりするのよ」と言われたら、ママやパパならどうしますか。

2008年、兵庫県伊丹市で当時5歳の女の子が母親による虐待で亡くなりました。児童相談所の職員は母親の「寝ぼけて柱にぶつかった」という説明をうのみにして、女の子を保護するなど適切な対応を取らなかったためです。

虐待で子どもが亡くなるのは、まわりの大人が親の言い分だけを聞いて、それをうのみにして放置することが原因の1つです。「虐待をしているかな?」と感じたときは、それが知り合いでも、緊急を要する場合は、警察に通報するするほうがよいと思います。

――確実に虐待しているかわからない段階で、警察に通報するのはためらうママやパパもいると思いますが。

後藤 警察は、だれから通報があったかなどはいっさい、言いません。また勘違いでもいいです。とにかく子どもを救うことを第一に考えてください。
虐待で逮捕されると「逮捕されてよかった。逮捕されなかったら、子どもを殺していたかもしれない」と言う親もいます。虐待はエスカレートすると、自分では止められません。
警察に通報するということは、子どもだけでなく親を救うことにもなります。

――虐待から子どもを守るには、児童相談所や警察、市区町村、学校などの関係機関の連携が必要だとよく聞きますが、この点は、どのようになっているのでしょうか。

後藤 1つの機関だけで子どもを見守るよりも、多くの機関で子どもを見守ったほうが、より子どもの安全が確保されることに、どなたも異論はないと思います。
ですから児童相談所だけで案件を抱え込むのではなく、市区町村、警察、学校、病院など多くの機関で情報を共有し、連携して子どもを守る活動をすることが何より重要です。高知県、大分県、広島県などでは、多くの機関が連携し情報共有して、子どもを守る活動が進んでいますが、いまだに情報共有すらできていない自治体も多くあります。

2008年、埼玉県三郷市で母親から食事を与えられず、当時2歳の男の子が衰弱死した事件も、児童相談所は育児放棄の情報をつかんでおり、家庭訪問や電話をかけて子どもの安否を確認していました。しかし警察とは情報共有していませんでした。住民から警察に「子どもの泣き声がする」と通報があり、警察が駆けつけたものの、どの家か特定できませんでした。もし児童相談所と警察が情報共有していたら、助かった命だと思います。この事件などの反省を踏まえ、埼玉県では児童相談所と警察がすべての案件につき情報共有し、連携した活動が行われるようになりました。

お話・監修/後藤啓二(ごとうけいじ)先生

取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

ひと昔前はおじいちゃん・おばあちゃんと同居している家庭も多く、隣近所に住んでいる人のことはみんなわかっていました。商店街に買い物に行けば「〇〇ちゃん、けがしているけれどどうしたの?」とお店の人に声をかけられたりもしました。「そうした家族や地域の目が、子どもの虐待防止につながっていたのではないか」と後藤先生は言います。時代とともに、環境はだいぶ変わりましたが、地域の目が虐待の抑止力になることに変わりはありません。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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