子育てを理由に正社員の仕事を辞めて後悔する? しない?と悩むママへ…専門家からのアドバイス
今回は、育児と仕事の子育てを優先して現在の仕事を辞めようかと考えている口コミサイト「ウィメンズパーク」のママの悩みを取り上げます。また、女性のキャリア支援をしているキャリアコンサルタントの弓ちひろさんにアドバイスをいただきました。
子育てを優先したいからフルタイム勤務を辞めたいという悩み
――まずは、あるママの悩みを紹介します。
「子ども2人を育てながらフルタイム正社員で働いています。
下の子が来年小学生になるのを機に、最後の子育て期間として正社員を辞め、専業主婦かパートに切り替えようと考え始めています。
金銭的な余裕はなくなりますが、なんとか生活はできるかと思います。
今まで仕事三昧の日々で、平日も夜遅くまで仕事をして、家も散らかっていることが多く、夕飯も簡単なものになり、子どもの勉強もほぼ見る余裕がありません。
辞めたらどんな世界になりますか。辞めた方で、後悔している方いますか?」
――この悩みにママたちが自身の体験をもとにエールを送ります。
■ 辞めなければ子どもに笑顔を向けられなかったから後悔なし
「私も辞めましたが、後悔はしていません。というか、辞めなければ私があまりの忙しさに病んでいただろうし、子どもに笑顔が向けられなかったと思います。
今はパートで、年収も下がりましたが、夫もそこそこ稼いでくれるので、子どもに我慢させない程度の生活や貯金はできています。
こればかりは家庭の収入にもよると思うし、キツキツなのに辞めちゃうと大変なことになるし、一度辞めてしまうと同じような収入を得るのは難しくなると思うし。
辞めるのは簡単ですが、復職は難しいと思うので、ライフプランをきちんと立ててから決断したほうがいいと思います」
■ 後悔してないけど、子どもが小学校に上がったら意外にヒマだよ?
「辞めましたが、私は後悔してません。
ただ、私は上の子が小さいときに辞めているので、下の子が小学生になるタイミングでやめた場合、どう思うのかはわかりません。
子どもが小学生のときに辞めたとして、『子育てしてる!』と感じる期間は数年くらいじゃないでしょうか?
私は、子どもが低学年になったときにヒマを持てあまして働き出たクチです。
あとはやっぱり、経済面が十分かが後悔するかどうかのカギになる気がします」
■ 収入を高望みしないなら一度辞めて再就職もありでは?
「私はずっと正社員で働き続けていますが、子育ては祖父母に頼ることも多く、正社員で働き続けるには、やはり周りの援助は必要と感じています。
ただ、私の勤務先はやる気さえあれば中途入社から正社員になれるので、なっている人はたくさんいます。
お給料の面で言えば、正社員をずっと続けたほうがもちろん良いですが…」
■ 後悔してます。仕事していたときのほうが子どもに優しかった
「後悔しています。私も子育てを楽しみたいと思って、仕事を辞めました。
仕事をしていたときのほうが子どもに対して優しくでき、今は四六時中、子どもといるとイライラします。
仕事をしてるときは、平日は激務だったけど、土日はしっかり休みだったので、いろんな所に出かけました。でも今は、行く気力もありません。夫は協力的でしたが、仕事を辞めたら全て私任せに。子どもたちも大きくなったら毎日ヒマで、仕事を続けていれば良かったな~って、いつも思っています」
■ 大変だったけれど、仕事と両立してきたことは誇りです
「小中高と子どもに十分な手はかけられなくて、後から、『え! そんなにみなさん、手をかけているものなの!』と驚きましたし、いつも走っていた記憶ばかりです。
でも、両親が働く姿を見て育ったからか、子どもは親に尊敬の念を持っているし、仕事の面白さや大変さなどを伝えることはできました。
両立は大変だったけど、子どもが社会に出て行こうとしている姿を見て『よく育ったな』『仕事も頑張ったな』と、小さな誇りのようなものがあります。
どちらを選ぶにせよ、自分の選択を後悔せずにすむといいですね」
■ 今の仕事が楽しく恵まれているのなら辞めないほうが
「子どものことに関係なく、今の仕事自体は楽しいですか。
好きな仕事だったり、仲間に恵まれたり、仕事自体が苦にならないなら、辞めないほうがいいと思います。逆に、仕事自体が嫌なら辞めてもいいと思います。
というのも、はっきり言って、良い職場ってほとんどないと思うからです。
今の職場が良い会社なら、『辞めなきゃ良かった』って絶対思うと思います。
また、『仕事辞めたら、家もきれいにして、食もきちんとして、今までできなかったことをあれこれやって』なんて思ってましたが、もともと家事が好きではないので、仕事を言い訳にできない分、逆にしんどくなりました」
どんな決断をするにせよ、他人を理由にせずに自分で決断することが大事
子育てのために、仕事を辞めるか続けるのかは大きな決断です。どちらを選ぶかは本人にしか決められませんが、せめて後悔はしてほしくないですね。
女性のキャリアを長年支援してきた弓ちひろさんに、決断をするときのポイントについてアドバイスをいただきました。
「子育てのために仕事をどうするか。その選択の正解はないと私は思っています。というより、結局決断をするのも、その決断が良かったかどうかを決められるのも、ご自身だけだからです。
悩んでいるのなら、自分はどうしたいのか、きちんと一度検証していただきたいと思います。
『子どもがこうして欲しいと思っていると思う』というのと、『私がこうしたい』というのは、実はまったく違うものです。
仕事と育児を両立しているおかあさんは、よく『きっと、子どもこう思っているに違いない』っておっしゃる方がいますが、『お子さんに聞いてみたのですか?』と聞くと、みなさん、聞いたわけではないんですね。
まずは、自分がどうしたいかを考えてみて欲しいです。
『子どもが小さいうちは、たくさんの時間を一緒に過ごしたい』のか、『私は子どもに、笑顔で仕事をしている姿を見せたいと思っている』のか、『子どもが習い事をしたいと言った時にやっていいよと言える財力を持っていたい』のか。
そういった自分自身の思いがあるにもかかわらず、『子どもはきっと、こう思っているだろう』という想像だけで、悩んでいる方がとても多いのです。
また、『子どもが小さいのに、夜まで働いてかわいそうだ』といった周りの人の声に振り回されて、自分自身に罪悪感を持っている方も多いですね。
子どもは大事で、一心同体のようにかわいいと言う気持ちもよくわかりますが、子どもと自分の思いを一緒にしないことが基本だと思います。
自分がどうしたいかを整理できたら、次にお子さんと話しあってみてはいかがでしょうか。『自分が子どもだったら、こう思うだろう』という考えは、少し脇に置いてください。年少さんくらいから、少しずつ話していけるかもしれませんね。
お子さんによって、意外とおかあさんに望むことは違ったりするものです。
例えば、『1日に30分だけ、おかあさんを独り占めしたい』とか『夜寝る前は必ずそばにいて欲しい』とか、『おかあさんとご飯を一緒に食べる時間が大好き』とか、子どもは一人ひとり必要としていることは異なるものです。
そして、自分の本当の気持ちと子どもの望みがわかったら、『じゃあ、その望みを叶えるためにはどんなことができるか』ということを家族で話してみてください。
お子さんの望みを全部叶えたいという人もいるでしょうし、3つのうちの1つは叶えようとか、整理できると思います。
決断をするときに気をつけたいのは、こうあるべきと考えてしまったり、何かのせいにしてしまったりすることです。
子どもを理由に辞めるとか、親にこう言われたから辞めるとか、夫にこう言われたから辞めるのではなくて、辞めるのでしたら、自分が意思決定をすることです。
他人のいったことを理由に辞めてしまうと、後悔するケースが多いです。極端な例では、辞めて仕事生活がなくなり、家庭生活だけになりますと、仕事で解消されていたストレスがたまることもあり、子どもや夫とうまく向き合えなくなってしまった方や、自分の人生がなくなってしまったように感じてしまったという方もいます。
悩んだときは、他者がどう思っているかではなく、ご自身がどうしたいのか。軸を自分にして考えてみてください」
(お話/弓ちひろさん)
仕事を辞めるかと悩んだときに、どう整理をして決めると後悔せずにすむのか、解説していただきました。自分の声に耳を傾けてみたいと思います。
(取材/文・橋本真理子)
※文中のコメントは口コミサイト「ウィメンズパーク」の投稿を再編集したものです。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
弓ちひろさん
PROFILE
1級キャリアコンサルティング技能士、公認心理士(国家資格)。キャリアコンサルタントのスーパーバイズとともに、企業に向けてのカウンセリング室、ダイバーシティ推進のコンサルティングを行っている。
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