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「先天性風疹症候群」発生ゼロのために、風疹ワクチンを打とう【小児科医】

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明るい部屋で赤ちゃんの手を握る母親の手
※写真はイメージです
west/gettyimages

妊娠初期の妊婦さんが風疹にかかると風疹ウイルスが胎児に感染して「先天性風疹症候群(CRS)」という合併症が引き起こされることがあります。
そのようなことがないようにするためには「風疹を排除」することが大切で、それにはワクチンで抗体をつけることが有効です。
「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#17は、長年取り組まれてきた「風疹ゼロ」の動きについて。太田先生は「オリンピックは終わったけれど、風疹対策はまだ終われない」と言います。

新型コロナ対策も大事ですが、風疹対策もまだ終われません

東京オリンピックまでには日本から風疹をなくしたい。先天性風疹症候群の赤ちゃんはもう生まれない国にしようという「風しん追加対策事業(第5期定期接種)」が展開されていました。

風疹抗体保有率がとくに低い昭和37年4月2日以降、昭和54年4月1日生まれの男性に対し、2019年4月から3年間、全国で原則無料で抗体検査とワクチン接種を実施するというもの。麻疹排除が達成され、国内から風疹排除をするため、この世代の190万人の男性の抗体保有率を79.6%から90%に引き上げようとしていました。
ところが、新型コロナウイルスのパンデミックが始まり、目標としたオリンピックは延期になり、盛り上がった風疹排除の機運は、新型コロナ対策に置き換わってしまいました。
そして、コロナ流行後は、インフルエンザなど従来流行のあった疾患が激減し、いつのまにか風疹対策は影が薄くなってしまいました。オリンピックは一年遅れで開催されましたが、風疹の検査もワクチン接種も目標としてきた人数への対応が達成できないままで、対策事業期間が終わろうとしています。

風疹対策事業が2024年度末まで延期されることが決定

先天性風疹症候群(CRS)排除を願っていた患者家族会(風疹をなくそうの会『hand in hand』)を始め、医療関係者等は、このままではまた風疹の流行が起きてCRS患者も生まれると危機感を強め、国に対策期間の延期を要望してきました。国も危機感を持っており、この制度を2024年度末まで延期することを決定しました。

現在は、オミクロン株を中心とした新型コロナ第6波流行のため、各地でまん延防止等重点措置が発令されていますが、風疹排除達成も忘れないでください。

検査とワクチン接種の対象者は、昭和37年4月2日以降、昭和54年4月1日生まれの男性です。家族や親せき、知り合いに対象者はいませんか。「風疹の検査した?」「風疹のワクチン接種済んだ?」と声を掛け合い、風疹排除対策の後押しをしましょう。

自治体から配布されたクーポン券は、期間を延長して抗体検査を受けることができ、抗体がなかった場合は予防接種を受けることができます。

患者家族会の活動も10年を迎えようとしています。会員の方からは「さすがに疲れました。今度で終わりにしてほしいです」と本心を吐露した声も聞こえてきます。日本は、麻疹(はしか)排除を達成できた国です。風疹排除、CRS発生ゼロを達成できないはずはありません。今回の事業延長期間を使って、日本から風疹排除を達成しましょう!そのためにはママ・パパを始め、みなさんの力の結集が欠かせません。一緒に頑張りましょう!

風疹をなくそうの会 hand in handの活動は、https://stopfuushin.jimdofree.comから見られます。

文・監修/太田文夫先生 構成/ひよこクラブ編集部 

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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