母親あるある?オクターブ高い声で子どもに女優なみの名演技【御手洗直子のコマダム日記】
今回は「ちゃん」について。一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。「つっこみが止まらないコマダム日記」#97
(我が家では)実質無敵の無機物ちゃんたち
むすめ(長女)の時にも圧倒的勝率を誇り、現在5歳の2号(次女)にも効果覿面(てきめん)である説得方法として、我が家では『すべての無機物(有機物でも可)に「ちゃん」付けをして擬人化する』という手法を用いている。
今日実行したてホヤホヤの事例を使用例として挙げるならば、外食した野菜ラーメンの中に見つけた見慣れぬ食材を警戒しながら『これなに?』と恐る恐る聞いてきた2号に対して
『わたしはたけのこちゃんよ♪…たべてくれるかな…?アッ…かわいいおんなのこ…、このこがたべてくれるのかなあ?(オクターブ高く)』
とたけのこの声(?)になって語りかける。という具合である。今日の2号の場合は『アッ…たけのこちゃんね…だいじょうぶよ…たべてあげるね…!はい、だっこ!』と抱きしめ(?)てからモリモリ食べた。計算通り。(夜神月)
見慣れぬ食材は食べないが、ちゃん付けして『食べてほしいな』というアピールをすると食べるのである。
また、出かけるのにいつまでも上着を着ない。という場合には上着ちゃんの声で『さむいよー、さむいよー(オクターブ高く)』と弱弱しく訴えながら上着をつまみぶるぶる震わせていると、『うわぎちゃん!さむいの?あたためてあげるね!はい…だっこ!』とすっとんできて腕を通し、おのれ抱きをしながら上着ちゃんをあたためてあげるのである。『ハア、あったかい(オクターブ高く)』と満足気にしている上着ちゃんの声を聞くと、『またさむかったらあたためてあげるね!』という次回の確約までもらえるのである。
基本的に自分より小さきものに対してお世話をしてあげたいという意識が湧くらしく、それらは親から命令されて実行する意志よりはるかに強い。また、これらを長女の代より物心つく前から繰り返し行っているため、今やパブロフの犬のような条件付けのもとに行動に出ているのかもしれない。『ちゃん』のついた小さきものの願いには、応えてやらなければならないのだ。
あまりにも勝率が高いので、あらゆる場面で私は『小さきもの』として生きているのだが、バスの中でしゃべっているのが2号と『小さきもの(オクターブ高い私)』だけというのもザラである。公共の場でオクターブ高くペラッペラしゃべっていると周りからどう見られているのであろうか…。外見はともかく、相当いいかげんな内容をしゃべっていたりするので緊張する。おわり。
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko