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無理してほめる必要はないと思う、『子どもも大人もしんどくない子育て』の著者に聞く、子どものほめ方・しかり方で大切にしていること

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子どもも大人もしんどくない保育をめざし、SNSで保育や子育てについて発信している保育士・きしもとたかひろさん(34才)。子どもへのしかり方やほめ方などの声かけの方法について、学童支援員の経験から、きしもとさんが気をつけていることを聞きました。

子どもが困った行動をしたときの声かけで気をつけたいこと

――きしもとさんは保育者として、子どもが「お友だちをぶってしまう」など困った行動をした時、どのように接するよう心がけていますか?

きしもとさん(以下敬称略) 僕は9年ほど学童保育で働いていましたが、子どもがけんかし始めた時には反射的に「おい、ちょっと!」と大きい声を出して止めに入ってしまいます。慣れたら冷静に対応できるかというと、全然そんなことはないです。子どもたちを危険から遠ざけるためといえば聞こえはいいですが、正義感というか、やってはいけないことを止められなかったあせりとか、その子が繰り返さないよう反省させないと、という思いが出てしまいますよね。

ただ、その時に立ち止まれるかどうかをいちばん大事にしています。「おいちょっと!」と言ってもすぐに「大きい声出してごめんね」という感じで、一度立ち止まって「どうした、何があったんや?」と、その子がなぜその行動をしたかを聞くようにします。子どもの困った行動には、本人は無意識かもしれないけど、必ず何か理由があると思うのです。本人にも理由がわからなければ「これがイヤだったのかな?」と代弁して聞いてみたり、「落ち着いたら話を聞くからね」と時間を置いてフォローすることもあります。

過去に「理由を言わないなら、怒るしかないで」と言ってしまったことがありました。でもそのかかわりでは、子どもがどんどん僕を信用しなくなっていった、と感じます。その子の問題なのに、僕の価値観や正しさを押しつけて、その子の思いをまったく聞いていなかったんですね。だから、困った行動があった時にはその子の問題を見るようにしたいと思っています。

お友だちとのトラブルでは謝るハードルを下げる

――3〜5才くらいの子どもが、お友だちのおもちゃを取って泣かせてしまった時など、お友だちに謝るようにしかるほうがいいのでしょうか。

きしもと とっさに「あかんで!」「ごめんね、でしょ」って言っちゃいますよね。謝らせるべきと考えるのは、その子にちゃんと謝れる人になってほしいのと、相手の子を慰めて納得させるためと、まわりの目を気にして、などの視点があると思います。それを自分で冷静に見ておくというのは大事かもしれません。状況によって、謝らせることが必要な場合もあるとは思います。

ただ小さい子どもの場合、単純にお友だちのおもちゃを使いたくて取ってしまった時などは、お友だちがおもちゃを取られちゃったから泣いたと理解していない場合があります。そういう時は無理に謝らせるより、まず「この子が使っていたら勝手に取らないで、相手に聞いてみようね」とか「その子が使い終わったら使おうね」と説明してあげるのは大事だと思います。

――本人に状況を説明して、本人が悪かったな、という気持ちがある時は「ごめんね」をうながすといいのでしょうか。

きしもと 3〜5才くらいになると、相手が泣くと“怒られる”と思って「自分 は悪くないもん」という態度をとることがありますよね。それは怒られて自分を否定された経験から「ごめん」が言いにくくなってしまっている場合もあります。「ごめん」をうながす前に、まずは気持ちに寄り添い「遊びたくて取っちゃったんだよね。お友だちはびっくりして泣いちゃったんだと思うよ」というところから始めてみて、「ごめんと言ってみようか」と教えてあげると、謝るハードルが低くなると思います。「ごめん」という言葉でなくても、ごめんねの気持ちが伝わるならほかの言葉でもかまわないと思います。

子どもを評価しないほめ方とは?

――ではほめ方についてはどう考えますか?自己肯定感を高めるにはほめて育てる…などと聞きますが、ほめることを意識するとなかなか難しい気がします。

きしもと お手伝いをしてくれたなら「助かったよ、ありがとう」、公共の場で静かにできたなら「静かにできてえらいね」、お絵描きしているなら「上手に描けたね」など、素直な気持ちをそのまま伝えればいいと思います。おだてて子どもをコントロールしようとするほめ方は控えたいですが、その子の頑張りを認める気持ちを伝えるようにしています。保育のセオリーでは「すごいね」「えらいね」よりも、具体的な行動や事実を伝えるようにしましょうといわれることがありますが、「えらいね」とほめてほしい子もいますよね。

ある時、走り回ってはいけないところで気づいて止まった子に「気づいたね」と声をかけたら「えらいやろ?ちゃんとできたで?」と言われました。頑張ったことを認めてほしかったんですよね。その気持ちを満たしてあげるのはいいと思いますし、子どもは知っている語彙(ごい)が少ないので、「上手に描けたね」などと、その子が知っているほめ言葉でほめてあげるのは悪いことじゃないと思います。
大人だって、たとえばうどんを作って「だしが効いてるね!」と言われるより「おいしいね!」と言われるほうがうれしいことはありますよね。

しかり方やほめ方をマルバツで言えたら楽ですけど、子どもとのかかわりには正解はありません。保育のテクニックやハックみたいなものはありますが、それは表面的なこと。子育ても人間関係なので、行動をうながすために無理にしかったりほめたりする必要はないのかなと思いますし、うまくいかなくても“自分の子育てあかんな”と思わなくて大丈夫だと思います。

お話/きしもとたかひろさん イラスト/すべて『怒りたくて怒ってるわけちゃうのになぁ 子どもも大人もしんどくない子育て』(KADOKAWA)より 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

親としてきちんと子どもをしつけなければ、という思いもありますが、一方的にしかったり子どもをコントロールしたりするのは逆効果のことも。大切なことは子どもの思いを知り、親の思いを伝える、お互いのコミュニケーションです。


※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

きしもとたかひろさん

PROFILE
保育士・放課後児童支援員。子どもとのかかわりの中で気づいたことや葛藤(かっとう)していることをマンガにしたり文章にしたりしながら、子どもも大人もしんどくない子育てや保育のあり方を模索しています。Twitterやnote、インスラグラムで、日々の気づきを発信するほか、ライフスタイルマガジンgrape、CHANTOWebでコラムも連載中。近著に『怒りたくて怒ってるわけちゃうのになぁ 子どもも大人もしんどくない子育て』(KADOKAWA)がある。

『怒りたくて怒ってるわけちゃうのになぁ 子どもも大人もしんどくない子育て』(KADOKAWA)

学童の支援員(放課後児童支援員)として多くの小学生と時間をともに過ごしてきた著者・きしもとたかひろ。お互いが笑顔で過ごせるために何が必要かを学童支援員仲間や、保護者、何より子どもたちの声を元に考え、専門的な視点と子どもの思いを第一に考えてかかわる実践方法を【子どもとかかわる時に気をつけたいこと】としてマンガにまとめました。

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