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産後の傷が痛む、家族が古い考えを押し付けてくる、助産師によって言う事が違う……などなど。出産直後のお悩み、ベテラン助産師がお答えします

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コピースペースでベッドで彼女の健康な新生児の睡眠にキス美しい若いアジアや白人の母の女の子の肖像画をクローズアップ。ヘルスケアと医療愛 アジア女性ライフスタイル母の日の概念
paulaphoto/gettyimages

「たまひよ」WEB・アプリユーザーに「出産直後や赤ちゃんのお世話がスタートしてからツラかったこと、『聞いてないよ、こんなこと…』と思ったことはありましたか?」と、お悩みを募集。「産後の傷の痛みが辛くて動けない」「家族から育児観を押し付けられる」などなどが寄せられました。ベテラン助産師の濵脇文子先生からお悩みのアドバイスをいただきました。

お悩み① 傷(会陰縫合、帝王切開など)の痛みで産後、思うように動けない

「帝王切開の傷が痛くて、沐浴とか本当に無理」(ジマイマ)

「会陰切開の傷がいつまでも痛くて、退院後も痛み止めが手放せずおかしいと思ったら、腟に血腫ができていることがわかりました。授乳中に座ってるのが耐えられなくて赤ちゃんにごめん!と授乳を中断して、泣かれて自分も申し訳なくて泣きました。母親として、ちゃんとできないことが申し訳なくて辛かったです」(nanaruna)

「2人目の時はとにかく後陣痛がひどくて辛かったです。薬を処方してもらわないと無理でした」(さおりん)

「腱鞘炎や乳腺炎、腰痛など自分の体のトラブルが多くて、しかも回復が遅くなっているのでしんどかったです」(そら)

「​​痛みで自分の身体が思うように動かないことに、心がついていかなかった」(ぽんきち)

「助産師は、痛み逃しの日常動作を知っているので相談を」と、専門家

【濵脇先生からのアドバイス】
「痛みが長く続く場合はお医者さんに相談しましょう。ただ座っての授乳が辛い、痛みで沐浴が辛いなどの場合は、助産師に相談してみてください。

授乳スタイルは帝王切開の傷を避ける姿勢や、座る以外の姿勢など色々あります。腱鞘炎や腰痛、肩こりなども同様です。

沐浴でもこういった姿勢が楽だよ、こういった道具があるよ、など、痛みを緩和するアドバイスはできるので、頼ってみてください」

お悩み② 家族が自分の育児観を押し付けてくる

「今の育児を知らないような年上の人にあれこれ言われることが嫌だなと感じます。
赤ちゃんが泣けば母乳はちゃんと出ているのか、とか、抱っこすれば抱き癖がつくとか、慣れない育児で不安だった私は、責められているように感じてしんどかったです」(さら)

「周りの人からの“母乳”のプレッシャーが辛い」(ひか)

「一緒に育児雑誌を読むなどアップグレードを提案」と、専門家

【濵脇先生からのアドバイス】
「この問題は、私もよく相談される案件です。

反論したい気持ちはよくわかりますが、相手の意見を否定するのは得策ではありません。
相手が言っていることは時代が違うとはいえ正しい意見だからです。お互いが“自分は正しい!”と、思っているのですから、話が平行線になってしまうのです。

対策としては言い方を変えてみましょう。

『今はこうなんだよ』ではなく、『助産師さんが言っていた』と伝えてみましょう。

たとえ雑誌に載っていた情報でも嘘も方便です。『専門家から直接聞いた』ということで、信憑性が高まります。さらに相手の意見を真っ向から否定しないこともポイントです。
それでも改善しない場合は、助産師から直接話してもらうことも考えてください。

私も頼まれて仲裁に入ることがありますが、まず開口一番
『そうそう、昔はそうでしたよね。懐かしいです〜。心配だからアドバイスしてくれているんですね、ありがたいことです』と、相手の意見を受け入れてから『でも今は……』と、切り出すようにしています。

意見に相違はありますが、お互い『赤ちゃんを大切に思っている』という気持ちは同じです。

育児雑誌を渡して『一緒に読もう』と、知識のアップグレードをさりげなく提案してみるのも良いかもしれませんね」

お悩み③ 助産師によって言うことが違う

「授乳間隔やマッサージ方法が、助産師によって様々で、何が自分に合っているのかわからず混乱しました」(おもち)

「混乱させて申し訳ありません! でもちゃんと理由があるのです」と、専門家

【濵脇先生からのアドバイス】
「実は『助産師によって言うことが違う』という声は、少なくはありません。
全国の助産師を代表として謝罪いたします。混乱させて申し訳ありません!

ただ弁解させてください。

出産後の母体は毎日アップデートをしており日々変化しています。とくにおっぱいは、半日で状況が一変することが普通にあります。

私は『今はこの状態だけど昼ごろから熱をもちそう。なのでこーしておくので、熱をもったら今度は方法を変えるね』と、伝えます。
しかし助産師によっては“今”の状態だけしか伝えず、おっぱいの変化に対応して方法を変えた際に、お母さんから『え? 前回と言ってること、やってること違うじゃん』と、思われているケースがあるのです。

これは助産師が変化を見落としている可能性もありますが、『コロコロ変わる母体の状態を細かく伝えすぎると、お母さんが混乱する』と、考える助産師もいるからです。

なのでお母さんも『この方法はいつまで続けますか?』『変化がおきたら、次はどうなるのですか?』と、質問するのもアリです。

専門家に質問するってなかなか勇気がいりますが、出産は教科書通りにはいかないのが常です。“人と違うこと”がおきても、“コロコロやり方を変える”ことになっても、それは基本からはみだしている訳ではありません。心配なことは相談して欲しいと思います。

これはネットでの出産・育児情報でも同じことが言えます。ネットは確かに知識の宝庫ですが古い情報もあります。そして最近は、芸能人やインフルエンサーのSNSを鵜呑みにしているお母さんをちらほら見かけます。

お母さんが感じた違和感や不安はネットで解決するのではなく、医師や助産師など専門家とともに解決しましょう。

それがお子さんの命を守ることになるのです」

濵脇文子(はまわき ふみこ)

助産師・保健師・看護師。大阪大学招聘准教授。星薬科大学非常勤講師。総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務。母と赤ちゃんの笑顔が大好きで、数千人の母子のケアに携わります。産前産後ケアセンターの立ち上げに参加したり、民間企業での事業開発など多方面で活躍。自治体の講演や各種メディア執筆では、ひとりひとりのペースにあわせた母に寄り添う姿勢と、明るく軽快な語り口で人気を博します。

文/和兎 尊美

※文中のコメントは「たまひよ」WEB・アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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