夫のすることすべてにイライラ!「どうでも良いことでも説教」「あの時の私は常軌を逸していた…」産後のガルガル期対策をベテラン助産師に聞く!
「たまひよ」アプリユーザーに「産後、“ガルガル期”はありましたか?」と、質問。52.8%のママが「あった」と、回答しました。エピソードを募集すると夫、里帰り中の家族など、身近な存在にイラつくパターンが多いようです。これまでに数千人の母子のケアに携わられた助産師の濵脇文子先生にアドバイスを伺いました。
Q【出産を経験された方に伺います】産後、“ガルガル期”はありましたか?
あった 52.8%
わからない 24.4%
なかった 21.8%
その他 1%
「ガルガル期」とは、出産後に女性が攻撃的になったり、感情の起伏が激しくなったりする状態のことを指す俗語です。動物の母親が子どもを守るために「ガルガル」と威嚇したり、攻撃的になることから、この言葉が誕生したようです。
アンケートによると最多は「あった」で52.8%、続いて「わからない」の24.4%となりました。
実はガルガル期は「自分では気が付かなかったけれど、あとから家族に言われた」「今から思えばそうだったかも」ということが少なくありません。
「なかった」と、断言したママは21.8%でした。
エピソードを募集すると、半数のママが「ガルガルの対象は夫」と回答。一番身近な存在ゆえの宿命のようです。
「夫がすること全てにイライラしていた」というママたちの声
「夫のやることなすこと、全てにイライラしていました。お皿を洗ってくれても、お風呂を洗ってくれても『違う!』と、叫んでいた私…ごめんなさい」(NN)
「冷静に意見を述べる夫の口調に、責められているように感じて、怒りながら泣いてしまった」(たな)
「ガルガルしてるつもりはなかったけれど、『なんか冷たくなった。浮気してるのか』と、夫に疑われ更にガルガルになった(笑)」(まい)
「1人目出産前、夫には『私は絶対ガルガル期がくるから、よろしくね』と、伝えていたので覚悟はしていたようですが、それを上回るガルガル状態だったらしいです(笑) 夫がオムツ替えや沐浴をすると、私が細かく文句を言うからと『見られたくない』『怖い』と、言われました。一方で夫からコレはどうしたら良いか、アレはどこにあるかなど聞かれると『一回で覚えとけ!』と、ガルガル(笑) 今思えば何でも一つ一つ確認してくれる丁寧なパパでした」(えだまめ)
「夫のやることなすことにイライラする。産後1年以上たった今でもそう」(Gad)
苦手意識にさらに拍車がかかる義家族にガルガル
「とにかく我が子を誰にも会わせたくない時期がありました。義母と義妹にはひときわイライラしていました」(みーちゃん、)
「とにかく義家族に赤ちゃんを触らせたくなく、義姉の育児アドバイスはかなりイライラした」(かなこ)
「義母が息子を預かってくれた際、前日の残りの鍋を食べさせたと聞いた時、離婚を考えるほど激怒しました」(モコにゃん)
「義両親と同居だった当時、子どもが双子だったのでとても助かっていました。しかし母乳で育てたい私と、ミルクをあげたがる(足したがる)義母と夫に対して、自分のしたい育児を邪魔されていると感じるように。他にも些細なことが積み重なって、結局同居を解消。距離をおいたことで今は関係良好です。初めての育児は頑なになりがちだなと、9年たった今思います」(プレシャス)
仲の良かった自分の家族にもガルガル…そして猛省
「実母が遠路はるばるお手伝いに来てくれたのに、私自身が『こうしなければならない』と固執して、『これはしないで』『あれはしないで』『そんなのだめ』と、喧嘩になりました。その後泣きながら謝って仲直りしたけど、母に酷いことしたなぁと今でも反省です」(みらい)
「里帰り出産で、実父にガルガルが酷かったです。もともとは二人でお酒をのみに行くほど仲良しだったのに、産後は父がそばにいるだけでイライラ。子どもの顔を覗き込むことすら拒絶し、まさしくバイ菌扱い。でも罪悪感はあったので、喧嘩したあとは一人で泣いていました。母や夫に相談して、早めに家に戻ったら少しずつ解消していきました」(あお)
「子どもが実母だとすんなり抱っこされるのに、私に対してはギャン泣き。そのたびに母親になれない気がしました」(姫ママ)
「どうでもいいことについて両親と祖母に説教していました。今思えば明らかに常軌を逸したおかしな言動だったけれど、みんな優しくしてくれて感謝しかないです…」(あおあお)
「妊娠前から実母が苦手でしたが、妊娠・出産後は、さらに苦手になりました」(奈っ茶。)
誰であろうとイライラ。全方位にガルガル!
「子どもを触る時は毎回、手指消毒を要求し、忘れた人には『消毒!!』って、毎回キレてました」(しろまる)
「抱っこの仕方や話しかける位置(むきぐせや反りが気になる)など、ちょっとしたことも全てが気にくわなくて、1人でイライラしていた」(もきち)
「子育て初心者の私に、まわりの人たちから『そんな心配しなくても適当で大丈夫だよ~』『どうにか育ってくから、もっと気抜いて平気だよ~』などのアドバイスをいただきました。今思えば心を軽くする為とわかりますが、当時は神経質になりすぎて受け止める余裕がなく『当事者じゃないから適当なこと言えるだけだ!』『お前に私の何が分かるんじゃーー!!』と、なってました(笑)」(ゆずまる)
「ガルガル期はいろいろな要素が絡み合っている」とは、ベテラン助産師の濵脇文子先生。ガルガル期の過ごし方のアドバイスを頂きました。
「ガルガル期では、自分を許してあげることも大切」と、濵脇先生
「ガルガル期」という表現は、医学的な用語ではありません。ママたちの気持ちを表現した言葉だと思います。産後、母が精神的に不安定な状態になることがよくあり、原因はいろいろな要素が絡み合っていると推測されています。
【ホルモンバランスの変化】
中でも「オキシトシン」というホルモンが影響していると言われています。オキシトシンは別名・愛情ホルモンとも言われ、赤ちゃんと接することで脳から分泌され、愛おしい感情や幸せな感情に包まれるすてきなホルモンなのですが、一方で攻撃性も併せ持っているのです。
愛おしい=私が守らねば、という防衛本能が強くなりすぎて、周囲に必要以上の警戒心が生まれ攻撃性を強めてしまうのです。
【育児疲れ】
ガルガル期が一番出やすいのが産後1ヶ月と言われています。
妊娠中、すてきな母になることを夢見たママは多いと思いますが、思い通りにいかないのが出産・育児です。完璧主義な人ほど理想が打ち砕かれたことに苛立ち、いつしか「自分はダメ人間なのか」などと何に対してもネガティブな思考になり、夫や家族の何気ない言動にいちいちカチンとしてしまうのです。
こういったいろんな要素や感情が絡み合い、ガルガル期を生み出していると言われています。
「里帰り出産で、とにかく実父にガルガルが酷かったです。(中略)喧嘩したあとは一人で泣いていました」(あお)
親に対して嫌悪感を抱くことに、自己嫌悪に陥るママをときどき見かけます。
産前は良好な関係だった人に容赦ない言動をしてしまうパターンもあるあるで、これは相手に甘えている、信頼しているからだと推測できます。
こういった感情に包まれると、「私はダメな人間だ」と過剰に悲観的になりがち。ネガティブな感情はガルガル期を悪化させるため、今はそういう時期なのだと自分を許してあげてほしいと思います。
失言したり失礼な態度をとるまえに、対策を心がけましょう
①早い段階で相手や周囲に話しておく
自分の感情が不安定だな、コントロールが難しいかもと感じたら、それとなく話しておきましょう。自分の気持ちを素直に伝えられるといいですね。相手が理解してくれず誤解が生まれそうな場合は、ネットや書籍を見せるのも手段です。
②物理的に距離をとる
「失言してしまいそう」と、思ったら部屋を出て別室にこもる、トイレにこもるなど、とにかく相手から離れましょう。
③赤ちゃんとの生活を見直す
SNSなどでよくある、キラキラ育児に惑わされてはいけません(笑)
大人の生活パターンに赤ちゃんの生活を組み入れられるのは、もう少し先です。赤ちゃんをコントロールしようなんて、私でもできません。
赤ちゃん育児は長期戦です。ママの疲れが蓄積しないよう、夫や家族の協力を仰ぎましょう。
「夫のやることなすことにイライラする。産後1年以上たった今でもそう」(Gad)
これはガルガル期ではありません(笑)
人は簡単には変われません。相手を変えるより、自分の考え方やコミュニケーションの取り方を変えてみるといいかもしれませんね。
濵脇文子(はまわき ふみこ)
PROFILE)
助産師・保健師・看護師。大阪大学招聘准教授。星薬科大学非常勤講師。総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務。母と赤ちゃんの笑顔が大好きで、数千人の母子のケアに携わります。産前産後ケアセンターの立ち上げに参加したり、民間企業での事業開発など多方面で活躍。自治体の講演や各種メディア執筆では、ひとりひとりのペースにあわせた母に寄り添う姿勢と、明るく軽快な語り口で人気を博します。
(取材・文/和兎 尊美、たまひよONLINE編集部)
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2024年10月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数197人)
※記事の内容は2024年12月の情報で、現在と異なる場合があります。