「自分より大事!?」わが子にそう思わせない、スマホとのつき合い方に注目
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「日本の子どもの20%が『親は自分よりもスマホが大切だと、時々感じることがある』と回答」。
この衝撃的な調査結果は、2017年9月、アメリカの南カリフォルニア大学が発表したもの。スマホは間違った使い方をすると、このようにわが子に悲しい思いをさせることも…。親子関係も毎日の暮らしもハッピーになる、ママ・パパ・赤ちゃんにやさしいスマホのつき合い方を、メディア情報リテラシーなどを専門とする駒谷先生と考えました。
2020年以降、小学校ではプログラミング授業が必修に!
2020年以降の小学校では、電子教科書や電子黒板を使った授業が行われ、プログラミングは必修科目になります。それ以降に小学生になる赤ちゃんの回りには、ママやパパが育ったころにはなかった、スマホなどのメディア端末があることは当たり前。本物の景色(リアリティ)とつくられたキャラクター(バーチャル)が合体したゲームなどに触れることもあるでしょう。
ベネッセ教育総合研究所の2017年3月の調査によると、「ほとんど毎日」子どもがスマホに接していると回答したママは、4年前の調査に比べ、約10%増の21.2%。「家事で手が離せないとき」に見せるママが多いという実態も。さらに、情報の「受け手」「使い手」「つくり手」「送り手」が1人4役できる時代。そういった環境の中で、赤ちゃんは育つことになります。ぐずるからといって、簡単に手渡してしまったり、正しい使い方を知らないまま赤ちゃんが育ってしまうと、トラブルに巻き込まれたり、学習に支障をきたす恐れも…。
「赤ちゃんにスマホの使い方を教える最初の先生は、ママやパパ。赤ちゃんは2人が使う姿を見て、つき合い方を学び、まねをします」と駒谷先生。ママやパパ自身とスマホの関係を見直すことは、とても重要です。
メディア情報リテラシーを学び、ママが赤ちゃんのお手本に
スマホはなんでもできるコンピュータです。間違った使い方をしないように、ママやパパがメディア情報リテラシーを身につけ、正しいつき合い方をしましょう。赤ちゃんのためにも必要です。
メディア情報リテラシーとは?
メディア情報リテラシーとは、1人1人がメディアの「受け手」「使い手」「つくり手」「送り手」の立場になったときに、メディアから得られる情報を主体的に読み解き、活用し、メディアと楽しく上手につき合う能力のこと。
情報の「受け手」「使い手」になるときは、その情報の「つくり手」「送り手」が発信する意図やメッセージに気づきましょう。
スクリーンに映し出される情報は、「つくり手」の都合で現実の一部を切り取ったものであることを心得て。
情報の「つくり手」「送り手」になるときは、「受け手」「使い手」がその情報をどうとらえるかを考え、発信情報に対して義務と責任を持ち、情報モラルを守りましょう。
ママが赤ちゃんにとって最初のメディアの先生になるための注意点
下記は、インターネット上の情報を「受ける」「使う」「つくる」「送る」ときの注意点です。しっかり確認して、赤ちゃんのよきメディアの先生になって!
1.発信情報は世界中の人が見られる
〝カギ〟をかけた発信も、だれかが転送したら、情報は世界中に拡散されることを忘れずに。
2.発信情報は絶対に消せない
投稿写真や書き込みは、絶対に消せない「デジタルタトゥー」。一晩おいてアップするのが安心。
3.情報を鵜呑みにしてはいけない
ネットはだれでも情報が書き込める世界。得た情報は、信頼できる省庁サイトなどで確認する習慣づけを。
4.顔を見て言えないことは書かない
ネット上でのやりとりは顔が見えない分、誤解を生じやすいもの。本音は電話か対面で話して。
5.他者情報のアップは許諾をとる
該当者にアップ予定の写真などを送り、許可を得て。承認を得たらその記録も保存します。
6.勝手に情報をアップされたら記録を残す
アップされた情報は、スクリーンショットかテキスト保存を。その上で、相手に自分の方針を伝えて。
7.心無い書き込みは冷静に対処する
書き込みにスルーする勇気をもつことも大事。必要以上に気にせず、「レスしない人」と思わせるのも手。
8.なりすまし・アカウント乗っ取りは即対応
SNS上でのなりすましやアカウントの乗っ取りなど、悪意ある情報流出は、法的措置を視野に即対応を。
ルールを決めてつき合えば親子関係も暮らしもハッピーに!
スマホはあくまでも育児の手助けをする、親子のコミュニケーションツールの一つ。良好な親子関係の形成は、スキンシップや目と目を合わせたかかわりなどで、気持ちを通い合わせることが最優先です。でも、ルールを決めてつき合えば、親子関係も毎日の暮らしもよりハッピーに! 親子にやさしいスマホとのつき合い方のポイントをつかみ、楽しく上手に使いましょう。
ポイント1 ママやパパの使用時間を決める
赤ちゃんの昼寝中など、使う時間を決めてスマホとつき合って。スクリーンから発光する「ブルーライト」は覚醒作用があるので、就寝前の使用は避けるように。
ポイント2 子育てをスマホ頼りにしない
「泣いたら即アプリであやす」などの行動はNG。やさしく抱っこしてあげましょう。赤ちゃんの脳をトレーニングするようなアプリを使うよりも、親子で楽しむ実体験を大切に。
ポイント3 赤ちゃんが使うときはママやパパも一緒に!
「スマホはママやパパのもの」が大前提。赤ちゃんにとって「借り物」という意識づけを行うために、ママやパパと一緒に楽しんで! 時間や使い方などのルールも設けましょう。
「初めて寝返りした様子や、かわいいおしゃべりを手軽に記録できるなど、スマホはとても便利なツールです。ママやパパはスマホとのつき合い方に過度に神経質にならず、まずは楽しく上手に使って赤ちゃんにお手本を見せて。ただし、育児中はスマホに限らず、メディアへの「依存症」に陥らないように注意を」と駒谷先生。赤ちゃんとの触れ合いを最優先に考え、家庭に合ったルールのもとでスマホとつき合うといいかもしれないですね。
(取材・文/茶畑美治子・ひよこクラブ編集部)
■監修/駒谷 真美先生(実践女子大学人間社会学部人間社会学科教授)
Profile●お茶の水女子大学大学院博士(学術)取得後、昭和女子大学人間社会学部初等教育学科准教授などを経て現職。専門はメディア情報リテラシー、メディア社会心理学、ICT教育。最新メディアを活用した実践研究、新旧のメディア様相、乳幼児期から老年期までのメディア意識行動など、生涯発達の観点からメディアの「よろづ」研究に従事。
■参考:『ひよこクラブ』2017年12月号「過熱するSNSのわが子自慢にもう振り回されないっ!!」<Amazonで予約・購入する>
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