昔のゲーム機にはアレがなかった…!【御手洗直子のコマダム日記】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」#109
今回はゲームのあの機能にまつわるお話です。
あのゲームにはセーブだけではなくアレも無い
むすめたちがカービィをやっているのを見ると今のゲームにはセーブ機能があっていいな。と思う。
私がゲームを一生懸命やっていた時代にはセーブ機能が無かった。電源を切る=1面から再度スタートである。ゆえに全面クリアとはぶっ続けにプレイする以外に方法が無かった。
いや、『電源を入れっぱなしにしてそのまま放置して、続きは後にプレイする』という方法もあった。らしい。がうちではつけっぱなしという文化がなかったため、この方法が採用されることはほぼ無かった。
ちなみにこの方法を採用していた友達によると、『途中家族の誰かにコードをひっかけられフリーズする』『途中家族の誰かに本体を蹴られフリーズする』『なんかよくわからんけどフリーズする』等の理由により無念なる強制終了を余儀無くされることもままあったようだ。悲しみよこんにちは。残念無念もひときわである。
それでも当時小学生であった私と姉はスーパーマリオブラザーズ3をクリアしたのであった。なんか8時間?とか?(ウロ覚え)ぶっ続けでやってた気がする。止めない親もまあ寛容である。当時ホントに他の人たちもどうしてたんだろう。ぶっ続けでやっていたのだろうか。それともリビングにつないだゲーム機を放置していた勢も多かったのだろうか…。
だがマリオ3はまだいい。終わりがある。クッパを倒してピーチ姫を救えば終わりがあるのだ。問題は終わりが無いのかあるのかわからんゲームである。
当時我々が熱狂してプレイしていたのはバルーンファイトというゲームであった。風船を付けたプレイヤーが風船を付けた鳥の風船を割って落とす。自分の風船を割られたら負けというゲームである。単純だがめちゃくちゃ燃えるのである。12面くらいあって以降は同じ面の繰り返しなのだが、私たちが小学生の時に『50面で終わりなのでクリアすると終わりの画面が見られるらしい』というウワサを聞いた。50面…!
それは死闘であった。二人プレイで協力して進み、20面、30面とクリアしていく。同じ面のループなので障害物の構成もルールも変わらないのだが、敵や障害物の動く速度だけがめちゃくちゃ速くなっていくのである。40面を超えるとなんかもう敵の速度が目に見えなく…はないけどとんでもないスピードで動くのである。50面を目前にして3機を使い果たし力尽きる姉。残りのライフ1の私。あと4面、あと3面、あと2,1………。
そして私たちは成し遂げたのであった。50面をクリアしたのだ。やった。最終面をクリアしたのだ…!どんなクリア画面が…。
と思った瞬間、何事も無かったかのように51面が始まったのであった。『タッタッタッタ タッタ タラタラタラタラ~~~~(テーマ曲)』
50面が最終面。というウワサはデマであった。残酷がすぎる。我々姉妹はそれを自ら証明してしまった。絶望した私はその次の面で死んだ。十数時間の死闘の末のこの仕打ちに完全に絶望し集中力が切れたのであった。
当時セーブ機能があったのならおそらく我らはこの死闘を経ることなく落ち着いた状態で50面クリアを目指せたであろう。いや、もしかしたらコンディションを整えながらさらなる高みを目指せたかもしれない。しかし時代がそれを許さなかった。セーブが無い時代にゲームをクリアすることの過酷さを思い出すのであった。
っていうか終わりがあったのかバルーンファイトは。(たぶん無い。が、正解は知らない。)(おわり)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko