バックアップを取らないと死ぬ（データが）【御手洗直子のコマダム日記】

一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ＆エッセイでお送りします。

「つっこみが止まらないコマダム日記」#122
今回は高校生の時に好きになったクラシックにまつわるお話です。

『Bach: Brandenburg Concerto No. 3』

高校生の頃バロック音楽を聴く機会があり、ブランデンブルク協奏曲を好きになった。

ブランデンブルク協奏曲とはあの耳の聞こえなくなった…と書こうとしてアレッ？いや違うのでは？と思ってググッたらそれはベートーベンであった。あぶない。ウロ覚えにもほどがある。バッハは1685年今のドイツ生まれの音楽家である。300年以上前なのでだいぶ昔の人だ。

さてブランデンブルク協奏曲の3番と２番が好きになり、当時よく駅で見かけた駅のワゴンセールでＣＤを買った。さすが1721年の曲なので版権が切れており安い。一枚500円でタタキ売られていたのでそれぞれ1枚ずつ買い、MDに入れけっこうマジメに繰り返し聴いた。エッ？MDとは何かって？MDとはMini Discの略で録音編集ができるCDとカセットテープが合体したようなものだよ。エッ？カセットテープとは何かって？（エンドレス）

さて時代も移り変わりMP3の登場によってデータ化されたブランデンブルク協奏曲のCDは省スぺのため処分された。というか手持ちのＣＤをほぼ全て処分したのだが、その直後にデータを入れていたノートパソコンが壊れた。フッ…そんな時のためのバックアップ…という知識が無かったため私はこの時今までに手に入れたＣＤ＆音楽データの全てを失った。愚かなーーーーーーーー…（のはわかってるんだけど辛すぎて死んだ）

以後記憶を頼りに今まで持っていた楽曲をレンタルなどで集め直していたのだがB'zやらあゆやらなどはいいのだ。レンタル店に行けば絶対に置いてあるしすぐに手に入る。問題は古いアニメのアルバムやマイナーなドラマＣＤのデータである。これが…レンタル店には無い…のでまんだらけなどで探しようやく今まで持っていたデータをあらかた回収し…あとはまあブランデンブルク協奏曲ならクラシックコーナーへ行けばあるだろう…。ホラあった。よしこれでようやく…。

と思って再生してみると違うのだ。スピードもアレンジも楽器の構成も違う。違う。これは。私が聴いていたブランデンブルク協奏曲ではない…。

そう。ブランデンブルク協奏曲、さすが300年前の楽曲＆超超超有名タイトルだけあって300年×世界中のオーケストラが楽曲をカバーしているため『ブランデンブルク協奏曲３番』だけでもおそらく数百枚ＣＤが出ているのである。エッ？同じ曲ならそんなに変わらないだろうって？バーロォ。『バレンタイン・キッス（国生さゆり）』と『バレンタイン・キッス（跡部景吾 with 氷帝学園中）』は別物だろうが。

そのうち日本に入っている物だけでも数十種類…いや数百種類あるのか…？私はレンタル店で見かけるたびにレンタルしたり名曲100選などのＣＤを試聴してみたりと気が遠くなるような宝探しを続けたが、私が聴いていた『ブランデンブルク協奏曲３番』を見つけることはできなかった。せめて指揮者や楽団名がわかれば…。

そんな出来事から約20年ほど経過し、あまりにもコラムのネタが無いのでこの文章を書きながらググッってみると、見つけた…！なんと見つけたのである。このテンポ、音、アレンジ…！間違いない、私が聴いていた『ブランデンブルク協奏曲３番』である。マジで…！もう一生見つけられないと思ってた…！！

そこはクラシック音楽を上げているサイトで、同じ『ブランデンブルク協奏曲３番』でも多数の音源を上げているサイトであった。私が探していたのは『コレギウム・アウレウム合奏団』というドイツのオケが合奏しているものであった。マジで…ホント。死ぬまでにまた聴けるとは思わなかった。20年経って思わぬ再会をさせてくれたたまひよコラム…ありがとう…。もうネタが無いなんて言わないよ絶対…かどうかはわからないけど…。


800字で発注を受けてるけど興奮しすぎて1600文字も書いてしまった。
ちなみに『ブランデンブルク協奏曲３番　バッハ』ではなく『Bach: Brandenburg Concerto No.３』でググると割とあっさり出てくるのであった。（おわり）

御手洗直子
Profile　pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」（共に新書館）、「腐女子になると、人生こうなる！～底～」（一迅社）、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」（ベネッセコーポレーション）など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
　御手洗直子twitter：＠mitarainaoko