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子どもの生活の場に、もし小児性愛者がまぎれていたら?子どもだけでなく社会全体を守る「日本版DBS」最新情報

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出典:『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!』(光文社) イラスト:ハナウタ

保育園・幼稚園・小学校・塾・スポーツクラブ・児童相談所・レジャー施設・公園のトイレ……。これらはすべて、小児性犯罪が実際に起きた現場です。私たち保護者は、どうすれば我が子を守ることができるのでしょうか。

認定NPO法人フローレンス代表室長で、政府「こども政策の推進に係る有識者会議」メンバーでもあった前田晃平さんに、小児性犯罪の現状と対策についてさまざまな角度から話していただきました。全3回でお届けします。

Profile 前田晃平さん

ベビーシッターが強制わいせつ罪で逮捕された、あの事件

2020年6月、日本中の親たちが大きなショックを受ける事件が起きました。ベビーシッターマッチングサービス大手である株式会社キッズラインの登録シッターが、派遣先の子どもに対する強制わいせつ罪で逮捕されたのです。

ジャーナリスト・中野円佳さんの記事によれば、わいせつ行為は外遊びに連れていった公園のトイレで、あるいは、大胆にも親が在宅勤務をしている隣室でも、行われていました。助けを求めた子どもが母親のいる隣室の扉を開けようとすると、シッターは「ママはお仕事しているから入っちゃだめだよ」と制止しました。後日、子どもの様子がおかしいことに気づいた保護者が、本人に理由を聞き、性被害にあっていることがわかったそうです。

親なら誰もが「こんなシッターには絶対に子どもを預けたくない」と思うでしょう。しかし大変残念なことに、現在の日本には性加害の前科があるシッターを避ける方法がありません。

もう二度と、同じ事件を起こさないために

事件後、キッズラインは再発防止策として男性シッターのサポートを一時停止しました。専門家曰く、男性シッターが性犯罪を犯す確率が高いから、とのこと。

しかし、これが本質的な解決策になっているとは思えません。米国司法省の統計データによれば、保育現場の性犯罪の77%は男性シッターによるものですが、身体暴力の64%は女性シッターによるものです。男性を業界から締め出せば、子どもの安全が確保されるわけではありません。

どうすればこんな悲しい事件が二度と起きないようにできるのでしょうか。考えた結果たどり着いたのが、小児性犯罪の前科がある人が、子どもと関わる現場に再就職できないようにする仕組みづくりです。

こういった仕組みは欧米などの先進国ですでに導入されており、中でも参考になるのがイギリスです。イギリスには、DBS(Disclosure and Barring Service/[Disclosure=開示]、[Barring=障壁・バリア])という政府部局があり、ここが各事業者が行う犯罪記録チェックのリクエスト処理を行っています。「日本版DBS」はこの制度を参考にしています。

DBSは警察記録を検索して、申請者に、過去に性犯罪を行っていないことを証明する「無犯罪証明書」を発行するのです。これで、保育事業者や学校は、保育士や教師が少なくとも子どもへの性犯罪の前科がないか、チェックした上で雇用することができます。

真面目に働く、男性シッターや男性保育士の力に

「日本版DBS」の話をすると「犯罪者の社会復帰を邪魔するのか!」というコメントをいただくことがあります。私は性犯罪者であれ誰であれ、社会復帰を応援したいと思っています。ただ、子どもたちを守るために「子どもとかかわる職場」は再就職先から外してほしいと思っています。

性犯罪者の加害者臨床に携わっている精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏は、小児性愛とアルコール中毒には似たような側面があると言います。治療を受けて立ち直っても、目の前にアルコールがあったり、子どもがいたりすることがトリガーとなり、一瞬で過去の自分に戻ってしまうのです。

「子どもと一緒にもう一度働ける」という選択肢を無くすことは、加害者の更生を助けることにもつながるということを、一人でも多くの人に理解してもらえたらと願ってやみません。

また「日本版DBS」は、真面目に働いている人を守るための施策でもあります。男性シッターや男性保育士の中には、「偏見の目で見られるかもしれない」ということを承知の上で、情熱を持って働いている、と話してくれた人もいます。「日本版DBS」で無犯罪であることを証明できれば、真面目に働いている多くの男性保育者を守ることにもなります。

「日本版DBS」実現のため、私たちにできること

「日本版DBS」の必要性を訴える前田晃平さん

私は「日本版DBS」の制定に向けて、政府「こども政策の推進に係る有識者会議」のメンバーとして政策提言したり、現在も民間の立場から、政治・行政の方々と相談しながら、実現に向けて動いています。「日本版DBS」の法案を2023年の国会に提出するため、今、この瞬間も、政府の中枢にいる人々が頑張っています。

しかし残念ながら、まだまだ先行きは不透明です。どこかで道を間違えると、換骨奪胎され、DBSという名前がついただけの誰も助けられない制度になりかねません。有権者が「私たちはちゃんと見ているぞ」と目を光らせていなければならないのです。

本件がどこまで進んでいるか、ぜひ一度「日本版DBS」で検索してみてください。そしてもし「全然進んでない!」と感じたら、職場でこの話をしたり、SNSで発信したりしてもらえたら嬉しいです。可能であれば、「日本版DBS」について地域の議員に聞いてみてもいいかもしれません。

「世論」とは詰まるところ、私たち一人一人の思いです。私たち親が動かなければ、子どもを守ることはできません。「日本版DBS」実現のため、みなさまのお力をお貸しください。

取材/文・華井由利奈

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