パパ目線の育児を描いた『お父さんクエスト』が好評!小山健さんインタビュー
育児エッセイ漫画ブームといわんばかりに、書店に並ぶたくさんの育児本。けれど、そのほとんどは「ママ目線」で描かれたものばかりです。そのなかで、今、ツイッターやインスタグラムを中心に、ジワジワと話題を呼んでいるのが『お父さんクエスト』という育児エッセイ漫画。不妊治療、妻の妊娠・出産、産後のパパの気持ち、育児のモヤモヤ…すべて赤裸々に、「パパ目線」で描かれています。自分なりに一生懸命に頑張っているつもりだけど、なかなか妻に認めてもらえない…そんなふうに思ったことがあるパパは必読! 漫画家・イラストレーター、9カ月の女の子のパパである、著者の小山健さんにお話を伺いました。
ママ目線の育児エッセイ漫画にはもう「空き」がなかった
――小山さんにとって、『お父さんクエスト』は初の育児本ですよね。なぜ育児エッセイ漫画を描こうと思われたのですか?
「ポプラ社でweb連載が決まって、何を題材にしようかなと考えたときに、ちょうど奥さんが妊娠していたので、じゃあそのことを描こうかな、と。
でも、すでに世の中にはお母さん目線の育児エッセイ漫画がたくさんあるし、正直もう空きがないな、とも思いました。じゃあ、子どもがあれをしたこれをした…ということよりも、お父さんがそのときどうだったか、というお父さん目線で描こうと決めました。あと、育児中って、お母さんは本当に赤ちゃんのことをず~っと見ていますよね。でも、お父さんは赤ちゃんを見つつも、お母さんのことばっかり見ていると思うのです」
――パパは赤ちゃんとママの両方を見ている、ということでしょうか?
「そうですね。そういう印象がありますね、僕も含めて。”家族全体”がうまくまわるように、なんとかならないかな~ってずっと考えているのが、男性なのかもと思っています。
でも、男性っていくつかのことを同時にするっていうのが、苦手なことが多いですよね(笑)。僕も何かしているときに奥さんに話しかけられると、反応できないことが多々あって。奥さんはテレビを見ながらでも僕の話を聞けるんですけど、僕はだめですね…。『全然聞いてない~!』、と怒られます(笑)」
「ほめられるために育児をするな!」と怒られるかと思った
――作中に、パパがおむつ替えや調乳などをしても「してあたりまえ」だから、ほめられない…という描写があって、すごく共感しました。「ほめられたい」と思うのは、女性も男性も一緒なのかも、と。
「僕はこの話を描いたとき、『ほめられるために育児をするな!』と怒られないかな…とひやひやしました。いつも、絶対に怒られたくないと思っているので、そのあたりは気をつけて描いていますが…。
でも、普段作品の感想をツイッターやインスタグラムでもらうことが多いのですが、賛否でいうと『賛』が多くて、そこはほっとしました。『夫に読ませたい!』や『夫もこういう気持ちだったのかな…と歩み寄れました』という女性の意見をもらえて、まさに肩身の狭いお父さんがどうしたらいいのか、という気持ちで描いたので、そういうふうにお母さんたちに感じてもらえてよかったです」
――育児や夫婦関係について、夫婦のやりとりや「パパの葛藤(かっとう)」が赤裸々に描かれていますよね。ハッとするような描写もありますが、基本はしょうもない話だったり(笑)。
「ありがたいことに、たくさんのお母さんたちにも読んでいただいていますが、この漫画は、そもそもお父さん向けに描いていたんですよね。お父さんになったからといって、急に人間が変わるかといえばそうではないな、と。『お父さん』の気持ちが描かれた育児エッセイが少ないから、僕はこの漫画を通して『男は、スケベなままお父さんになるのだ!』ってことを力強く描こう、と決めていました(笑)」
18時から21時の間は、育児時間に
――育児をしていて、大変だなと感じることはありますか?
「普段は家で仕事しているのですが、今日みたいに、打ち合わせなどで外で仕事する日もあります。たまに長引いて21時くらいに帰ると、玄関開けたときの家の空気が大変で…。取りあえず奥さんに『お疲れさま!』と言いますが、すごいムスッとしています…。
そういうときは変にご機嫌をうかがわず、距離を置きますね。様子を見て、『おかげさまで、今日これだけ仕事が進んだよ!』、と感謝を伝えるようにしています。これがベストかはわからないですが、今はこれがベターかな…という感じです(笑)。
でも、最近は18時から21時の間は、もう仕事をあきらめているところもありますね。夜ごはん、おふろ、寝かしつけ…と、やることが多いですし、1人では大変なので…。僕が娘をおふろに入れるときもありますし、奥さんが娘をおふろに入れるときは、ころ合いを見て娘をおふろ場まで渡しに行って、奥さんが娘を洗い終わったらまた迎えに行って…みたいにしています。あとは娘が熟睡するまで、泣いたら交代であやすようにしたりとか」
――夫婦でチームプレーをしている感じですね。娘さんはまだ9カ月なので、今後も続編なり、育児エッセイを描く予定はあるのでしょうか?
「う~ん、とくにその予定はないですね。漫画を描き始めて気づいたのですが、0才児って泣くか寝ているかで、お世話は大変だけど、あまり描くことがたくさんなくて…(笑)。あとは、“イヤイヤ期”とかよくいいますけど、娘が2才くらいになって、描くことができたら、そのとき考えようかなと思っています」
キラキラしていない育児、夫婦の姿をありのまま描いている『お父さんクエスト』。タイトルにもあるとおり、育児や夫婦関係には「正解」がないからこそ、一生、クエスト(探求)していくものなのかも…。読書の秋に、育児時間の息抜きにも、おすすめの1冊。ぜひ、ママとパパ、2人で一緒に読んでみてくださいね!(取材・文/ひよこクラブ編集部)
Profile●小山 健
漫画家・イラストレーター。会社員時代に趣味で描いていた漫画をきっかけに、漫画やイラストの執筆を始める。2013年に独立。現在はさまざまな雑誌、書籍、WEBなどで幅広く活動。一児の父。
『お父さんクエスト』(ポプラ社)1296円
ウェブアスタで連載されていた育児漫画が待望の書籍化。連載された29本の漫画+豪華描きおろしも満載。自らの経験や失敗談をもとにしたイラストコラム、「お父さんのためのワンポイントアドバイス」は全国のパパ必読!
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