お墓が山の急斜面にあるとこうなる【御手洗直子のコマダム日記 #125】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」#125
今回はお墓にまつわるお話です。
なんらかの方法
少子化の問題もあってお墓の問題をチラホラ聞くが、うちも父母が死んだら適当に墓じまいせよと母から命を受けている。けっこうな年月&人数を収容している実家の墓だが、末裔である私たち姉妹のうち長女はすでに亡くなり、次女三女は嫁に出ており、もう入る人がいないからである。
なんとなく人がたくさん入っているので終わりにしてしまうのももったいない気がするが実家の墓は立地がクソなので遠慮無くたたませていただこうと思っている。
さて以下実家の墓の立地について心ゆくまでディスらせていただくが、まず遠い。なんでこんな場所に墓を買ったんだというくらい遠い。実家から車で一時間である。なんでだよ。先祖が買ってその後引っ越したというならまあそうかという気もするがそうでもないのである。買った瞬間から家から遠かったのである。なんでだよ。
次に墓が山の上にあるのである。ホントなんでだよ。途中までは車で行けるが現地までは徒歩で行かなければならない。急斜面に一応階段があるのだが、朽ち欠けた石を積んだ石段なのでもうどこがどういう段なのかあやふやな石段なのである。当然手すりなど無い。&苔で覆われているのですべるのである。急斜面の溶けかけた石段に苔。である。すべって転んだら即座に死ぬと書いて即死である。晴れの日でも十分ヤバいが雨の日はめちゃめちゃヤバいし雪の日は死ぬほどヤバいのである。私は聞いたことないけどたぶん2~3人死んでるんじゃないかと思う。直近に火葬場があるので直焼き即納可能である。おそろしい。
さて序盤の石段を越えるとあとは広大な敷地に墓墓墓なのだが、地図とか道案内とか区画表示とか一切無いのである。ではどうやって墓にたどり着くかというと口伝なのである。マジで?親から案内されないと子は墓の場所までたどり着けないのだ。忍びの里かよ。ちなみに私と姉はいまだに一人でたどり着けないので両親に何かあったらうちの墓はそこで終わりである。そんな終わり方があっていいのか。
そんな墓しか見ずに育ったので義実家の墓が家から車で5分の平地にあって驚いた。すごい…!お墓って車椅子で行けるんだ…!ビルの中のお墓とやらもそうだけど、年をとってから気軽に行けないと墓参りなんてできるわけがないのだ。
母からは『死んじゃったらもうわからないから適当でいいよ。』と言われているのだが、いやでもじゃあ死後の世界があって困ったらどうすんのと聞いたら『その時はなんらかの方法で連絡をとる』と言われたのであった。なんらかの方法ってなんなんだ。こええ。(おわり)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko