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「うつる病気」と言われ悲しい思いをしたことも…。心臓の機能は2割低下したままだけど、運動もできるし快活な娘に【不全型川崎病験談】

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生後10カ月のときに「川崎病っぽい症状」があったものの、発熱がないため診断はされず、1才4カ月のときに、心臓の筋肉に血液を送っている血管、冠動脈に瘤(りゅう)が見つかった森下美玖ちゃん(仮名・7才)。心臓の手術をするために東海地方の子ども専門病院に転院しました。2カ月にも及んだ入院の様子を、両親の恵里さん(仮名・42才)と和彦さん(仮名・47才)に聞きました。

(上の写真は、子ども専門病院に入院中の1才7カ月の美玖ちゃん。点滴中も「自分のことは自分でする!」という意欲が強かったそうです)

心臓の弁の手術のために、実績がある病院に転院。さらなる検査を

右冠動脈に1センチ程度の瘤ができた影響で、心臓に4つある弁の1つ、僧帽弁に障害が起きていて、僧帽弁の手術が必要と大学病院で診断されたのは、美玖ちゃんが1才4カ月のとき。恵理さんと和彦さんはこの手術の実績がある病院をいくつか調べて、話を聞きに行き、東海地方の子ども専門病院で手術を行うことに決めました。そして、1才7カ月のときに東京の大学病院から転院します。

「大学病院から東京駅まで民間の救急車で行き、新幹線に乗りました。点滴をはずさずに移動するため、ベビーカーでどのように点滴の機材を運ぶかを事前にシミュレーションし、東京駅の駅員さんに最短で新幹線に乗れるルートを教えてもらいました。
娘は楽しいのか、新幹線の中ではテンションが高めでした。大学病院の先生がつき添ってくれたので問題なく移動でき、つかの間、親子の平穏な時間を過ごせて私も幸せでした。到着後は子ども専門病院のドクターカーに美玖、先生、妻が乗り、私は車で来ていた両親とともに病院に向かいました」(和彦さん)

当初は、転院して5日後に手術をする予定でしたが、子ども専門病院で手術前のより詳細な検査をしたところ、なんと別の問題が見つかり、手術は行わないことになったそうです。

「僧帽弁の手術をして、心臓の働きをよくする予定だったのですが、検査の結果、左右の冠動脈に血栓が浮いていて、このまま手術をすると、その血栓で血管が詰まる可能性があるというのです。それでは、美玖の心臓の状態が悪化してしまいます。そこで、冠動脈の状態を見る検査と、血栓を溶かす治療を先に行うという説明を受けました。
娘の体調はよく、手術前にリスクがわかり、そのリスクを詳しく調べることができるだけの体力が娘にあるのだから、やっぱり私たちはついているんだと思いました」(恵里さん)

自宅から遠く離れた病院での生活。息子に駅で号泣されたのがつらかった…

おにいちゃんは病室に入れないので、ドア越しの対面ですが、とても優しいまなざしで美玖ちゃんを見ています。

転院5日後には手術をして、術後のケアが終わったら東京の大学病院に戻る予定でした。それが、血栓のことがあり、予定がたたない状況になってきました。

「転院当初は病院提携のホテルに宿泊していましたが、長引きそうなので、病院内にある長期滞在家族用施設へ移動することにしました。美玖の病気のことを考えると不安でいっぱいでしたが、6才の上の子のことも心配でした。
息子の生活リズムはできるだけ変えないようにしたいと思い、夫と息子は東京の自宅で暮らし、土日だけお見舞いに来る生活に。息子は病室に入れないため、夫が娘のそばにいる間は、私は息子と外で遊んだり、話をしたりして、できるだけスキンシップとコミュニケーションを図るようにしました。
でも息子に寂しい思いをさせているのは事実で、駅で別れるときに『ママ―!!ママ―!!』と大泣きされ…切なくて私も泣いてしまいました」(恵里さん)

「子ども専門病院に入院して3週間近くたったころ、妻が息子と帰宅し、私が病院に残って娘の面倒を見たこともありました。息子はママと離れたくなくて、保育園に行けなかったようです。私と2人のときは我慢していると思うので、できる限り息子の気持ちに寄り添うようにしようと、妻と話しました」(和彦さん)

冠動脈瘤が退縮する際に心筋梗塞を起こすリスクがあることを告げられる

子ども専門病院に入院して約1カ月、美玖ちゃんの状態はずっと落ち着いており、機嫌はよく、食欲もあったそうです。CTや心エコー、心臓カテーテル検査などさまざまな検査を行ったあと、治療方針について説明がありました。

「『不全型川崎病性冠動脈瘤』と『重症僧帽弁逆流症』という2つの病名が告げられました。右側の冠動脈は完全に閉鎖しているけれど、新しい血管ができて状態はよくなっているとのことでした。左側の冠動脈は依然、瘤がある状態でした。
僧帽弁の修復手術を行う場合、人工弁に取り替える可能性があり、人工弁の使用はなるべく心臓が大きくなってからにしたほうがリスクが低いので、手術を待つリスクと手術のリスクを比較し、数年単位で手術を待つという判断がされました」(和彦さん)

そして2016年10月、美玖ちゃんが1才8カ月のときにいよいよ退院の日がやってきました。血栓予防のためのワーファリンという薬や、心臓の働きを抑えるβブロッカーなどの薬が必要なので、通常の診察は最初の大学病院で行い、心臓の検査は子ども専門病院で行こうことになったそうです。

「2017年2月に子ども専門病院で検査したあとに聞いた説明によると、冠動脈にできた瘤が小さくなる(退縮する)際に、血管が詰まって狭窄(きょうさく)を起こす可能性があるそうです。退縮が進むと心筋梗塞を起こすことがあり、退縮は発病から3年程度は起こる可能性があるとのこと。2016年5月にせきが出始めたときが発病と考えると、この先2年間は警戒が必要。心臓カテーテル検査を年に1~2回行い、退縮の状況を把握することになりました。

子どもの場合はゆっくり退縮すると、側副血行路という血管が新しくできて、大人の心筋梗塞ほど致命的なことにはなりにくいという説明を受けました。細くなった血管に血栓が詰まるなどで、急に栄養が途絶えるのがよくないのですが、それは可能性としてはあまりないという見解でした」(和彦さん)

授業の体育は〇だけど運動部入部は×。病気とのつき合い方を伝えています

現在、美玖ちゃんは7才、小学2年生になりました。

「退縮は起きたのですが、現在は元の血管の太さになっています。僧帽弁の手術は現在まで行わずに済んでおり、ワーファリンの服用は2才11カ月のときに終わりました。幼稚園入園前にワーファリンを卒業できたので、幼稚園では何の制約もなく3年間を楽しく過ごすことができました。やはり私たちはついているんだと思います。

小学校では体育の授業もOKで、楽しむ程度ならスポーツの制約はないけれど、1つの競技に打ち込む運動部はNGといわれています。娘の心臓は2割程度機能していないということですし、心拍数を抑える薬も服用しているので、激しい運動を長時間続けると心臓に大きな負担がかかってしまうのです。
今は器械体操と一輪車のクラブに入っていて、とても楽しそうに参加しています。でも、ちょっと根を詰めると疲れるようなので、一生懸命になりすぎないように気をつけています」(恵里さん)

恵理さんと和彦さんは、美玖ちゃんが子ども専門病院に入院中に、「川崎病の子供をもつ親の会」に入会しました。

「川崎病に関する情報が欲しくて、ネット検索も、Facebookへの書き込みもなんでもしました。そして、親の会主催の講演会も聞きに行きました。川崎病の疫学調査をしている先生と、臨床現場で川崎病の治療をしている先生の講演で、とても勉強になりました。娘のような発熱がない不全型川崎病の予後について質問したところ、その時点では4例しか報告がなく、川崎病と同じ病気なのかも含めてわからない、ということでした。典型的な川崎病ではない子どもがいることを広く知ってもらいたいと思い、その場で入会を決めました。
その後の講演会で話を聞いた先生が、娘の病状をとてもよく理解してくださったので、今はその先生が主治医です」

まだ退縮の可能性はゼロではなく、また、心臓が成長するのに従って弁の形も変わるので、逆流が悪くなることもあり得るし、思春期以降に不整脈が出てくる可能性もあるといわれています。
でも、私たち夫婦はこれまでの経験で、あきらめなければ道は開くことを学びました。これからもその気持ちを持ち続け、娘に寄り添っていきます」(和彦さん)

「娘は一生薬と定期検査が必要になるでしょう。自分の病気を理解しておかなければいけないので、入院中にどういう状態だったのかなども説明しています。

川崎病はそれほど珍しい病気ではないと思いますが、たまたま公園で一緒に遊んだ初対面のママに、川崎病だったと話したら、『うつる病気ですよね!?』と距離を取られたことがありました。一般の人にはまだそんな誤解をされているんだ…と悲しくなりました。正しい知識が広まり、今現在川崎病で苦しんでいる子どもも、かつて川崎病だった子どもも、安心して暮らせる世の中になってほしいです」(恵里さん)

【益田先生より】川崎病の後遺症が残った場合は、定期的に検査を行い心臓の状態を確認します

川崎病は、約2.5%に後遺症を残します。主な後遺症は、心臓を栄養する血管の冠動脈が拡張して冠動脈瘤を形成することです。冠動脈瘤を改善させる治療方法はなく、自然によくなるのを待つしかありません。瘤の大きさが大きいほど、改善しにくくなります。冠動脈瘤がある間は、瘤の中に血栓を作らないようにするために、血を固まりにくくする薬剤を内服する必要があります。心臓の状態によっては、利尿剤や交感神経遮断薬などを内服する場合もあります。
日常生活では、定期的な医療機関への受診が必要です。また、冠動脈瘤の大きさや形状、心機能によっても異なりますが、体育などの運動を制限しなければならない場合もあります。

お話・写真提供/森下恵里さん・和彦さん 取材協力/川崎病の子供をもつ親の会 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

監修/益田博司先生

川崎病は原因が解明しておらず、わからないことも多い病気です。不全型川崎病は診断がつきにくいケースもあるので、恵里さん・和彦さんのように「何かおかしい」と感じたときには、行動をしたいものです。

川崎病の子供をもつ親の会

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