スムーズな職場復帰のために、育休中「やっておくべきこと」は?
まずは、保育園探し!
育児休業に入って数カ月。育児にも慣れてくると、だんだんと職場復帰のことが気になり始めます。では、スムーズな職場復帰のために、育児休業中にどんな準備をしておいたらいいのでしょう。
大前提は、保育園が確保されていることですね。自治体によって状況は異なりますが、基本的な保育園の探し方を紹介します。
①住んでいる自治体の担当窓口へ行って、保育園の一覧表と入所手続きの資料を入手。認可保育園だけでなく、認可外保育園、認定子ども園、預かり保育のある幼稚園、小規模保育室などの一覧をもらっておきましょう。
②通える範囲の預け先をすべてピックアップし、見学する。
③地元の子育て支援拠点や育休ママ向けのイベントなどで保育園の評判について情報収集する。
④待機児童がいる地域では、認可保育園の申し込みをするだけでなく、認可外保育園やそのほかの預け先にも必ず複数申し込んでおく。
親子共に、生活リズムの見直しを
今、起きる時間や食事の時間、寝る時間が毎日違っている場合は、復帰が近づいたら、生活リズムを規則正しくしましょう。親子とも、職場復帰に向けて規則正しい生活パターンを確立しておくことが大事です。そうすると、復帰後の1日の生活の組み立てがしやすくなります。
母乳の方は、復帰後も授乳を続けるかどうかを考えておいたほうがよいでしょう。
私の場合、1人目のときは復帰を1才ちょうどに予定していたので、育休中に卒乳しました。しかし2人目では生後4カ月で復帰したこともあり、卒乳はせず、自然に任せていました。朝晩だけの授乳、そのうち夜寝かしつけのためだけの授乳になり、最終的には1才半ごろにやめたような気がします。
搾乳のためのスペースがある職場は非常に限られており、多くの人がトイレで搾乳しているというのが現状です。育休から復帰する女性が多い職場でしたら、会社に搾乳のためのスペースを作ってもらえないか、頼んでみるのもよいかと思います。
欠かせないパートナーとの協力体制
毎日出勤するための準備としては、パートナーや支援者などとの協力体制をつくっておくことが重要です。
起床から出勤までには、朝食の準備、身じたく、保育園の送り。夕方はお迎え、夕食、ふろ、寝かしつけ。洗濯も毎日必要です。保育園が決まって職場復帰が近づいたら、1日の夫婦それぞれの動きを時間軸に沿って書き出してみて、実際にシミュレーションしてみましょう。
職場が家からとても近いという人を除き、保育園の送り迎えはできるだけ分担しましょう。通勤時間が長い場合、1人で送り迎えをすると短時間勤務でもギリギリという状況になりかねません。これが毎日続くと、ちょっとしたことで勤務時間がマイナスになってしまいますし、短時間勤務から通常勤務への移行もしづらくなります。
送り迎えを分担する場合も、自分をお迎え当番にがっちり固定しないように気をつけましょう。週1回ぐらいはお迎えをだれかに頼んで、自分が楽しんだり勉強したり、自分を見つめたりするための時間をつくることも大切です。
子どもが病気のときの対応については、保育園に登録する親の連絡先の1番目をパートナーにしておくことを検討してみましょう。パートナーの仕事内容にもよりますが、お迎えコールのとき、パートナーに行ってもらえれば助かりますし、行けなくても直接連絡が入ったことで次の日に休んでもらいやすくなります。
地域の病児保育、在宅で病児を見てくれる民間のサービスに登録しておけば、パートナーともども休めないときに利用できます。ベビーシッターも病児を見てくれることが多いので登録を検討してみましょう。
ベビーシッターに抵抗がある人は、育休中にお試し利用してみてください。不安がなくなり選択肢の一つに考えられるようになるかもしれません。
仕事と家事をストレスなく両立するための事前準備
家事については、まず「三種の神器」(食洗機、全自動洗濯乾燥機、掃除ロボット)をおすすめします。製品を実際に見て、必要なものを導入しましょう。高い買い物ですが、毎日フル稼働するものですから有効な投資かと思います。
毎日買い物に行く時間を節約するために、週1回配達してくれる宅配サービスやネットスーパーを利用すると便利です。夕食の用意を朝や週末にまとめてする方もいますが、料理が苦手な人は楽な方法を。冷凍食品やお総菜、夕食材料の宅配サービスなどを上手に利用しましょう。
職場復帰の1カ月前には、職場を訪ねて上司との面談をおすすめします。この面談の目的は、自分の育児両立環境を理解してもらうことです。
「通勤時間、保育時間の関係で、勤務時間はこの範囲にしたい」
「短時間勤務は子どもが○才になるまで使いたい」
「職場にいる時間は短くなりますが、効率よく働き、職場に貢献したいのでよろしくお願いします」とぜひ上司に伝えてほしいのです。
時短勤務者の扱いに慣れていない職場がまだまだ多いので、自分から積極的に情報発信してコミュニケーションをとることで周囲に理解してもらえるように努めましょう。
山口理栄 先生
育休後コンサルタント
総合電機メーカーにてソフトウェアの設計開発、製品企画に従事。社内の女性活躍推進プロジェクトのリーダーを経て2010年より現職。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。共著に「さあ、育休後からはじめよう 働くママへの応援歌」(労働調査会)。育休後の働き方を考え、情報共有し、交流するための「育休後カフェ」を随時開催。
※この記事は「たまひよコラム」で過去に公開されたものです。