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遊びの専門家に聞く、今と昔の子どもたちの変化とは?デジタル社会だからこそ期待されるおもちゃの力

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福岡おもちゃ美術館の木のたまごプールで遊ぶ親子。

子どもにとっておもちゃで楽しく遊ぶことは、五感を刺激したり、手指を発達させたりと、成長につながる大切な機会を作り出します。2022年4月にオープンした福岡おもちゃ美術館館長の石井今日子さんに、子どもの成長発達を支えるおもちゃの力について、話を聞きました。

子どもが主体的に遊べるおもちゃは親にとっても楽しい発見がある

――最近の親子にはどんなおもちゃが好まれていると感じますか?

石井さん(以下敬称略) どんなおもちゃを好むかは、とても多様化してきているという印象です。人それぞれ、というのが顕著になってきたと感じますね。そういう中で子どもにこれを与えておけば安心、といった結果が見えやすいものが好まれる世の中だな、とも感じます。

ママやパパから「うちの子○才○カ月なんですけど、この月齢の子どもにどんなおもちゃがいいですか?」と質問を受けることが多いです。おもちゃで遊ぶことで結果として何かの能力が高まるとか、勉強ができるようになるとか、そういった目に見えてわかりやすい結果を求める人が増えているなと感じます。

――せっかくおもちゃを買うなら何か子どもの成長にいいものを、と思う気持ちはわかります。

石井 たしかにそうですよね。でも子どもの発達によっておすすめのおもちゃはあったとしても、すべての子どもがそのおもちゃで遊ぶなんてことは決してありませんよね。1人1人好みも違うし、発達の段階も違いますから。
子どもに合ったおもちゃを見つけるには、子どもが主体になって遊ぶ様子を見たり、保護者が子どもと一緒に遊んだりしながら、「この子は動くものが好きなんだな」「音が出るものを喜ぶな」と子どもの好きそうなことを見つけてほしいですし、それが子育ての面白いところだと思います。

今はコロナ禍で難しい面もあるかもしれませんが、児童館やおもちゃ美術館、公園、自然のある山などにいったときに、子どもがどんなものに興味を持つのかを観察してみてはいかがでしょうか。
そういう点では、シンプルなアナログおもちゃは、親が主体で子どもに与えるのではなくて、子どもが主人公になって、自分の興味や関心を見つけるのを待ってあげられるのはいい点だと思います。


――子ども自身がおもちゃに主体的にかかわることで、回り道かもしれないけれどもそのぶん体験が増えるということですか?

石井 そうですね。シンプルなおもちゃほど、どうやって遊ぶかの働きかけが子どもによってそれぞれ違います。たとえば木の箱に玉を入れるおもちゃなら、ひっくり返すのが好きな子、穴に球を入れるとすぐにわかる子、玉だけを取ってどこかに持っていっちゃう子など、それぞれ遊び方は違います。
それにつき合ってあげて子どもの様子を見ていると「へえ、こんな面白いことするんだなあ」と、その子に対しての新しい発見もあるし、子育ても面白くなると思うので、ぜひママやパパに味わってもらいたいです。

多様な価値観との触れ合いが子どもを豊かに育てる

――共働きで忙しくなると、平日にはなかなか子どもとゆっくり過ごす時間を取れないこともあるかもしれません。

石井 それもあると思いますし、1人の子どもに対してかかわる大人の人数が少なくなったと感じます。昔は近所や地域の人など、気にかけてくれる人がたくさんいましたが、今はママ・パパ、先生、たまにおばあちゃん、と、限られていると思います。近所づき合いや世間というのは、子育てに口出しをされるなど煩わしいこともあるけれど、子どものことを知っている人が多いというのは、その子にとってはとても幸せなことだと思います。
親以外に、その子のいいところを知ってくれている人や客観的に見てくれる人たちと触れ合ったほうが子どもの世界は豊かになると思います。

おもちゃ美術館で、子どもの遊びにおつき合いしたり、見守ったりしているボランティアスタッフにもいろんな人がいて、子どもがしていることをそっと見守る人もいれば、ちょっと走ると「危ないよ!」と注意する人もいたりします。社会って、そういうものですよね。いろんな人がいて価値観もみんな違うもの。だからいろんな人とかかわって、いろんな価値観に触れたほうが、大人になってから生きやすくなると思います。いろんな人の温かい気持ちにたくさん接することで、地域・社会で生きていくことの安心感も生まれると思います。

時代による子どもの遊びや器用さの変化

――石井さんが子どもたちの遊ぶ様子を見ていて、昔と比べて変化していると感じるところはありますか?

石井 私が東京と福岡のおもちゃ美術館で子どもたちの様子を見ている中で、最近の子どもたちは指先を使う機会が少なくなっていると感じます。具体的なデータがあるわけではありませんが、私が子どもだったころ、そして私が保育士や幼稚園教諭をしていたころと比べ、生活が便利になったことが原因の一つではないかと考えています。

たとえば、手を洗うときには自動で水が出ますので、3本の指で蛇口をひねる動作をする機会が減りました。泡タイプの石けんを使用すると、固形石けんを手で泡立てることもないですよね。照明のスイッチも人感センサーで自動でついたりしますよね。

おもちゃ美術館に来館する子どもたちを見ていると、手作りおもちゃを作るワークショップをするときなどに、セロハンテープのカッター台からセロハンテープを引っ張り出し、指でつまんで指先に力を込めてカッター部分で切る動き、あるいは、ひもを結ぶのも片方のひもをもう片方の下にくぐらせてつまみ出すような動き、このような器用さが要求される動作が難しくなってきていると感じます。5才くらいになっても、できない子が多いな、という印象です。そういう面で、工作などの遊び方は少し変化しているのかもしれません。

デジタルツールの使いすぎは主体的な遊びの機会を奪う

――スマホ、タブレットなどのデジタルツールを2才くらいから使い始める子もいます。幼児期からデジタルツールを利用することで心配なことはありますか?

石井 デジタルツールが子どもの成長に悪影響があるのか、逆にいい影響があるのか、今専門家の方が調べているところだと思います。
ただ、幼児期の子どもたちにとって、デジタルツールはどうしても使用時間が長くなってしまうことはあると思います。大人もそうですが、スマートフォンを見ているとあっという間に時間がたってしまいますよね。ゲームアプリなどで遊び始めると、時間を区切ることはなかなか難しいのではないでしょうか。

スマホやタブレットがない時代は、何かを待っている間にしりとり遊びをやろうとか、ひまな時間があったらだれかを遊びに誘うとか、ちょっとしたすき間時間は子どもにとって面白い遊びを発見する時間でもあったと思います。今は、そんな小さい遊びの機会も減っているのではないでしょうか。
自分から積極的に外の世界に働きかけようとしたり、好奇心を満たすような活動をしている時間が奪われているだろうなと想像でき、もったいないな、と感じます。

コロナ禍での遊びと子どもの育ちへの影響は?

――コロナ禍で外出自粛期間や感染予防のために、子どもが児童館や子育て支援センターなどに集まって遊ぶ機会が減った数年間だったと思いますが、子どもにどんな影響があると考えますか?

石井 この2〜3年間で外出すること自体が減り、子どもの遊ぶ機会やいろんなことにチャレンジする貴重な機会が奪われてしまったことはとても残念です。おもちゃ美術館に遊びにくる子どもも、最初は様子を見ておとなしくしている子が多く、場に慣れるのに時間がかかっている印象もあります。

でも、子どもは結構たくましいので、むしろいろんなことを乗り越えてくれるんじゃないかな、という期待もあって、あまり深刻にはとらえていません。これから、コロナが落ち着いてからいろんな経験をして補えることもあるんじゃないかなと考えています。


お話・監修/石井今日子さん 写真提供/特定非営利活動法人芸術と遊び創造協会 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

おもちゃは子どもが自分で遊び楽しむだけでなく、親が子どもの成長を実感したり、子どもと周囲の人とのコミュニケーションにも役立つ側面もあるそうです。できる範囲で一緒に遊んで、楽しみを見つけてあげるといいようです。


●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

石井今日子さん(いしいきょうこ)

PROFILE
NPO法人芸術と遊び創造協会運営 福岡おもちゃ美術館(2022年オープン)館長。保育士・幼稚園教諭の経験を生かし、2008年東京おもちゃ美術館立ち上げ、赤ちゃん木育ひろば運営に携わる。おもちゃを活用した子育て支援事業「おもちゃの広場」「赤ちゃん木育寺子屋」開催。企業のコラボにより無印良品「木育広場」。日本財団との共同事業 難病児向けおもちゃセット「あそびのむし」など。Eテレ「まいにちスクスク」出演。

福岡おもちゃ美術館

2022年4月、福岡市内の大型ショッピングモールにオープン。日本の木のよさを伝える「木育」をテーマに、福岡県産材のヒノキやスギをふんだんに使った床やオリジナルの木育おもちゃなどで大人も子どももゆったりと遊ぶことができる。ボランティアスタッフ「おもちゃ学芸員」がおもちゃの遊び方を来館者に伝える。幅広い年代が交流する「市民参加型美術館」である。

福岡おもちゃ美術館公式サイト

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