73.3%の親がコロナ禍で赤ちゃんの発達への影響を心配。専門家に聞く脳と体をはぐくむおうち遊び
長引くコロナ禍で、「赤ちゃんへの刺激不足」が気になっていませんか。
相模女子大学学芸学部、子ども教育学科准教授の金元あゆみ先生によると、外出が難しい中でも、いろいろな遊びに挑戦することで、楽しみながら赤ちゃんに“いい刺激”を与えることができるそうです。
室内遊びのメリットと注意点を解説します。
コロナ禍の影響で赤ちゃんへの刺激不足が気になる親が7割以上も!
長引く自粛生活が「赤ちゃんの成長に影響するのではないか」とママ・パパは心配しているようです。
ひよこクラブ編集部で実施したアンケート(※)によると、「コロナ禍の影響で赤ちゃんへの刺激が不足していると感じたことがある?」という質問に対し、
「ある」 73.3%
「ない」 26.7%
と、なんと7割以上の人が「刺激不足」を感じているという結果になりました。
とくに「外出や旅行、イベントの体験の不足」「家族以外の人とのかかわりの不足」を感じている人が多くいました。
赤ちゃんへの刺激が不足した結果、「脳や体の発達」「心や言葉の成長」への影響が気になるという人も。
※データは、0カ月~1才11カ月の赤ちゃんを持つたまひよモニター会員516人のアンケート結果をまとめたものです(2021年8月実施)
室内で刺激不足を補うためには「親子で楽しく遊ぶこと」
では、刺激不足が気になったときにはどうしたらいいのでしょうか?
人と集まったり、イベントに参加したりする機会は、コロナ禍以前の水準に戻るにはもう少し時間がかかりそうです。
「工夫することで、刺激不足を補うことができます。室内でもできる、発達に合わせた親子遊びがおすすめです」(金元先生)
親子で楽しく遊ぶことには、赤ちゃんの脳や体にいい刺激を与えます。赤ちゃんの表情やしぐさ、発声などの応答から、赤ちゃんが感じていることを一緒に感じ取りながら遊びましょう。
「月齢によってはあまり反応が見られないことがありますが、大人が楽しそうにかかわることで、少しずつ情緒や表現が豊かになってきます」(金元先生)
遊びが赤ちゃんに与えるいい影響を4つ紹介します。
【いいこと1】脳と体に刺激を与え、心の育ちにつながります
ママ・パパの声やおもちゃの音、触る感覚、何かを発見した喜びなど、遊びは赤ちゃんの脳と体にとっていい刺激になります。
そして、その刺激が心の育ちにもつながります。声かけのやりとりや絵本の読み聞かせは、言葉の発達にもいい効果があります。
【いいこと2】赤ちゃんの運動発達を促す効果も!
手を伸ばして触る、体を動かして物をつかむなど、赤ちゃんの運動発達を促すために、遊びは欠かせない要素です。
体を動かす遊びで体力がつき、丈夫な体がつくられていきます。
【いいこと3】親子の信頼関係を深め、赤ちゃんの自己肯定感をはぐくみます
親子で一緒に遊びながら、「触りたい」「動きたい」などの赤ちゃんの要求に、ママ・パパが繰り返しこたえることで、人への信頼感がはぐくまれ、親子の絆が深まります。
また、親子で楽しく遊びことで、赤ちゃんはママ・パパから自分が大事にされていることを感じ、「自分自身を大事にする気持ち」がはぐくまれます。遊びには自己肯定感を育てる効果もあるんです。
【いいこと4】生活リズムが整いやすく、睡眠の質が高まります
夜の寝つきをよくしたり、ぐっすり眠るためには、日中に適度に体力を使うことも必要です。
そんなときは、体を動かす遊びがぴったり!
生活リズムを整え、食欲を適度に刺激するためにも、日中に活動的な遊びを取り入れるといいでしょう。
おうちでできる! 発達別おすすめ遊び3選
楽しみながら、赤ちゃんの脳と体に“いい刺激”を与えられる遊びを、赤ちゃんの発達別に紹介します。
【ねんねのころにおすすめ】足と足でコンニチハ
ねんねのころ(0~5カ月ごろ)におすすめなのは、赤ちゃんの左右の足裏を合わせる遊び。
あお向けの赤ちゃんの左右の足首を大人が持ち、「あんよとあんよが…こんにちは~」などと言って、やさしく足裏をこすり合わせたり、ポンポンと合わせたりして遊びましょう。
赤ちゃんにとって体の部位が合わさる感覚は新鮮! 体のいろいろな部位を触られる感覚は、自分の体への興味にもつながります。
【おすわり・はいはいのころにおすすめ】おもちゃ見~っけ
おすわり・はいはいのころ(6~11カ月ごろ)におすすめなのは、隠されたものを見つける遊び。
赤ちゃんの目の前で、おもちゃをハンカチなどで覆い隠してみて。最初は大人が手本を見せると、赤ちゃんもハンカチをめくっておもちゃを探すように。
物を探すワクワク感が、好奇心を育てます。覆い隠すものをガーゼやタオル、新聞紙に変えても、触覚の違いがいい刺激になるでしょう。
【立っち・あんよのころにおすすめ】立っちでダンシング
立っち・あんよのころ(1才~1才6カ月ごろ)には、楽しみながら体を大きく動かす遊びがぴったり!
大人が赤ちゃんの両手を持ち、音楽に合わせて一緒にダンスを楽しみましょう。大人と一緒に動いているうちに、徐々にリズムに乗れるように。
音楽に合わせて体を動かすことで、自然と「聴覚と体の連動」がはぐくまれていきます。大人の手のぬくもりを感じながら、リズムに合わせて踊る楽しさを体験できます。
楽しく遊ぶためには、注意点の理解も大切
赤ちゃんと楽しく遊ぶためには、ママ・パパが注意点を理解することが大切です。何よりも安全性に気をつけて遊びましょう。ポイントを3つ紹介します。
【ポイント1】発達に合わせた遊びを。無理は禁物です
首がすわる前は、「たかいたかい」などの大きい動きのある遊びは控えて。赤ちゃんの発達に合わせた遊びを取り入れるのが基本です。
発達に合わせた遊びでも、赤ちゃんが怖がるときに無理強いをするのはやめましょう。
赤ちゃんの腕や脚を強く引っ張るのも厳禁です。おもちゃを使う場合は、月齢に合ったものを選びましょう。
【ポイント2】遊ぶ前に室内をチェックして、安全に気をつけて
赤ちゃんは、手に持ったものをなんでも口に運ぶので事故につながることが。手に届く位置に電池や硬貨、磁石など、誤飲しそうなものが放置されていないか、よく確認しましょう。
ダイナミックな動きをするときは、壁や棚にぶつからないよう、スペースを確認してからに。
【ポイント3】日用品で遊ばせる場合は、危なくない範囲で
日用品で遊ぶのも、赤ちゃんにとってはいい刺激になります。
ただし、はずれたり取れたりする部品がないかなどを確認してから、危なくない範囲で遊びに使いましょう。
直径39㎜の円を通るサイズの物は誤飲する恐れがあるので使わないで。日用品で遊ばせる間は注意深く見守り、遊んだあとはすぐに片づけましょう。
監修/金元あゆみ先生 写真/野中麻実子 写真・文/ひよこクラブ編集部
注意点に気をつけながら、親子で楽しく遊ぶことで、室内でも赤ちゃんに“いい刺激”をたくさん経験させるころができます。ぜひいろいろな遊びにチャレンジしてみましょう。
参考/『ひよこクラブ』2022年1・2月合併号「赤ちゃんの脳と体をはぐくむ おうち遊び大全」
※掲載している情報は21年12月現在のものです。