スペシャルニーズのある子を持つママに聞く【インクルーシブ教育の現状】
●【1月20日はインクルーシブを考える日】お互いを尊重しあえる社会に
2018年、株式会社ゆたかカレッジにより、1月20日は「インクルーシブを考える日」に制定されました。ゆたかカレッジは特別支援学校高等部などを卒業した後の学びの場として各地で4年制の福祉型大学を設置・運営しています。障がい者の社会への完全参加と平等を考える機会とするのが目的の記念日です。1月20日が選ばれたのは、国連総会で採択された障害者権利条約に日本の批准が承認されたのが2014年1月20日だったことからだとか。
「インクルーシブ」とは包括的という意味。障がいを持つ人など現在は十分に社会参加できていない人たちも積極的に参加・貢献でき、誰もが人格や個性を尊重して支えあえる社会を「インクルーシブ社会(共生社会)」と呼び、日本でもそういった社会を目指していこうという動きが起きています。
インクルーシブ教育を進めるには学校側や担任の理解が不可欠!
教育の現場でも、障がいを持つ子と持たない子が共に学んでいく「インクルーシブ教育」が重視されています。文科省でもインクルーシブ教育システムの構築を目指す動きが。
また、「障がい児」という言い方をせず、英語の「Children with special needs」という言い方にならい、障がいを持つ子を「スペシャルニーズのある子」というような言い方をする場面も増えています。
少しずつでも変わろうとする動きは感じられますが、実際の教育の現場はどのような状況なのでしょうか。
口コミサイト『ウィメンズパーク』でスペシャルニーズのあるお子さんを持つママたちの口コミを集めてみました。
「幼稚園年長の軽度知的障がい(療育手帳あり)、自閉症疑いの女の子です。小学校で、支援クラスか通常クラスかどちらがいいかで悩んでいます。私としては、支援クラスで心が決まっていましたが、やらせてないのにできないって決めてやらせないよりは通常クラスでやってみて、うまくいかなければ支援クラスへと言われて、そうだよな~と、思い始めて悩んでいます」
スペシャルニーズのあるお子さんが地域の小中学校に入学する際には、入学時に「通常学級(通常級、普通級と呼ぶことも)」か「特別支援学級(支援級)」で悩むことが多いようです。
「小学校へ上がる前にどっちがいいのか私も悩みました。幼稚園の先生と相談して、判定会議をしてもらいました。色々な検査をしたり、専門の先生に診てもらったり、ドクター受診したりしました。結果は集団でもまれた方が伸びていくかも?ということで普通級となりました」
「2年生の娘が特別支援学級です。支援学級に行っていると放課後ディサービスなどが利用できるので宿題などは、そこでさせてくれます。また、他の学校のお友だちと交流することでコミュニケーションがとれたり勉強へ取り組み方変わったりといいことばかりです」
「支援級在籍で、ほとんど交流級ということで普通級にいるという方法もありかなと思いました。うちの学校ではそういう子が過去にも今現在でもいます。支援級在籍だと支援級の先生が責任を持って、個別指導計画を立ててくれるので安心です。実際は普通級で授業を受けているけれど、支援級の先生が普通級の先生と連携をとって、学習面やその他で心配なことはないか確認してくれます」
「学校の支援体制が、普通級でもインクルーシブ教育を推進していて、支援の必要なお子さんがいることに慣れている場合はいいのですが、そうでない場合は普通級担任にノウハウがないこともあります」
お子さん本人の個性を重視するのはもちろんですが、学校側の受け入れ態勢や特別支援学級と通常学級の関係性、先生との相性などにより何がベストかは千差万別のようです。
そして、特別支援学級を希望しても、希望が通らないこともあるようで……。
「療育の先生から、支援級が人気で支援級はほぼ難しいと思うといわれました。希望しているのに入れないなんて困りました…」
「うちは息子2人とも、支援級は希望しても入れませんでした。小2のときには先生と相性が合わず、二次障がいを起こしてしまいました。新天地の学校に転校したら、とても理解ある先生に恵まれて、直前までが嘘のように安定しました。長年インクルーシブの実績がある学校だったようで特性を分かった上で普通級で対応してくれて、とても居心地がよかったです。この時の効果がとても大きく、その後は転校しても荒れたり崩れることなく、高1の現在に至ります」
学校側や担任の先生がインクルーシブ教育に慣れているかどうかはとても大きいようですね。
小学校を卒業し、中学、高校と進んでいってもスペシャルニーズのあるお子さんの進学に悩みは尽きません。
「わが家の場合、中学校は通級がない、フォローする場もないです。普通級を選んだ時点で支援はないそうです。市はインクルーシブ教育を掲げているけど現場はそうでもないようです」
「わが家が住む地域では自治体でインクルーシブ教育の推進を謳っているからでしょうか、公立高校で通級の拠点に指定された学校や学校カウンセラーを置き心理系の学生を支援員として迎えて対応している学校もあります。それ以外でも公立はできる限りは配慮しますと言います」
本当に自治体や学校により、体制が全く異なるのですね……。
では、日本以外の諸外国では、スペシャルニーズのあるお子さんの教育環境はどのようになっているのでしょうか。
「お友だちがアメリカ在住時にお子さんの発達障がいが分かったそうですが、日本の療育はこちらが出向いて行いますが、アメリカは、先生が各家庭に出向いてくれたそうです」
「次男がアメリカで療育を受けていました。2才後半から、日本に本帰国した7才まで。親が自分から動かないと受けられない所は、日本と似ていると思います。支援級や支援学校は、我が家が住んでいた地域にはありました。学校の先生は、支援級や支援学校だけに限らず、どの先生も各種の障がいやその対応に詳しかったです。そして街中に、障がいがあってもOKな習い事の教室がたくさんありました」
「自閉&重度知的の障がいのある我が子と3才から6才途中までオセアニアの某国に住んでいました。幼児の間しかいなかったので、全体のことは分かっていませんが、幼児の間は日本と大差ない感じの教育内容だと感じました。障がいのある人への偏見や差別は、日本と同じよう感じられました」
スペシャルニーズのあるお子さんが過ごしやすい学校は、きっとすべての子が過ごしやすいのではと思います。私たち大人もインクルーシブについて学んでいきたいですね。
(文・古川はる香)
■文中のコメントはすべて、『ウィメンズパーク』(2022年1月末まで)の投稿からの抜粋です。
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。
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