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「きょうだいは、きょうだいであって介護要員じゃない」支援団体を作った障害児の母が伝えたいこと

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「ブレイブキッズ」では、家族参加の野外イベントも定期的に開催。

障害や病気がある子どもの兄弟姉妹のことを「きょうだい児」と呼びます。親が障害児のお世話や介護に時間を割かれることから、きょうだい児は寂しい思いを抱えたり、ふさぎ込んでしまうこともあります。

「ブレイブキッズ」代表の岡田実和子さんは、障害のない兄と脳性まひの障害を持つ弟を育てた経験から、障害児のきょうだいと家族を支援するための会を設立して14年間支援活動を続けています。今回は、岡田さんにきょうだい児への思いやこれからの目標などについてお聞きしました。

「 たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

コロナ禍でも、工夫してイベント開催

2022年8月、温泉付きのキャンプ場を貸し切って行われた宿泊イベント。

――「ブレイブキッズ」では2009年の設立以来、きょうだい児が家族と思い切り楽しめるイベントを開催しています。コロナ禍で、イベントのやり方など何か大きく変わったことはありましたか。

岡田 1年間は自粛していて、何もできることがない状態でした。LINEグループでは保護者の方々と情報交換を続けていたのですが、「子どもたち、つまらなさそう…」「笑う機会が減っちゃってるよね」「運動不足だね」という声があり、2年目は接触を極力避ける形のイベントを企画しました。大きな体育館を借りて、十分な距離を取ってテーブルごとに家族対抗ゲームをしたり、プログラミング教室を運営している夫の協力を得てオンラインのプログラミング体験を企画したり。最近になってやっとスケート体験やハロウィンパーティー、キャンプなどのリアルなイベントが再開できたところです。

――岡田さんが支援団体を立ち上げるきっかけとなった当時4歳の長男さんは、現在大学1年生になったそうですね。障害を持つ弟さんとは、今どのような関わり方をされていますか。

岡田 長男は次男をすごくかわいがってくれますし、次男はお兄ちゃんに憧れがあって、やさしくしてもらえるからお兄ちゃんのことが大好き。きょうだい関係はすごくうまくいっているほうだと思います。

 長男はもう大きくなったのでブレイブキッズには参加していませんが、たまにスケート体験やハロウィンパーティーのボランティアで来てくれます。4歳の時にブレイブキッズで知り合ったお友達とは、同じような環境で育ったのでお互い何も言わなくても理解しあえている様子で、今でもずっと仲良くしています。

子どもが、子どもらしく毎日を過ごせるように

キャンプの様子。きょうだい児、親、障害児が一緒になって楽しい時間を過ごす。

――岡田さんご自身が、きょうだい児である長男さんと接する上で心掛けてきたことはありますか。

岡田 長男に「お兄ちゃんのことがママは大好きだよ。次男も、お兄ちゃんが好きなんだよ」と、しょっちゅう伝えてきました。その上で、「お兄ちゃんだから我慢」とならないように、長男がやりたいことはなるべく優先してきました。自分が優遇されていると感じられると心が満たされるから、その分だけ弟のことを可愛がって大事にできるのだと思います。我慢ばかりになると、「やっぱり弟のほうがいいんだ」となってしまう。だからどこかに遊びに行く時も、行きたい習い事も、どんなに暑くても寒くても長男を優先にして、そこに次男も連れていくようにしていました。

――岡田さんは、長男さんに弟さんのケアをお願いしたことがほとんどないそうですね。どうしてですか。

岡田 昔、大人になったきょうだい児の方から「きょうだいは、きょうだいであって介護要員ではない」と言われたことがあるんです。おむつを替える、お風呂に入れるといった身体介護に関わることは本当に大変ですし、それが嫌で「家から逃げたい」「家族から離れたい」という気持ちになって家族関係が悪化して家を出てしまう人もいるそうです。我が家では「ちょっと外に出てくるから15分くらい下の子を見ていてね」と頼むことはありますが、介護要員にはさせないように、そこは小さな頃から気をつけて育ててきました。

――「将来あなたが面倒を見てね」という言葉がプレッシャーだったというきょうだい児の声をよく聞きますが、本当にそうですね。

岡田 ただ、自分から進んでケアしているという子も中にはいるんです。知り合いのきょうだい児の男の子も、弟がかわいくてかわいくてしょうがなくて、まるでお父さんのように世話を焼いています。その子のお母さんが「うちの子はヤングケアラー(※)だったのでは…」と心配して本人に伝えたところ、「おれは違う。好きでやってるから」とはっきり言うくらいです。きょうだい児の皆さんも人それぞれなので、その子自身がどう感じているかをよく見てあげてほしいと思います。

※ヤングケアラー…本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満の子どものこと。

家族はもっと、きょうだい児との時間を作ってほしい

スケート場を貸し切るスケート体験では、車いすの子も一緒に大はしゃぎ。

――今では、ブレイブキッズのようなきょうだい児のための会が増えてきましたね。

岡田 すごく増えて、きょうだい児の存在も知られてきています。ブレイブキッズを設立した14年前は、障害児のためのヘルパーさんの制度がそこまで浸透していませんでしたし、障害児のデイサービスもやっとできたばかりの頃でした。今は一時的に預けられる制度がいろいろとできていますし、きょうだい児と接する時間は私たちの頃よりも断然作ってあげられるようになっています。そういった制度をフル活用してほしいですね。

 いずれは、きょうだい児についての“保護者教育”が広がってほしいと思います。ブレイブキッズのような支援活動やSNSを通じた発信は、日ごろからアンテナを張っている保護者の方々には届けられますが、それ以外の方々に届けることこそ大事だと感じています。通園施設や特別支援学校などを通じて、まだきょうだい児という概念を知らないお父さんお母さんに向けて、きょうだい児の悩みや接し方について教えられる機会ができればいいですね。

――読者の皆さんにメッセージをお願いします。

岡田 今、きょうだい児のことをヤングケアラーと呼ぶ流れがあるのですが、障害のあるきょうだいの介護やお世話を日々当たり前にこなしているお子さんがいます。そのことが学業に影響を及ぼしたり、寝不足で勉強ができない、部活に出られない、友人関係がうまくいかないといった問題に発展したりしています。

 もしそういう子が身近にいたら、ぜひ気にかけて話を聞いてあげたり、支援機関につなぐなどの手助けをしてほしいと思います。まだまだ親御さんの中でもデイサービスやヘルパーさんなどの制度自体を知らない人も多いので、もっと活用して、少しでも家族の心と体の負担が軽くなることを願っています。

「ブレイブキッズ」代表 岡田実和子さん

東京都出身。大学1年生の長男と、特別支援学校高等部2年生の脳室周囲白質軟化症(PVL)児の母。2009年、障害児のきょうだいと家族を支援する会「BRAVE KIDS(ブレイブキッズ)」を設立。代表を務め、イベントや情報交換の場を提供している。

ブレイブキッズ 公式ホームページ

ブレイブキッズ Facebook

(取材・文 武田純子)

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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