フリーアナ吉田明世 始めるのは簡単だけど、続けることが難しい子どもの習い事。4才娘の意思はどこまで尊重するべき?
現在、4才の女の子と2才の男の子のきょうだい育児に奮闘中のフリーアナウンサーの吉田明世さん。
今回は1月に開催された娘さんのバレエの発表会を通して改めて娘さんと向き合った時のお話です。吉田明世さんの育児エッセイ第36回は「4才の娘さんのバレエの習い事を通しての母と娘の攻防戦」についてです。
情けない、親の私が先に怯んでしまうなんて
以前このコラムで書いた、我が家の習い事事情。その中でも触れた娘のバレエ教室の発表会が1月中旬に開催されました。
発表会の1ヶ月前から、リハーサルなども始まり、それに伴って必要なアイテムを揃えたり、衣装を保管したりと、全てが初めてのことで親の方もてんやわんや。
リハーサルの時間をなぜか1時間勘違いしていて、体重19kg越えの娘を抱っこしてリハーサル会場まで全力失踪したこともありました。
そもそも、この発表会のお知らせが手元に届いた時、色んな意味での規模の大きさに、親である私の方が怯んでしまい、娘に『バレエ、続けたい?』と聞いてしまった、というなんとも情けない話は以前のコラムでもお伝えしました。
娘のやりたい、頑張りたいという気持ちを尊重して、発表会に向けて全力で応援することになったのですが…。
娘の突然の心の変化、どうする?!
それから1ヶ月後、なんと娘の方から『もうバレエはやめたい』との申し出があったのです。
ちょいちょいちょーい!!自分で、頑張りたいって言ってたやないかーい!
しかも、理由を聞いたら、
『なんか、疲れちゃうんだよね〜』…待てーい!!
突然の娘の心の変化に戸惑う私。
もしもここでやめたら、すでに支払っている発表会代は…?と、娘の思いより先にお金のことを思い浮かべてしまったことをどうかお許しください。
さすがに、この時ばかりは娘を説得して、なんとか1月の発表会までは頑張ると約束しました。その後は、文句を言いながらも練習を続ける娘に、変化が現れたのは、リハーサルを何回か重ねたある日のことでした。
『やっぱり、発表会のあともバレエ頑張る気持ちになった。』
何があったのでしょうか。話をよく聞いてみると、リハーサルを通して、お友だちと会話をするシーンが増えるにつれ、だんだんと楽しくなってきたとのこと。
確かに、コロナ禍ということもあって、みんなマスクをしてのレッスンでしたし、フリーで交流するシーンが少なく、お友だちがなかなかできないというのも、娘にとってはネックだったのかもしれません。
なんとか前向きな気持ちに切り替えたあとに迎えることのできた発表会。
それはそれはもう、娘にとっても、いやそれ以上に私にとっても、感動体験になったのでした。恥ずかしながらこの歳になって初めて、バレエをじっくり鑑賞した私。お姉さん達の所作の美しさ、ストーリーの面白さ、音楽の素晴らしさに終始感激しっぱなし。娘が出るシーンでは、どこにいるのか双眼鏡で探すのに必死で、涙どころではありませんでしたが、人のお子さんが踊っているのをみて、「ここまでどんな努力を重ねて、どんなドラマがあったのだろう…」なんて想像するだけで涙が止まらないのでありました。
娘にとっても、可愛い衣装と人生初めてのメイクをした発表会は、特別な体験だったそうで、終えた後は一回りも二回りも成長した、頼もしい表情をしていたのが印象的でした。
正解はない、習い事のやめ時
そんな感動発表会から、数ヶ月後がたったある日のことです。
娘がふと口にした『バレエやめたい』…!気分屋か!私の気持ち、お察しいただけるかと思います。
ただ、今回ばかりはただ単にやめたい、というわけではないようなのです。
『辞めたいなという気持ちはあるけれど、その気持ちがもうちょっと出たら、また考える』んだそう。
習い事って、始めるのは簡単だけれど、続けることが難しい。
子どもの意思をどこまで尊重するのか、正解がなく答えを出すのは簡単なことではないです。でも、習い事を通して、心も成長させてもらっているのだな、と実感することができました。娘の気持ちがどう変化するか、もう少し見守っていきたいと思います。
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吉田明世(よしだあきよ)
PROFILE
1988年生まれ。2018年5月に女の子を、2020年12月に男の子を出産した。TBSのアナウンサーを経て、19年にフリーとなり、東京FM「ONE MORNING」(月~金6時~9時)「THE TRAD」(月・火15時~16時55分)レギュラー。ほかにTV、イベント、コラム連載など幅広く活躍中。保育士資格のほか、絵本専門士の資格も取得。2022年、初の絵本「はやくちよこれいと」(インプレス)を出版。