優しすぎて逆におもしろい…全裸でも雑談を聞いてくれる夫。イラストレーターのせきやゆりえさんにインタビュー
人気イラストレイターのせきやゆりえさんは3歳の息子・しんちゃんとカメラマンの夫・ぴーさんと3人暮らし。インスタグラムやコミックエッセイ『おさるのままごと』では、家族っぽくなっていく“私”と“独特な夫”との暮らしを漫画で描き「育児に不安を抱えている人に読んで欲しい」「笑って泣ける」と大きな反響を呼んでいます。
今回はせきやゆりえさんに出産や育児のこと、温厚でちょっと変わった夫との暮らしについてお話を聞きました。
周りに言えなくてモヤモヤ「妊娠初期が1番しんどいじゃん!」
――せきやゆりえさんが出版した育児コミックエッセイ『おさるのままごと』。書籍名に込められた思いを教えてください。
せきやゆりえ「他人同士が結婚することによって“夫婦”になったり、子どもが生まれて試行錯誤しながら“家族”や“親”になりますが、自分たちは自分たちのまま。バタバタしている自分たちを引きで見ると、まだ何も知らないおさるが一生懸命おままごとをやっているみたいだと思ったからです。おままごとのように演じながらなんとか家族っぽく、親っぽくなっていくんだなという思いが込められています」
『おさるのままごと』の由来①
『おさるのままごと』の由来②
――息子のしんちゃんを妊娠・出産中、大変だったことはなんですか?
せきやゆりえ「世間的には“安定期”から妊娠を公表する人が多いですが、公表する前の“妊娠初期”が1番しんどいじゃん!ということを知りました。仕事先や友人、だれにも言えないけどつわりがしんどい時期が大変でしたね。
出産中は、頑張っていきんだりしているけど、一体今は登山で言う何合目なんだ?!ここがゴールだよってわかるメーターとかあればいいのに……と思っていました。終わりが見えない苦しみがとにかく辛かったです」
出産と肛門①
出産と肛門②
「夫はなんもしなくていいのムカつく!」育児中つい余裕がなくなる瞬間
――育児中、大変だと感じる瞬間と幸せに感じる瞬間を教えてください。
せきやゆりえ「現在、息子が3歳で、おしゃべりも上手になり意思もかなりハッキリしているので、息子の『嫌だ!!』と私の『お願い!!』がぶつかったときが大変ですね。
あとは私の心の余裕が子どもや夫への接し方に直結するなと思っているので、自分の心を保ちつつ育児するのが大変です。ついつい余裕をなくしちゃう。夫と私と息子の3人でいると、どうしても私の方がいいと息子が言うので、それに対して私が『夫はなんもしなくていいのムカつく!』と余裕をなくしたりします。
幸せな瞬間はたくさんあります!朝起きるとき、息子が『かーか、起きる時間だよ!』ってほっぺにキスしてくれたり、『かーか大好き』って言ってくれたりしたときは、なにもかも報われた気持ちになります」
ぎゅートーク
――子どもができる前の育児のイメージと、子どもが生まれてからの育児のイメージの変化は?
せきやゆりえ「育児に関してはおおむね予想通りだったんですが、子育てする前は、子どもができると夫と仲が悪くなるんだと思っていました。でも実際に夫と育児をしてみて、こんなにも育児に当事者意識を持って当たり前にやってくれる人とならこれからも仲良くやっていけるなぁと実感しています。産後の妻となんかうまくいかないなぁと思っている男性に是非『おさるのままごと』を読んでほしいです!!!」
彼の「当然」
優しすぎて思わず笑っちゃう…!全裸で雑談を聞いてくれる夫
――おっとりしていて温厚な性格の旦那さん。旦那さんのおもしろエピソードを教えてください。
せきやゆりえ「優しすぎて、夫がお風呂に入ろうと全裸でいるときでも、私のどうでもいい雑談に応じてくれるところとか、かなりおもしろいです」
タイミング
――旦那さんにこんなところに助けられている・救われているなどを教えてください。
せきやゆりえ「私は意外と他人の目を気にしてしまい、『育児をしている自分をどうみられているかなぁ』とか気にしてたまに疲れたりしているんですが、夫は他人の目を本当に気にしません(笑)。たまに見失う私にいつも大切なことを思い出させてくれます」
桃キュン
――旦那さんとの育児・家事分担はどのようにしていますか?また、仕事と育児の両立についてどのようにどのように考えていますか?
せきやゆりえ「朝ごはん、朝の保育園の準備、保育園の送りは夫。お迎え、お迎え後の遊び、お風呂、寝かしつけは私。晩ごはんは暇な方が作るって感じです!休日は家族みんなで出かけたり、1日を半分に分けて半々ずつ親が休んだりしてバランスを取っています。わが家の場合、自宅で仕事しているフリーランス夫婦なので、仕事と育児の両立は何かと融通がききますが、保育園がなかったら仕事なんてまったくできないなと思います」
子育するうえで大切したいのは、良好な夫婦関係
――最後にたまひよの読者のみなさんとこれから出産・育児を経験するパパ・ママたちにひと言お願いします。
せきやゆりえ「出産も育児も、話には聞いていましたが、とにかく『やってみたらどうにかなる』ものなんだなと思っています。子育てにおいて夫婦関係の良さはかなり大切。せっかく夫婦になった人とはいつまでも仲良くいたいので、都度めんどくさがらずに話し合いをする時間が大切だなと思いました。ベビーフードや出前など活用しながら適度に力を抜いて、自分の心を大切にしながら楽しくやっていきたいです」
産後の心も体もボロボロな時期に、夫が「出産と授乳以外は全部できるから“当然”」と言ってくれるとどんなに心強いか……!夫婦2人が協力して育児するためには大切なマインドですよね。
子育てしていると「自分が“親”ってなんだか不思議な感じ」「“お母さん”だけどこんな感じで大丈夫?」と親である自分にピンとこないこともありますよね。個性的でおだやかな旦那さんと、クルクルと変わるせきやゆりえさんの表情をみていると、だれもがありのままの自分で親になっていくのだなあとしみじみ感じられます。(文・清川優美)
プロフィール /せきやゆりえ
2010年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。キラキラした大きな瞳の動物や人物などをアナログ、デジタルで描くイラストレーター。アパレルやキャラクターデザイン、グッズデザインなど幅広く活動し、オリジナルキャラクター「ペロペロ★スパ〜クルズ」を 展開中。漫画はインスタグラム(@sekiyayurie_baby)で公開し、8割を描き下ろし、線画作品も収録したコミックエッセイ『おさるのままごと』(東京書籍)を2023年3月発売。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年5月の情報で、現在と異なる場合があります。