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ドーパミンが「もっと知りたい!」気持ちを作る!子どもの知的好奇心を育てるには【脳医学者】

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※写真はイメージです
metamorworks/gettyimages

脳医学者・瀧先生は「子どもの将来の可能性を伸ばすために大切なことは、『知的好奇心』と『共感力』を育てること」と言います。東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生の短期連載 第3回のテーマは「知的好奇心とドーパミン」について。11才の男の子のパパでもある瀧先生に、子どもの脳の発達から見る子育てのヒントについて聞きました。

ドーパミンは子どものさらなる“やる気”を作り出す

――子どもの将来の可能性を伸ばすのに大切といわれる「知的好奇心」について教えてください。

瀧(以下敬称略) 知的好奇心とは、『これはなんだろう?』と興味を持ち、『もっと知りたい』と主体的に探索したり、没頭したりする力のこと。2〜6才ころの未就学時期は、脳の発達の面から見ても知的好奇心を伸ばすのに最適な時期です。また、子どもが「知りたい!」「楽しい!」「なんだろう?」とワクワクして、知的好奇心が育っている時、脳の中では「ドーパミン」という神経伝達物質が流れ、さらなる「やる気」を作り出すといわれます。

――ドーパミンは、快楽物質と聞くことがありますが、どんな働きがあるのでしょうか?

瀧 脳に流れる神経伝達物質は100種類以上あり、さまざまな働きがあります。このうちドーパミンは新しいことに出会ったりワクワクしたりする時に流れ「報酬系」や「快楽物質」ともいわれます。ドーパミンが脳に流れると、とても気持ちがよくなり、「もっとやりたい」という気持ちが生まれます。それ以外にも、集中力に関与して学習の効率を高めるなどの機能もあると考えられています。

――はいはいやつかまり立ちができるようになるころの赤ちゃんは、引き出しを開けようとしたり、ティッシュを全部出してしまったり、好奇心旺盛で大人が困る行動もする時期です。いたずらに思えるこんな行動も、知的好奇心やドーパミンの放出によるものなのでしょうか。

瀧 徐々に行動範囲が広がり始め、自分だけではなく外界に対しても興味が広がることは、知的好奇心そのものです。赤ちゃんなりに、引っ張るとどんどん出てくるティッシュや何かありそうな引き出しに興味を示しているのでしょう。もちろんドーパミンだけの働きによる行動ではありませんが、関係しているとは思われます。

親子の豊かな体験で知的好奇心が育つと学力アップにもつながる

――知的好奇心を育てるには、大人がちょっと困るようなことも、ある程度やらせてあげるほうがいいのでしょうか?

瀧 難しいですよね。そのころの赤ちゃんは目が離せなくて大変な時期ですし、ママやパパはそんな余裕はないくらい大変だと思います。あるところまではやらせてあげたいけれど、家の中が収拾がつかなくなるほどにはいきませんよね。「困ったな、でも今は知的好奇心が育っているのかもしれない」と、ママやパパの頭の片隅にそういう考えも置いておいて、困りがちな行動を少し楽しむぐらいの気持ちがあるといいのかもしれません。

――知的好奇心をはぐくむために、2〜6才ころの時期にはどのような体験をさせてあげるといいでしょうか?

瀧 親子で一緒にいろいろなことを体験するのがいいと思います。虫取り、川や海遊び、動物との触れ合いなど、豊かな環境で五感が刺激されワクワクするような自然体験をすることなどは、知的好奇心を伸ばすのに重要です。
また、ワクワクしている時の記憶は、時間がたっても忘れずに身につき、習得しやすいといわれます。知的好奇心が豊かにはぐくまれると、「主体的な学習ができ、学力も高くなる」という研究報告もあります。

脳医学者パパ・瀧先生の子育て体験を教えて!

――前回、先生の息子さんは恐竜が好きだったと聞きましたが、一緒に博物館などに行きましたか? 息子さんの様子はどうでしたか?

瀧 息子は、博物館に行く前に図鑑や本で読んだことを、実際に自分の目で見られ、とっても楽しんで興奮している様子でした。恐竜の図鑑はいくつかの出版社から出ているので、数冊を読み比べて、博物館で実際に化石や標本を見ると、同じ肉食恐竜のアロサウルスとティラノサウルスのつめの数が違うとか、そういう違いを発見して面白がる気持ちは伸びていたな、と感じています。

博物館で見たあとに、また私と一緒に図鑑を見て、肉食恐竜はユーラシア大陸のほうにいたのが、どうやってアメリカ大陸に渡ったのか、などを2人で話したりもしました。何かに興味を持って調べ、次のステップに上がる、さらにそこからまた興味を広げることにつながっていたと感じます。

――息子さんは何か習い事はしていたのでしょうか?

瀧 3才からピアノを習っています。私も一緒に習っていて、妻と子どもと3人で一緒に発表会に出たこともあります。3人で1台を弾く“6手連弾”の曲があって、椅子を並べて3人で練習し、本番に臨みました。発表会のあとの息子は、楽しそうというよりは、私がミスしたのを「お父さん間違えたね!」とさんざんからかってきましたね(笑)。

でもそういう親子のコミュニケーションが大事だと思うのです。音楽に限らず、スポーツや料理や動物との触れ合いなど、親子で一緒に楽しみながら経験することが、子どもの興味関心を伸ばすことにもつながります。育児の上で、私が大切にしているのは「親子で一緒にやる」ということです。
一緒にやってみると、子どもがやっていることがどんなに頑張ることが必要なことかがよくわかります。ピアノで言えば、発表会の半端ない緊張感の中で演奏するってすごいことです。だから息子が発表会に出ること自体がすごいな、と思いますし、練習を見ていても姿勢や手首の使い方なども、私より随分上手だな、と思っています。

【瀧先生に聞く】ママ・パパからの気になるQ&A

子育て中のママやパパの困りごとや悩みに、瀧先生からアドバイスをもらいました。

【Q】5才の子どもが高いところから飛び降りたり危ないことが好きです。好奇心の面から見守ったほうがいい?

【瀧先生より】
このくらいの高さから飛び降りると体にどんな衝撃があるのかと、まさに好奇心や興味がわいているのでしょう。身体感覚が磨かれる面もあるとは思います。でも、けがを防ぐために注意することも必要だと思います。一方で、小さな失敗やけがを繰り返す経験があると、本当に危ないことを判断して事故になりづらいともいわれます。
低い木に登って落ちた経験から、落ちるのがどれだけ痛いかを理解すると、次からは気をつけながら降りるようになりますよね。親はひやひやしますが、大きなけがにはしっかり気をつけながら、ある程度見守るというのも大事かもしれません。

【Q】おもちゃを買ってもすぐに飽きて遊ばなくなります。飽きっぽいのか、好奇心がたりないのかと心配です

【瀧先生より】
ごく普通のことだと思いますし、逆にどんなおもちゃでも楽しく遊ぶ子はいない気がします。子どもは小さいながらに、毎日の経験で少しずつ好きなことが形成されている途中です。遊んでみたら楽しかったこと、そうでなかったことの経験をたくさんしている時期でしょう。

好奇心がたりない、飽きっぽいというよりは、興味関心を伸ばしている真っ最中、と考えるといいかもしれません。ただ、豊かな環境は脳の発達に大事ですので、本やおもちゃなどがあるなら親も一緒に遊んだり読み聞かせたりしてあげるのもいいと思います。

取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

お話・監修/瀧靖之(たきやすゆき)先生

親子で一緒に楽しい体験をすることは、子どもの「もっと知りたい」「やってみたい」気持ちを伸ばすために、とても大切なことのようです。親も一緒に楽しみながら、知的好奇心を育ててあげましょう。

●記事の内容は2023年7月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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