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1歳9カ月の女の子が、未破裂のポップコーンを食べて窒息!ポップコーンは、幼児にとって窒息リスクが高い食品【小児科医監修】

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家族のリビングルームのソファに座って息子を抱きしめ、ポップコーンを食べさせる中年の父親 - ストックフォト
●写真はイメージです
Jiyi/gettyimages

日本小児科学会の傷害速報(Injury Alert)で、1歳9カ月の女の子が、外出先でポップコーンを食べていたところ、未破裂のコーンを食べて窒息し、一時、意識がなくなったという事故報告がありました。
子どもにポップコーンを与えるときの注意点について、子どもの事故に詳しい、小児科医 山中龍宏先生に聞きました。

未破裂のポップコーンが気管支に入ってしまい窒息。心肺蘇生で意識が戻る

日本小児科学会の傷害速報(Injury Alert)では、2022年12月、1歳9カ月の女の子のポップコーンの誤えん事故を報告しています。事故の概要と治療の詳細は、2023年9月に発行された日本小児科学会雑誌でも報告されました。
その事故の概要は以下のとおりです。

【傷害速報で報告された事故事例】
ママ・パパと一緒に大型商業施設のゲームセンターに行き、その場でポップコーンを作る自動販売機で、ポップコーンを購入しました。
女の子は、ショッピングカートに乗って、自分でポップコーンの容器を持ちながら食べていました。ほぼ完食して、容器の底に残ったポップコーンを食べるために、容器を傾けて一気に食べた直後、むせ込んだため、ママが背中をたたいて、未破裂のポップコーンを数個はき出させました。しかし、女の子は顔色が悪くなり、全身の力が抜けて、意識がなくなってしまいました。
たまたま通りかかった人が心肺蘇生を行い、1分後に意識が戻り、救急搬送されました。
搬送された病院で、胸部CT検査を行ったところ、右主気管支に6ミリ程度の異物を認め、その後の検査で未破裂のポップコーンと判明。カテーテルで摘出しました。摘出後は、5日間集中治療室で全身管理を行い、その後、一般病棟に移ってリハビリを行いました。じょじょに言葉や運動機能が回復したため、約2週間で退院しました(傷害速報より引用、一部改変)。

日本小児科学会では、かたい豆類を食べさせるのは4歳以上を推奨。ポップコーンも同じと考えて

食べ物による誤えんでかたい豆類の危険性は、以前から呼びかけられていますが、ポップコーンという名称が表に出てくることは少なかったかもしれません。しかし山中先生は「ポップコーンには未破裂のものが混ざっている危険性があるので、考え方はかたい豆類と同じです」と言います。

――ポップコーンは何歳から食べさせていいのでしょうか。

山中先生(以下敬称略) アメリカでも、子どものポップコーンによる窒息事故が発生していて、そのうち今回の事故と同じように未破裂のポップコーンを一気に食べて、2歳の子が呼吸不全を起こして病院に搬送された事例もあります。
こうした事故を防ぐために、米国小児科学会は、ポップコーンは 4 歳未満の子どもの手の届かないところに保管するよう推奨しています。

アメリカではポップコーンが身近な食べ物ということもあるでしょうが、近年は日本でもかなり日常的な食べ物になっているのではないでしょうか。
未破裂のポップコーンは、かたくて、外側がつるつるしています。日本小児科学会では、ピーナッツなどのかたい豆類を食べるのは4歳以上を推奨しています。
未破裂でないポップコーンでも、今回の事故のように、未破裂のポップコーンが混ざっている危険性があるので、ポップコーンもかたい豆類と同じと考えてください。
未破裂のものが混ざっていないか、よく確認してから与えることも大切です。

奥歯が生えて、しっかりかんで飲み込めるかもチェック

日本小児科学会では、ピーナッツなどのかたい豆類を食べさせるのは4歳以上を推奨していますが、これはあくまでも目安です。食べ物による窒息を防ぐには、子どもの食べる力を見極めて、食べ方にも注意が必要です。

――未破裂のポップコーンを含むかたい豆類は4歳以上だと、誤えんの危険性はないのでしょうか。

山中 しっかりかんで飲み込める力には、個人差があるので、4歳だから大丈夫とは一概には言えません。日本小児科学会ではかたい豆類は4歳以上を推奨していますが、消費者庁は「かたい豆やナッツ類は5歳以下には食べさせない」としています。4~5歳以上が目安だけど、個人差があると考えてください。
2020年2月、島根県の認定こども園で、節分の豆まきをした際、4歳の子が豆をのどにつまらせて窒息で亡くなってしまった事故が起きています。
そのため4歳だから大丈夫とは言えません。年齢はあくまでも目安ですので、その子の食べる力に合わせて考えましょう。上下の奥歯が生えそろって、しっかりかんで飲み込めるようになるまでは、かたい豆類や未破裂のポップコーンは与えないでください。

――今回の事故は、容器の底に残っていたわずかなポップコーンを、容器を傾けて一気に口に入れて、窒息事故が起きています。未破裂のポップコーンというだけでなく、一気に食べたということも窒息の原因でしょうか。

山中 容器を傾けて、口の中に流し込むような食べ方は危険なので、絶対にさせないでください。上を向いて、容器を傾けて流し込むようにして食べると、気管に入りやすい状態になり、窒息を起こしやすいです。この子もそのような食べ方をして、すぐにむせ込んでいますよね。気管に未破裂のポップコーンが入ってしまったのでしょう。

「背部叩打法」「腹部突き上げ法」を4~5回行っても、意識と呼吸がないときはすぐに心肺蘇生を

万一、子どもが食べ物を詰まらせて窒息したときは、一刻を争います。適切な対処法を覚えておきましょう。

――今回の事故は、そばにいたママが異変に気づいて、すぐに背中をたたいて、未破裂のポップコーンを数個吐き出させています。しかし吐き出させても、全身の力が抜けて、意識がなくなってしまっています。

山中 食べ物が詰まって窒息した場合は、0歳代は、「背部叩打法」を行います。赤ちゃんをうつぶせにして、おなか側に手を通して、赤ちゃんの下あごを支えて顔を突き出します。上半身がやや低くなるような姿勢にします。手のひらのつけ根で、肩甲骨の間を4~5回たたいて、誤えんしたものを吐き出させてください。

1歳以上は、「腹部突き上げ法」を行います。大人が後ろに回って、子どもの背後から正面に手を回します。利き手で握りこぶしを作り、おへそとみぞおちの中間ぐらいに当てます。こぶしを作った手に、もう片方の手を当てて、斜め上に瞬時に引き上げます。これを4~5回繰り返して、誤えんしたものを吐き出させてください。

これらを4~5回行っても、意識と呼吸が戻らない場合は、すぐに心肺蘇生が必要です。心肺蘇生をしながら、すぐに救急車を呼んでください。
今回事故にあった子は、たまたま通りかかった人が心肺蘇生をして一命を取り留めています。
心肺蘇生をすぐに行わないと、命にかかわったり、一命を取り留めても重い障害が残ることがあります。

お話・監修/山中龍宏先生 

協力/公益社団法人日本小児科学会 取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部

ママ・パパたちは、子育て、仕事、家事で毎日が忙しいと思いますが、子どもの窒息事故はいつ、どこで起きるかわかりません。そのため万一に備えて、心肺蘇生法を覚えておきましょう。忙しくて講習が受けられないときは、動画を見て覚えることもできます。

【日本赤十字社東京都支部 公式】幼児安全法 幼児の心肺蘇生とAED - YouTube

【日本赤十字社東京都支部 公式】幼児安全法 乳児の心肺蘇生とAED - YouTube

●記事の内容は2023年10月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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