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まさか…!ベビーカーで移動中、日よけ用のブランケットを口に入れた子どもが窒息する事故が発生。心肺蘇生法を身につける機会を【小児科医】

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ベビーカーでかわいい日本の赤ちゃん
●写真はイメージです
west/gettyimages

2023年5月、B型ベビーカーに乗っていた1歳ぐらいの子が、ベビーカーのほろにかけていた日よけ用のブランケットを口に入れてしまい、顔や手足が真っ青になり、あわや大事故につながる寸前だったというツイートが投稿され話題になりました。投稿したのは、1歳2カ月の子のママのえびさんです。こうした事故は珍しいことなのでしょうか。えびさんにそのときの状況と、小児科医の山中龍宏先生に子どもの窒息事故について聞きました。

タオルやおもちゃなど、子どもが手につかんで口に入れるものは危険!

ベビーカーに乗っていた子を救った、えびさんのTwitter。

Twitterの内容は、えびさんが仕事の帰り道、ほろに日よけ用のブランケットをかけたベビーカーとすれ違ったときの出来事です。ベビーカーから子どもの手がだらんと出ているので気になって見ると、手が真っ青でした。ブランケットで隠れて子どもの顔が見えなかったので、ベビーカーを押しているパパに声をかけ、子どもの様子を見ると、ほろから垂れ下がっているブランケットを口に入れていて顔が真っ青になっていました。

脈と呼吸を確認すると微弱なため、すぐに救急車を呼んで、その間、えびさんが心肺蘇生を行いました。無事、子どもは一命を取り留めました。

――今回の事故のように、ベビーカーに乗っている間に、子どもが窒息することはあるのでしょうか。

山中先生(以下敬称略) この事故は、日よけ用のブランケットを口に入れたために起きていますが、ベビーカーに乗せているときにタオルや人形など手でつかんで口に入れることができてしまうものを、子どものそばに置かないということが大切です。生後7カ月ごろからは、とくに注意してください。ベビーカーだけでなくベビーベッドに寝かせるときやチャイルドシートに座らせているときも同様です。

――夏なら日よけや冷房対策、冬なら防寒、そしてお昼寝用にブランケットを使うママ・パパも多いと思います。

山中 もしブランケットを使う場合は、少し大変かもしれませんが5~6分に1回は赤ちゃんの様子を見てください。夏は、熱中症の心配もあるので、こまめに赤ちゃんの様子を確認しましょう。

2021年6月、静岡県で生後11カ月の男の子が、ベビーカーに乗ったまま2~3センチ大のパンを食べていて、のどに詰まり窒息した事故も起きています。ベビーカーに乗せまま、何か食べさせるのは危険です。もしおなかがすいているときは、一度ベビーカーを止めて、ママ・パパが見守る中で、食べさせてあげてください。

子どものそばにいるのはママ・パパ。子どもの命を守るために心肺蘇生法を学んで

2023年1月総務省が発表した「令和4年版 救急・救助の現況」によると、2021年中の救急車の現場到着所要時間は全国平均で約9.4分。その間、何もしなければ救える命も救えない可能性が高まります。

――今回の事故を目撃したえびさんは、とっさの判断で心肺蘇生を行っています。

山中 なかには、救急隊が助けてくれると思っている人もいるかもしれませんが、救急車が到着するのを待っていては、手遅れになる可能性があります。そのためえびさんの判断は賢明です。

――前述の総務省の発表では、2021年中に一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者数は2万6500 人。そのうち一般市民が心肺蘇生を行ったり、AEDを使用した傷病者数は1万5225人(57.5%)でした。

山中 約40%の人は、その場で心肺蘇生などの処置が行えなかったということですよね。窒息したり、溺れたりして意識と呼吸がない場合は、すぐに心肺蘇生が必要です。すぐに心肺蘇生が行われないと、亡くなってしまったり、一命を取り留めても重大な障害が残ったりする可能性があります。

子どものそばにいつもいるのはママ・パパです。そのためママ・パパには、心肺蘇生法を学んでおいてほしいと思います。

――心肺蘇生法はどのようにして学ぶといいのでしょうか。

山中 たとえば千葉県船橋市では、船橋市応急手当指導員(市民インストラクター)を育成しています。また、親子向けに心肺蘇生法とAEDの使い方を学ぶ講座を開くなど、一般市民の救命講座にかなり力を入れています。

こうした講座を調べて参加するのもいいですし、もし時間がない場合は、日本赤十字社東京都支部がYouTubeで乳幼児の心肺蘇生法とAEDの使い方などを紹介しているので、そうした動画を見て学んでもいいでしょう。

長女が生まれて、夫婦で心肺蘇生法の練習を開始

えびさんはLINEのノートに乳幼児の心臓マッサージの方法を貼り付けていました。えびさんが参考にしていたのは、山中龍宏先生監修の「たまひよONLINE」の記事でした。

ベビーカーに乗っていた子どもを助けたえびさんは、1歳2カ月の女の子のママです。えびさんに心肺蘇生法の練習を始めた理由や、事故当時のことを聞きました。

――えびさんが心肺蘇生法の練習を始めたきっかけを教えてください。

えびさん(以下敬称略) 長女が生まれて、万一のときにわが子を守れるように心肺蘇生の練習をしたほうがいいと思い、夫婦で練習するようになりました。夫が一人で子どものお世話をすることもあるので、夫も練習に誘いました。

――心肺蘇生法の練習はどのようにしているのでしょうか。

えび 私の場合は、週1回、子どもの心肺蘇生法のやり方の動画を見ながら、家にあるぬいぐるみ(生後3カ月ごろの赤ちゃんと同じぐらいの大きさ)を使って練習しています。また心肺蘇生のやり方をLINEのノートに貼って、時間があるときに見るようにしています。1回習ったから終わりではなく、こまめにイメージトレーニングをしたり、練習することが大切だと思います。

――偶然、出会ったベビーカーに乗っていた子に心肺蘇生を行ったときは、どのようなことを考えていましたか。

えび 無我夢中で、何かを考えるという余裕はありませんでした。頭で考えるよりも、体がとっさに動いた感じです。
心肺蘇生は、心臓を押すリズムが大切です。私の場合は、我流ですが少しゆっくりめの「アンパンマンのマーチ」のリズムに合わせながら、1・2・3・・・と数えてマッサージを繰り返し、救急車の到着を待ちました。あせるとリズムが乱れてしまうので「冷静に! 冷静に!」と自分に言い聞かせていました。

わが子のため!と思って練習していたことが、偶然にも役立って驚いています。

――心肺蘇生法を練習する以外に、えびさんが子どもの事故対策で、日ごろ注意していることはありますか。

えび Twitterや育児本などで子どもの事故の体験談をよく見るようにしています。そうすると危険な場所や危険なもの、どんなときに事故が起きやすいのかがわかるようになります。

また今回のベビーカーの子は、手足がだらんとしていて、肌の色も青く様子がおかしかったんです。そういうサインを知らないと「寝ている」と勘違いすることもあるので、どんな様子が見られたら危険なのか知っておくことも大切だと思います。

お話・監修/山中龍宏先生

協力/えびさん 取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部

子どもはおふろやプールで溺れたり、誤飲して窒息するなど、すぐに心肺蘇生が必要となる事故にあうことも。
「令和4年版 救急・救助の現況」(2023年1月総務省発表)では、一般市民が心肺蘇生を行った場合と行わない場合を比べると、1カ月後の生存者数は約2倍。1カ月後の社会復帰者数は約3倍の差があると報告しています。

●記事の内容は2023年6月の情報であり、現在と異なる場合があります。

【医師監修】早く始めるほど命が助かる!赤ちゃん・子どもを救う心肺蘇生法を覚えておきたい理由|たまひよ (benesse.ne.jp)

【日本赤十字社東京都支部 公式】幼児安全法 乳児の心肺蘇生とAED - YouTube

【日本赤十字社東京都支部 公式】幼児安全法 幼児の心肺蘇生とAED - YouTube

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