第三子を妊娠中・福田萌さん。中華料理屋の開店準備のように二人三脚で動画撮影。「今はシンガポールに来てよかった!」
10歳の長女、7歳の長男のお子さん二人と、夫でお笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の中田敦彦さんとシンガポールで暮らすタレントの福田萌さん。移住してから3年が経ち、シンガポールでの子育てのしやすさを実感しているそうです。そこで、日本とシンガポールの子育て事情の違いや、ご家族との暮らしについて聞きました。
進化したベビーグッズに驚きながらも、着々とアイテム探し
――シンガポールで子育てすることのよさは、どんなところにあると思いますか?
福田さん:シンガポールは、育児に対してまわりの方の当事者意識が高いなと感じています。シンガポールの光景でびっくりしたのが、早朝に犬の散歩で外を歩いていたら、ベビーカーを押しているおじいちゃんがいたんです。日本では、パパが子育てをするのは一般的になってきましたが、おじいちゃんが1人で赤ちゃんのお世話をしているのは珍しいなと。
それと、まわりの方がみなさんとても優しい印象です。たとえばバスに乗っていて、「かわいいね」と中国語でずっと話しかけてくれるおじいちゃんがいて(笑)。息子は中国語を理解はできないんですけど、その様子がなんだか微笑ましかったです。そんな風に、世代や性別、国籍など関係なく、「子どもはかわいくて大事なもの」という意識が、シンガポールの人々にはあるのかなと思いました。
私が今、おなかがだいぶ大きくなってきたんですけど、街中でもドアを開けてくれたり、ふらっと立ち寄ったお店で、「今、何カ月?」と声を掛けてくれたり。妊婦さんをきちんと特別扱いしてくれるけど、妊娠自体は特別なことじゃなくて、日常の中に溶け込んでいることなんだいう印象があります。
それと、シンガポールには、いわゆるマタニティマークのようなものはないんです。つけていなくても、そして妊婦さんと周囲がわかっていなくても、基本的に女性に対しては優しくしてくれます。子どもとお母さんがバスに乗ると、「ここにみんなで座りな」と声をかけてくれますね。
――実際にどんなシーンで、子育てしやすいなと感じているのでしょうか。
福田さん:日本では、子連れでレストランに入っても大丈夫かな?と迷うことも多いと思うんですが、シンガポールではだいたいどんなレストランでも、子ども用のイスが置いてあって、フォークやスプーンが用意されているので、子どもと一緒に外食することのハードルが低いなと感じています。
それから、赤ちゃんを迎えるにあたってグッズのリサーチをしていたら、「Grab(グラブ)」という配達サービスの中で、ベビーグッズ専門店もあったんです。哺乳瓶やミルク、おむつなど細かなものから、ベビーカーやベビーベッドなど大型のものも20〜30分で届けてくれるみたいで(笑)。これは使えるな〜と思っています。
最近、シンガポールに『ドンキホーテ』が続々とオープンしているので、そこで日本製のおむつや離乳食も手に入ります。少し割高ですが、海外でも日本で馴染みのあるアイテムが手に入るのは安心感がありますね。
――出産に向けて何か準備はされていますか?
福田さん:シンガポールは一年中真夏の気候なので、ベビーカーなどはメッシュのものを選んだりと、暑さに対応できるものを考えています。あとは、ファン付きのベビーカーシートが流行っていると聞いたので、それも入手しようかなと。ベビーウエアに関しては、日本の方が質もよくて安いものが手に入るようなので、それも早めに揃えておこうかなと思っています。
ベビーカーの進化には驚いていて、ワンタッチでコンパクトに畳めるものだったり、機内に持ち込めたり、小さいのに走行性がいいものなどいろいろありますよね。シンガポールはライドシェアサービスがかなり普及していますし、タクシーも安価なので、車での移動がほとんど。しかも、それがドアtoドアでできてしまうんです。また、突然のスコールもあるので、ほとんどの場所で車寄せがあるような街の作りになっています。
なので、購入するベビーカーは、ベビーシートが取り外せるタイプにすると、乗り降りがしやすいかなと考えています。自家用車は持っていないので、他人の車にいかに乗せやすいかを重要視しているんです(笑)。
育児グッズの情報集めも、長女のときとは大きく変わりましたね。以前はブログで子育ての情報を集めていたけど、今はインスタを開けば、おすすめのベビーカーがどんどん流れてきて。いろいろな情報が素早く手に入るのは便利ですが、情報量が多すぎて大変ですね。
――日本との子育ての考え方の違いについて感じたことはありますか?
福田さん:赤ちゃんの首も座らない新生児の時期って、日本ではあまり外に出さないという考えがありますよね。私も上二人のときは、1カ月ぐらいは家で過ごすことが多かったです。でもシンガポールでは、新生児を連れて外出している光景をよく目にします。シンガポールは欧米系、中華系、インド系など、さまざまな国の文化や人々の考え方が入り混じっている国なので、子育てについての考え方もさまざまだと感じました。
夫のひと声で決まった移住は、家族の絆を深めてくれた
――これから三人のお子さんのママになりますが、どんな風に育てていきたいですか?
福田さん:長女と長男は、ある程度、日本語の下地ができた状態でシンガポールに行ったので、母国語は日本語、学校では英語を使っています。また、日本語をキープできるような塾にも通わせていて、今のところハードルは感じていないです。
第三子は完全にシンガポール育ちになるので、どの言語が優位になるのかは未知なところがあります。あまり日系の保育園がないので、ローカルの保育園に行かせているママもまわりには多いです。ローカルの先生も、英語のネイティブの方だけでなく、中国語を話す方もいるので、中国語が話せるようになるお子さんも多いみたいですね。
シンガポールは保育園の数がかなり多くて、日本の“保活”のような「4月から絶対入れなきゃ!」という感じはなく、比較的いつからでも入りやすいようです。うちの近くの保育園では、1歳半からプレスクールに入れるのですが、働いているママ向けに2カ月から預かってくれるところもあって選択肢も広そうです。
――今後は、お仕事の復帰などどうされる予定ですか?
福田さん:基本的に、仕事は在宅でできるものが多いので、赤ちゃんとの生活ペース、それから私自身の体力と相談しながらやっていきたいですね。シンガポールの子育て事情に興味がある方も多いようなので、YouTubeでも子育てについて発信していきたいと思っています。
夫が自宅で週に2回、YouTube動画の撮影をしているのですが、データの編集以外は基本的に一人でやっているので、ピントを合わせたり照明をたいたり、音声などのスイッチを入れたりと、夫の裏方スタッフとして私が動いています。いつも二人で準備していると、「中華料理屋さんの開店準備みたいだね」って笑って話しています。逆に、私の動画撮影は夫が担当してくれて、それを私が編集するという感じですね。
二人ともYouTube活動をしているので、「日本でこういうニュースがあったらしいよ」という風に、情報共有をすることもあります。
――中田さんが家でのお仕事をすることで、ご家族はどう変わりましたか?
福田さん:日本にいるときは、夫は仕事で家にいる時間が少なかったので、基本的には私と子どもの三人で食事をするという感じでした。シンガポールに来てからは、自宅で仕事をしているので、子どもたちは「学校から帰ったら、家にパパもママもいるからうれしい」と言っています。
シンガポールへの移住は、誰も知り合いがいない場所に家族4人で引っ越してきたので、“家族みんなで力を合わせよう”というような感覚がありました。今ちょうど三年経って、家族それぞれがシンガポールでの暮らしに慣れてきたので、このまましばらくは住んでいたいなとは思っています。ただ、夫がちょっと変わった人なので、突然「あそこに行くぞ!」と言うこともあるかもしれないです(笑)。
3年前のシンガポール行きも、夫の考えで「シンガポールに行くぞ!」となって。私も半信半疑で、子どもの学校のことなどの準備を進めていたんです。でも結果的に、子どもたちにとっても私にとっても、シンガポールに来て本当によかったなと思っています。もうすぐ5人家族になりますし、シンガポールでの新たな暮らしも楽しみです。
写真提供/福田萌公式インスタグラム、取材・文/内田あり、たまひよONLINE編集部
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年11月の情報で、現在と異なる場合があります。
<プロフィール>
福田萌さん
タレント、YouTuber。1985年、岩手県生まれ。2012年、お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の中田敦彦さんと結婚。2013年に長女、2016年に長男を出産し、現在は第三子を妊娠。2020年より、家族でシンガポールへ移住。現在はタレント活動のほか、YouTuberとしても活躍している。近著に『「中田敦彦の妻」になってわかった、自分らしい生き方』(講談社)が発売中。