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「痛みは防げる!」赤ちゃんを注射嫌いにさせない3つの方法

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ベビーベッドルーム
kieferpix/gettyimages

注射は何才になっても嫌なもの。とくに赤ちゃんは予防接種で注射を打つ回数が多く、病気が重症化しやすいので点滴を打ったり、検査のために採血をしたりする機会が大人より多いかもしれません。「注射嫌いにならないかな?」と心配になるママ・パパも多いのではないでしょうか?

日本では「注射は痛いもの」「痛みは我慢するもの」という考え方が一般的ですが、欧米諸国では真逆の考え方! 赤ちゃんのころから“痛くない医療”を受けることで、痛がりになったり、痛みへの過剰な恐怖を抱いたりする子どもにならない取り組みが行われています。

新生児は痛みを感じやすい!

予防接種の注射で、大泣きする赤ちゃんもいれば、まったく泣かない赤ちゃんもいます。赤ちゃんは不快を感じたときに泣いて訴えますが、泣かない子は痛みを感じていないのでしょうか?

とくに新生児はさまざまな機能が未発達なため、「あまり痛みを感じていないのでは?」と考えられてきました。けれど、1980年代後半に報告された「新生児は痛みを感じやすい」という研究論文で、その考えは一変。逆に痛みの抑制系が未発達なため、痛みを感じやすいことがわかったのです。

赤ちゃんの痛みに詳しい、日本大学医学部教授の加藤実先生によると、「赤ちゃんや子どものころの痛みの体験は蓄積し、大人での慢性痛への影響が報告されています」とのこと。

「痛みは神経を通って、脳へと伝わります。何度も痛みを感じると、体が痛みに過敏に反応するようになります。また、度重なる痛みの経験は、大人になってから慢性痛のリスクを増加させることがわかっています。そのため、新生児に外科的な医療処置をする場合、大人と同じように麻酔などを使い、痛みを取り除く必要があるのです」(加藤先生)

WHOも「ワクチンの痛み軽減」の提言を発表

すでにカナダやイギリスなどの欧米諸国では、赤ちゃんにワクチン、採血、点滴などをする際に、痛みをやわらげる処置をすることは当たり前だと加藤先生は言います。

「カナダでは『小児のためのワクチン接種の痛みのマネジメント』というガイドラインが作られ、痛みの軽減が図られています。また医療現場だけではなく、薬剤師のいる薬局で麻酔剤が手軽に購入できるなど、一般の人たちにも注射の痛みの軽減は当たり前のものとしてとらえられています。2015年にはWHO(世界保健機関)より『ワクチン接種時の痛みの軽減についての提言』が発表され、世界的に“注射の痛みは当たり前じゃない!”という方向に向かっています」(加藤先生)

痛みをやわらげる「薬物」とは?

では、どうやって注射の痛みをやわらげるのでしょうか?

「カナダのガイドラインでは、

①薬物を使ってコントロールする
②カウンセリングで心を落ち着かせる
③積極的に気をそらせて痛みを感じにくくさせる

この3つが示されています。

①の『薬物を使ってコントロールする』ですが、注射する部分の皮膚に、事前に外用局所麻酔剤を塗っておくことで、痛みを軽減することができます。

②の『カウンセリングで心を落ち着かせる』は、事前に医師が処置の内容を子どもに伝えることで、何をされているかわからない恐怖を取り除きます。

③の『積極的に気をそらせて痛みを感じにくくさせる』は、ママやパパに抱かれるなどして安心感を得たり、絵本を読む、ゲームをするなどして気をそらせたりして痛みを感じにくくさせます」(加藤先生)

日本では、まだまだ「注射は我慢するもの!」「痛いのはしかたがない…」という考えが一般的。痛みを伴う医療処置をする場合にも、時間のなさや忙しすぎるといった理由から、医師から外用局所麻酔剤の提案や、薬物以外の痛み対応を積極的に提供されることは少ないようです。

2017年の12月には、はるタイプの外用局所麻酔剤「エムラ®パッチ」が国内で発売開始となり、2015年に発売されたクリームタイプの「エムラ®クリーム」よりもさらに使いやすくなったと話題に。「エムラ®パッチ」「エムラ®クリーム」ともに、健康保険適用になります。ただし、子どもの予防接種は定期接種、任意接種ともに健康保険から外れるため、予防接種に使用される「エムラ®パッチ」「エムラ®クリーム」も同様に健康保険から外れます。医師に相談して、自費で購入することは可能です。

「痛みは防ぐことができます。赤ちゃんを痛みから守る医療を、医師、患者が一体となり、めざしていきましょう」(加藤先生)

加藤先生が医学監修している、注射の痛みについてとことんこだわったウェブサイト「ちっくん相談室」では、詳しい情報を得ることができます。気になる人はぜひチェックしてみてください。

歯医者での痛~い治療経験がトラウマになっている筆者にとって、「痛みは当たり前じゃない」「我慢しなくていい!」という加藤先生のお話は、まさに目からうろこでした。「少しのことで痛がるのは心が弱いから?」「痛みに耐えられないなんて恥ずかしい…」なんて思っていましたが、そうではないことがわかりほっとしました。
「エムラ®パッチ」は新生児から大人まで幅広く使える外用局所麻酔剤です。将来、子どもが治療や処置で注射・採血・点滴をする、皮膚レーザー照射療法をするときには、外用局所麻酔剤が使えないか医師に相談してみましょう。防げる痛みは防ぐ! まずは私たちの意識から変えていく必要があるかもしれませんね。(取材・文/ひよこクラブ編集部)

■監修/加藤 実先生
(日本大学医学部麻酔科学系麻酔科学分野診療教授)
1983年、日本大学医学部卒業。カナダ・トロント大学医学部麻酔科客員教授、日本医学部附属板橋病院麻酔科 麻酔科科長・痛みセンター長などを経て現職。医療の痛み、小児の痛みの予防、痛み治療に詳しい。

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