赤ちゃんは生まれてすぐから「食べる」準備を始めている!一生に関わる食事の土台を作るのが離乳食【医師監修】
生まれてしばらくはおっぱい・ミルクだけでスクスク育っていく赤ちゃんですが、いずれ「食べる」ように。どのように準備を始めるのでしょうか? 今回は赤ちゃんの離乳食と「食べる」に関する発達について、小児科専門医の工藤紀子先生にお話を聞きました。
5〜6カ⽉になると、おっぱい・ミルクだけではエネルギー・栄養不足になることも
離乳食の開始時期は5〜6カ月ごろです。このころの赤ちゃんは、動きが活発になって、必要なエネルギー量が増えます。また、鉄などおなかの中でママからもらった特定の栄養素を使い切ってしまうのもこの時期。こうして母乳やミルクだけで十分なエネルギー量や栄養を補うのが難しくなるので、離乳食を始めます。
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「食べる」とは、一生に関わることです。赤ちゃんが正しい食習慣を身につけると生活リズムも整いやすくなります。そのためにも適切な時期に離乳食を始め、食の土台作りを進めるのが大切。また、離乳食の機会はママ・パパにとっても調理時の衛生管理について知るいい機会に。正しく実践し、赤ちゃんに安全な食べ物を提供しましょう。
おっぱいを吸うために 生後しばらくはスプーンを受け付けない
赤ちゃんはおっぱいなどを吸う力(吸啜(きゅうてつ)反射)と、吸えないものを舌で押し出す力(押し出し反射)を持って生まれてきます。通常は4カ月ごろからこの反射が消えていき、あとからそしゃく能力を身につけていきます。そのため、反射の残る時期にスプーンを赤ちゃんの口に入れても、舌の動きでオエッと吐き出し、うまくいかない可能性が高いのです。
赤ちゃんはおっぱいを飲みながら 口まわりの筋肉を鍛えている
離乳食を始めるのは5〜6カ月ごろですが、赤ちゃんが食べる準備を始めるのは生まれてすぐのころから。たとえばおっぱいやミルクを飲みながらそしゃくに必要な口まわりの筋肉を鍛えています。ほかにも赤ちゃんは2〜4カ月ごろになると、口の中に手を入れてなめることがありますが、これも口の中にママや哺乳びんの乳首以外が入ってきても大丈夫なように慣らす準備。指や手、おもちゃ、時には足をなめることがある赤ちゃん。お口センサーを発達させ頑張っているんだ!と温かく見守っていきましょう。
食べ物を吐き出してしまうのは、動物的センサーが優れた証拠!と心配しないで
甘くておいしいおっぱいやミルクに対し、食べ物はさまざまな味がします。とくに酸味や苦みは「腐っているかも!」という動物的センサーが作動して、拒絶が起きやすい味。赤ちゃんが吐き出すのも無理ありません。ただ、そんな苦手な味も8〜12回ほど食べると食べられると言われているので、吐かれてもめげずに出し続けるといいですね。
赤ちゃんはママやパパの表情に敏感!離乳食タイムを一緒に楽しんで
赤ちゃんは8~10カ月ごろから、周囲の顔を見て、やってもいいこととダメなことを判断し出します。動物センサーで拒否した味も、ママ・パパが笑顔と明るい声かけで食べさせると、しだいに安心して口にすることが増えるでしょう。最初は大変なこともあるかもしれませんが、まずは赤ちゃんとの離乳食タイムを楽しんでくださいね!
監修・取材/工藤紀子先生 取材・文/江原めぐみ、たまひよONLINE編集部
赤ちゃんが生まれてすぐからこんなふうに離乳食を食べる準備を進めているなんて、びっくり! その頑張りを応援したくなりますし、離乳食を始めるのもとても楽しみになりますね!
参考/『初めてのひよこクラブ』2024年夏号「赤ちゃんが離乳食を食べられるようになるまで…」
●記事の内容は2024年5月の情報で、現在と異なる場合があります。
『初めてのひよこクラブ』2024年夏号には、「赤ちゃんが離乳食を食べられるようになるまで…」特集があります。