夜中の頻繁授乳で「こま切れ睡眠」のママが、しっかり脳を休める方法
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夜中も頻繁に起こされるから眠った気がしない…そう嘆くママは多いですね。子育て中のママが自分の睡眠時間を確保するにはどうしたらいいのか、睡眠学、心理学を専門とされている明治薬科大学の駒田陽子先生にお聞きしました。
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こま切れ睡眠でも積み重ねれば、体も心もリフレッシュ
赤ちゃんが健やかに育つには、ママの心身が健康であることが欠かせません。睡眠を最優先に考え、ママは「寝られるときは寝る」生活を送りましょう。
短時間睡眠でも積み重ねれば、疲労回復
「『眠る』というのは、リラックスして何も考えない状態。睡眠には、起きている間にため込んだストレスや疲れなどを癒やす役割があります。そして、体にも心にもエネルギーを補給してくれるから、目覚めたときに活動的になれるのです。
”こま切れ睡眠”でも、その効果はあります。頻繁な授乳でまとまって眠るのが難しい間は、『赤ちゃんが寝たら寝る』を実行し、短時間の睡眠をたくさん積み重ねていきましょう。
『そんなに短い時間では眠れない』というママは、目を閉じて横になるだけでもOK。視覚から入る情報がなくなるだけで気持ちが休まり、リラックスできるものです」(駒田先生・以下同)
クールダウンの時間を持ってから布団へ
「人間には、本能的な感情や行動をつかさどる『古い脳』と、進化の過程で手に入れた『新しい脳』があります。『新しい脳』は人の行動全般を支配しているため、起きている間はフル活動。睡眠中は『新しい脳』が眠り、疲労を回復しているのです。
心配やストレスを抱えていたり、イライラしたりすると、古い脳が興奮してうまく眠れなくなります。これは、一般的に安眠を妨げる原因になりますが、こま切れ睡眠になりがちな育児中のママにとっては、とくに大きなダメージに…。
短時間で質のいい睡眠をとるには、寝る前は心身の刺激になるものを遠ざけることが重要。たとえば、添い寝をしながらスマホで育児情報を検索したら不安になってしまった…なんていうのは、睡眠の質を下げる原因に。反対に、『すごくうれしい!』『めちゃくちゃ楽しい!』という気持ちも、眠りを妨げる原因のひとつになります。
赤ちゃんと暮らすママにとっては、『うれしい!』『心配!』どちらも身近な感情なので、うまく眠れなくなるママも多いようです。感情が豊かなことは決して悪いことではありませんが、健康のバランスを崩してしまうことになると心配ですね。赤ちゃんを寝かしつけたあと、温かいノンカフェインの飲み物を飲んでほっこりするとか、好きなアロマオイルの香りをかぎつつ深呼吸をするとか…少しでも癒やしの時間がとれるといいと思います」
赤ちゃんの体内リズムを整えると、ママもゆっくり眠れるように!
「そもそも、なぜママがこま切れ睡眠になってしまうのかというと、赤ちゃんが頻繁に起きるからですよね。
生まれたばかりの赤ちゃんは、昼夜の区別なく寝たり起きたりする『多相性睡眠』で過ごしています。でも、赤ちゃんの体内時計が『地球の時間』に合ったリズムを刻むようになれば、夜にまとまって眠るようになり、ママの睡眠時間も確保できるように。赤ちゃんの体内時計を合わせるためには、低月齢のうちから昼夜の区別がある生活を送ることが必要です。
●日中は、熟睡していても明るい状態にしておく(カーテンを閉めるなど室内を暗くしない)
●日中は、掃除や洗濯などの生活音は通常通りに(寝ているからと静かにしなくても大丈夫)
●夜は暗く静かな部屋で寝かせる
●朝が来たら、日の光を感じられるようにカーテンを開ける
赤ちゃんが『今は昼だな』『今は夜だな』と感じられる生活を送ると、赤ちゃんの体内時計が徐々に地球の時間と合っていき、夜にまとまって寝る時間が増えていきます。できるだけ早く生活リズムを整えるのは、赤ちゃんの心身の健康のために大切なばかりでなく、ママの健康を守ることにもつながります」
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赤ちゃんが寝てくれると、家事などいろいろなことをしたくなりますよね。でも、ママが睡眠不足でふらふらだったら、赤ちゃんも元気がなくなってしまいます。パパや周囲の人などの手も借りて、家事はできるだけ省略し、「赤ちゃんが寝たらママも寝る!」をモットーにしましょう。同時に、赤ちゃんの体内時計が合うように、昼夜の区別ができる生活を意識してくださいね。(取材・文/東 裕美、ひよこクラブ編集部)
■監修/駒田陽子先生
明治薬科大学リベラルアーツ准教授。東京医科大学睡眠学講座准教授を経て現職。専門分野は時間生物学、睡眠学、心理学。大人だけでなく子どもの睡眠についても研究されています。