寝不足が債務に!?赤ちゃんの「睡眠負債」を防ぐ生活習慣
赤ちゃんも睡眠不足になるって本当? 睡眠不足だと何がよくないの? "寝だめ"ってできるの?
睡眠にまつわるお話を、「快眠で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、睡眠の質を向上するための指導や普及に努めていらっしゃる雨晴クリニック副院長の坪田 聡先生に伺いました。
日本人は眠るのが下手!?
「『一夜づけ』『徹夜明け』などという言葉もあるように、日本人は試験や仕事などの時間をねん出するために、睡眠時間を削りがちなように思います。NHK放送文化研究所が行った国民生活時間調査(2015)によると、睡眠時間の減少が止まり、早起き・早寝の傾向も出てきているようですが、世界的に見ると、まだ日本人の睡眠時間は短めです。また、男性より女性の睡眠時間が短いのも特徴です」
「眠い」という自覚すら、しづらい現代
「睡眠にはメラトニンというホルモンが大きな役割を果たしています。メラトニンが夕方から順調に分泌されれば、夜は自然と眠くなるものですが、現代は暗くなってきても照明やテレビなどで明るい状況が続きます。
メラトニンは、目が暗闇を認識すると、脳の松果体という部分から出てくるもの。いつまでも明るいとうまく分泌されず、眠いという自覚すらしづらくなってしまいます。
就寝前にスマートフォンやタブレットなどの画面を見るのも、脳への刺激で眠りにくくなってしまう原因。赤ちゃんの寝かしつけに活用している人もいるかもしれませんが、逆効果です。
現代は、大人も赤ちゃんも睡眠不足の状態が続いて、“睡眠負債”(日々の睡眠不足が積み重なり、生活の質が低下したり、健康に悪影響を及ぼしたりする可能性がある状態)を抱えやすくなっています」
赤ちゃんの“睡眠負債”を防ぐために
「睡眠中に赤ちゃんの脳と体は著しく成長します。赤ちゃんを睡眠不足の状態にさらして成長を妨げないためにも、夜は20時に寝て、朝は7~8時には起こす習慣を心がけましょう。
睡眠不足の状態では、持っている力を100%出し切れないというハンディーを背負うことにもなります。大事な試験前や試合前などに睡眠時間を削ることは本末転倒。『休日にまとめて寝ているから、大丈夫』という人もいるかもしれませんが、寝だめは“負債”を返しているだけ。やはり毎日の十分な睡眠が大切です」
日本人のもともとの気質に環境も加わって、大人はもちろん、赤ちゃんも睡眠不足に陥りやすいんですね。睡眠不足は赤ちゃんのときから始まり蓄積され、やがて“睡眠負債”に。負債を抱えさせないためにも、毎日の睡眠を大切にしてあげたいですね。(取材・文/ひよこクラブ編集部)
■監修/雨晴クリニック 副院長 坪田 聡先生
日本睡眠学会、スポーツ精神医学会、日本医師会所属。『専門医が教える毎日ぐっすり眠れる5つの習慣』(三笠書房)、『あなたを変える睡眠力』
(宝島社)など著書多数。
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。
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