「普通預金にいくら入れてる?」 子育て家庭のお金事情と預金ルールをプロに聞く
今回のテーマは「普通預金」についてです。みなさんは普段、普通預金にいくら預けていますか?
「たまひよ」アプリユーザーに聞いた実態とともに、子育て世帯のお金に強いファイナンシャルプランナーの近藤賢一さんにアドバイスをいただきました。
56%の人が100万円以上のお金を普通預金に預けている
最初に、「たまひよ」アプリユーザーに聞いたアンケート結果からご紹介します。
Q:あなたは普通預金にどのくらい預けていますか?
10万円以下 11%
11~30万円 8%
31~50万円 9%
51~100万円 12%
101~300万円 26%
301~500万円 10%
501万円以上 20%
その他 3%
では金額ごとに、みんなの声を聞いてみましょう。
10万円以下の人の声
「投資で貯めているから」(Luka)
「貯金を切り崩して奨学金の返済をしているため」(まーる)
「難しいことはわからないし銀行などに行っている時間がない」(ささみ)
11~30万円の人の声
「今月も16万円のクレジットカード支払いがあるため。毎月ギリギリの額で生活している」(かなえ)
「毎月の出費でギリギリだから」(まい)
「すぐに引き落としできないと不安だから」(まいまい)
31~50万円の人の声
「すぐにお金を出し入れできるから。(普通預金以外に)預金しても利率が低いから。する意味がない」(KW)
51~100万円の人の声
「好きな時におろせるから」(さらさら)
「いざとなった時にすぐに使えるように」(デコピン)
101~300万円の人の声
「急な出費などに対応するため、すぐに払い出せる普通預金にある程度預けています」(りんご)
「生活防衛費だから」(はやみな)
「たまたま。定期預金にも100万円ほどある」(もげ)
「とくに定期預金の魅力がない」(なーさん)
「資産運用や積立など、どのようにすれば一番良いか検討中であるため」(S)
「手元にあると使ってしまうから。預けておけば、めんどくさがりの私は引き出すことを滅多にしないので…」(かなゆう)
301~500万円の人の声
「面倒なだけです」(ゆゆ)
「子育てしていると、いざという時に自由になるお金が必要だと思うため」(ao)
「投資もしているので、いつでも動かせるようにしたいため」(まーちゃん13)
501万円以上の人の声
「定期預金も特に金利が高いわけでもないので」(かず)
「金利が一緒だから」(ぽんし)
「普通預金口座残高には一定の金額を置いておきたいため。また、貯蓄用口座と給与入金やクレカ引き落としなどの動きのある口座を分けているため」(ひとみん)
「半年分の生活費を預金しておく」が基本だけど、自分の感情も大切にして決めて
普通預金に入れている金額については、その額についても、理由についても、いろいろな意見があるようですね。
普通預金をどのように利用するといいのか、また現在の金融状況では、普通預金と定期預金、その他の投資などについて、どういうスタンスをとるといいのかなどについて、ファイナンシャルプランナーの近藤賢一さんに話を伺いました。
「新NISAなどの資産運用の話題が多くなる中で、『じゃあ、銀行にいくらあればいいの?』という相談はよくあります。
今後の金融政策で金利に関して変動があるかもしれませんが、日本の銀行の金利は0.001%。
100万円預けても年間10円。1000万円預けても年間100円しかつきません。
これが銀行に貯金していても、もったいないと言われる理由です。
ただ、銀行ではお金は増えませんが、安全にお金を管理しておける場所であり、いつでもすぐ引き出せる場所として考えて使うことは大切です。
まず一般論としてよく言われるのは、『生活費の3ヶ月分』というフレーズ。簡単に言えば、収入が0になっても3ヶ月は生活できる金額を預金しておきたいというものです。
ただ一般論と言いうのは、すべての家庭での正解ではありません。あくまで目安であり、各家庭で考え方が違って当然なんです。
僕自身の考え方は、できれば半年分はあったほうがいいと思います。
コロナ禍や社会情勢による物価上昇などで生活の負担が増えている昨今、少しゆとりをもったほうが安心です。
また個人事業主は仕事ができない=収入ゼロというリスクもあるため、生活費の1年分はあったほうがいいと考えます。
しかし、例えば生活費の半年分が200万円だったとしましょう。『今まで頑張って1000万円の預金があるから、800万円は運用などに回していいのか?』と言ったら怖いですよね。
この時は『200万+αでいくら銀行にあったら安心か』という感情的な考えも大切にしてください。お金を動かすことで不安を感じては本末転倒です。
損得だけではなく、感情も大切にして決めることが重要です。
では十分預金があったらどうするか?
世の中にはいろんな金融商品があります。よくネットでこれが良い、これはダメだという話が出ていますが、悪い商品はありません。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、まずは内容を知って“自分にあっている”ものを見つけることが大切。
多くの人がやっているから自分にもあうとは限らないのです。
最近は預金よりも投資へシフトしようという考えが普及してきましたが、それはあくまでも自分を守る緊急資金があってからのこと。預金がほぼないのに資産運用を始めては、もし運用が悪かった時にお金がなくなってしまいます。
そこで、各家庭のタイプ別にアドバイスをしていきましょう。ご自身の感情や考えに近いものを参考にしてください」(近藤賢一さん)
「とにかく日々の家計がきつきつ!」というご家庭は…
まずは固定費を見直してみましょう。
意外とちょっとした手間で見直せるものはあります。今は見直しから始めて、しっかりと緊急資金を作る意識が大切です。まずは普通預金に生活費3ヶ月分を目指しましょう。
「銀行が安心!運用はリスクがあるから怖い」というご家庭は…
もちろん安心は大切です。ただ、時代の流れとして運用をしないことがリスクになってくる可能性もあります。運用商品について、どんなことを注意したらいいのかなどを知ることから始めましょう。まずは知った上で、本当に自分には向かないのかを判断することが大切です。
「いろいろとやるのは面倒だ」というご家庭は…
この気持ちはわかります。1つ、例え話をしましょう。1つの籠に卵を5個入れていて転んだらすべて割れます。でも籠を分けていたら?別の籠の卵は割れずに残りますね。同様に、資産を1ヶ所ではなく分散をしておくことは大切なことなんです。
始めに運用の仕組みを作ってしまえば、あとは使う時に『どこから使おうか?』と選択するだけです。最初だけしっかり決めたらスタートできるので、考えてみてはどうでしょうか。
緊急資金+安心資金の考えも運用も、家庭ごとに選択が違っていいんです。
自分にあったバランスで考えていくことが重要で、そのバランスを一緒に考えるのが、僕のようなファイナンシャルプランナーの重要なミッションです。一度、相談してみるのもありかもしれません。
普通預金にいくら入れておくといいのか…。人によって安心できる金額は違うでしょうし、働き方やお金の使い方によっても変わりはあるでしょう。基本と現在の金融情勢を知った上で、各家庭にあったマネープランを選択していきたいですね。
(取材・文/橋本真理子、たまひよONLINE編集部)
近藤賢一さん
PROFILE)
ファイナンシャルプランナー、子育て世帯専門のファイナンシャルプランナー事務所RAC代表。関わるすべての子育て世帯が、知らないことで損をしないために難しいお金の話をわかりやすくワクワク伝えることがモットー。年間100世帯以上の子育て世帯の家計相談や資産運用、住宅購入など、ありとあらゆるお金の相談に対応。毎日配信される公式LINEは「無料で気軽にお金や制度、経済の情報を得ることができる!」と大好評。大人だけでなく子どもの金銭教育にも力を入れ、お金の大切さやお金の稼ぎ方を伝えるオンラインスクールも開講中。
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2024年4月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数133人)
※記事の内容は2024年6月の情報で、現在と異なる場合があります。