2件の火事とおそろしい思い出【御手洗直子のコマダム日記 #197】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」#197
今回は火事にまつわるお話です。
家が燃えても誰も教えてくれない
自分の住んでいる家が燃えたことは無いが、3軒隣の家が火事になったことがある。
ボヤ程度の火事ではなく、全焼した上で隣の家にも延焼したのでわりと大変な火事であった。延焼した場所がトラック置き場だったため、ガソリンに引火して爆発音が鳴り響き、『風にあおられた火が隣の家に移る』というなかなか見られない光景を家の窓から見たりしていた。
私はたぶん小学校低学年くらいだったと思うのだが、特に深く考えない小学生だったので『めちゃくちゃ燃えている』くらいの感想で燃える家を眺めたり家に入って休憩したりを繰り返していた。当時の親や大人たちがどれだけ深刻だったのかは覚えていないのだが、最初うちは2軒挟んでいたのでまだ余裕があったような気がする。延焼して『2軒先の家が燃えている』になったあたりで親が貴重品をまとめ始め、隣の家はタンスやら家財を外に出していた。子ども心に『これが1軒挟んでるか挟んでないかの違いなんだな…』と思ったのを覚えている。
不幸中の幸い、死者や大けがの人は出ることが無く火事はそこで消火された。
そしてその数年後、今度は真裏の家が燃えた。夜中になんかうるさいなと思い目が覚めて窓の外を見たら裏の家が燃えていて、消防車と野次馬でごった返していたのである。そんなことある???おそろしいことにその時点で起きたのは家族で私だけで、すぐさま全員起こし裏の家が燃えているということを伝えた。これ、こわくないですか。消防車が複数台来てて野次馬が山ほどいても裏の家が燃えてるって誰も教えてくれないんだぜ。いやまあそりゃそうか(?)自分の家が燃え始めたら消防士さんとかが生存者確認とかで教えてくれるんだろうか。おそろしい。こちらもわりとすぐ消火され、けが人などは出なかったようだ。
それ以降近所で火事が起きたことは無い。2006年に家庭用火災報知器の義務化が始まり、それも功を奏しているのかもしれない。そんでもってこの火災報知器、忘れた頃(新築に越して13年目)にして急に喋り出すのである。夜中である。
隣の部屋で聞いたことの無いアラームと人の声がする。冷蔵庫でも、電子レンジでもない。聞いたことの無い電子音が真夜中に鳴っているのである。恐怖にかられながら音のする部屋を見に行くと大音量で『ピーッピーッピーッ電池を交換してください!』『ピーッピーッピーッ電池を交換してください!』と警報機が叫んでいるのである。こわい。
夜中に大音量で叫ぶ機器というのも怖いし、止め方を全く知らないのも怖いし、すぐさま手が届く距離に無いのもおそろしい。が、放置できる音量ではなかったため娘と協力して警報機から電池を外し、翌日替えの電池を通販したのであった。警報機。もうちょっとソフトにならんか。そうか。
今まで経験した2件の火事よりこれが一番印象に残っているのであった。(おわり)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子X(旧twitter):@mitarainaoko