【医師監修】育児中のママ必見!産後の「ショーツゾーン」のトラブルはどうケアする?
産後間もない、育児中のママたちから、腰痛、尿もれ、膣のゆるみ…などの「ショーツゾーンのトラブル」で悩んでいるという声をよく聞きます。 みんなが悩みがちなトラブルについて、原因と対策を、泌尿器科専門医で腟医療のエキスパートでもある、中村綾子先生に教えてもらいました。
※「ショーツゾーン」とは、骨盤、おしりまわり、腰まわり、デリケートゾーンなど、ショーツで隠れる部位のことを表現する、『たまひよ』が考えた造語です。
産後は骨盤まわりが不安定な「回復期」だから、「ショーツゾーン」のトラブルが起こりやすい!
産後は、骨盤も腟もゆるんだ状態。その上、母乳を出すためのホルモンの作用でも腟がゆるみやすくなっています。悪露(おろ)や会陰切開(えいんせっかい)の傷の痛み、痔(じ)などのトラブルも多く、ショーツゾーンは大変なとき。
お産で受けた骨盤まわりのダメージは3カ月ほどかけて回復し、1年ほどかけて元の状態に戻っていきます。0~3カ月の赤ちゃんを育児中のママたちのショーツゾーンは、まさに「回復期」です。そんなまだ回復段階の時期なのに、赤ちゃんの抱っこや授乳という、骨盤まわりにも負担がかかるようなお世話をしなければいけないので、ショーツゾーンのトラブルが頻発したり、長引いたりすることが多いんです。
産後0~3カ月ママのリアルなお悩みに、先生がアドバイス!
腰痛、尿もれ、腟のゆるみ、ぽっこりおなかやどっしりおしりなど、産後に起こりがちなショーツゾーンのトラブルに実際に悩むママたちの声と、中村先生のアドバイスを紹介します。
腰痛
【ママの声】
「妊娠後期からつらかった腰痛が、産後さらに悪化。赤ちゃんを抱っこするたびに痛みが…」
【中村先生からのアドバイス】
「産後の骨盤のゆるみやゆがみに加えて、妊娠中から産後の姿勢の変化が原因になることが。妊娠中は後傾、産後は前傾になりがち。なるべくまっすぐな姿勢を意識し、つらいときは産後の理学療法、整形外科を受診しましょう。ヨガのねこのポーズなど、骨盤や骨盤まわりの筋肉を動かすようなエクササイズもおすすめです」
尿もれ
【ママの声】
「くしゃみをするたびに、尿もれ…。“産後あるある”というけれど、放っておいていいの?」
【中村先生からのアドバイス】
「尿もれは産後3カ月ほどでだいぶ回復しますが、治るまで1年ほどかかることもあります。くしゃみをしたときや、ジャンプをしたときに少しもれてしまうのは、産後よくあること。歩いているときにダラダラともれる場合や、もれる量が多いときは症状が重いので、泌尿器科を受診することをおすすめします」
腟のゆるみ
【ママの声】
「腟に空気が入っておならのように出たり、おふろで湯船につかったあと、水が出てくることも」
【中村先生からのアドバイス】
「セックスのときにパートナーから『腟がゆるくなった』と言われて悩む人も多い印象です。自費診療のレーザー治療で解消できますが、まだ治療を受けられる医療機関は少数。腟を意識して引きしめる“腟トレーニング”や骨盤底筋(こつばんていきん)を鍛えるエクササイズをコツコツやるのも効果的です」
ぽっこりおなかやどっしりおしり
【ママの声】
「産んだのに、まだおなかがポッコリ(泣)。おしりもどっしりして、垂れ下がってきたような…」
【中村先生からのアドバイス】
「姿勢が悪かったり、骨盤まわりがゆがんだままだと、エクササイズを頑張っても体形が戻らないことが。姿勢を正して、骨盤底筋などのインナーマッスルを鍛えると戻りやすくなります。ストレッチやマッサージなどで骨盤まわりの血流をよくして、筋肉をしなやかにすることも大切」
【中村先生から産後のママへメッセージ】 ショーツゾーントラブルを解消するには、骨盤を正しい位置にすることと、腟トレ・腟ケアが大事!
「ショーツゾーンのお悩みに対して共通して効果があるのは、骨盤を前傾も後傾もしていない正しい位置にすることと、腟トレ・腟ケアです。
具体的には正しい骨盤の位置を意識して生活すること、骨盤底筋を含むインナーマッスルを鍛えること、鼠径部のマッサージや骨盤まわりのストレッチをすること、腟ケアとして腟専用のソープや保湿剤で洗浄・保湿することなどです。習慣にしておくと、閉経時に再び起こりやすくなる、ショーツゾーントラブルの対策にもなります」
監修/中村綾子先生 イラスト/ ふち 取材・文/渡辺有紀子、ひよこクラブ編集部
産後のショーツゾーントラブルを長引かせないためには、骨盤や骨盤まわりの筋肉ケアがとても大事。更年期や閉経時に備えるためにも、産後の今からケアを継続するのがおすすめなんだそうです。
『初めてのひよこクラブ2024年秋号』の「産後のショーツゾーントラブル、今できるケアを教えます!」特集では、今すぐ始めたい「ショーツゾーン」トレーニングや、骨盤まわりに負担をかけない赤ちゃんのお世話方法なども紹介しています。参考にして、しなやかでニュートラルな骨盤(骨盤が正しい位置にある状態)をめざしてくださいね。
参考/初めてのひよこクラブ2024年秋号「産後のショーツゾーントラブル、今できるケアを教えます!」
●記事の内容は2024年9月時点の情報であり、現在と異なる場合があります。
中村綾子先生(なかむらあやこ)
PROFILE
女性医療クリニック LUNAネクストステージ院長。女性骨盤底医学会認定専門医。泌尿器科専門医。横浜市立大学医学部卒業後、横浜市立大学泌尿器科に入局。横浜市立大学附属病院勤務などを経て、現職。小学生と未就学児の2人のママ。腟医療のエキスパートとして、SNSでも、尿もれや腟のゆるみなどのフェムゾーントラブルに悩むたちに情報を発信中。