【教育資金の最新動向】子どもが高校卒業までにいくら貯めると安心できる?FPに聞く
今回のテーマは子どもの教育資金についてです。どのくらい貯めておくと安心なのでしょうか。
「たまひよ」アプリユーザーに聞いたアンケート結果とともに、ファイナンシャルプランナーの菅原直子さんにアドバイスをいただきました。
教育費用の目標額、「まだ決まっていない」という家庭が多い結果に
最初にアンケート結果から紹介します。
Q:教育費はお子さんが高校を卒業するまでに、いくらくらい貯蓄しようと思っていますか?
~300万円くらい 6.6%
301~500万円 13.2%
501~700万円 11.5%
701~1000万円 6.0%
1000万円以上 12.6%
目標額は決めていない 30.8%
教育資金は貯めない予定 0.5%
わからない・まだ考えていない 18.7%
今回、お答えいただいた「たまひよ」アプリユーザーは、妊娠中~小さいお子さんを持つ家庭がほとんどのため、まだ決めていない・考えていないと回答した人も多かったです。
では、我が子が高校を卒業するまでに、いくら貯めておくと安心なのでしょうか。お子さんの進路によって違いはあるでしょうが、ある程度の指標についてファイナンシャルプランナーの菅原直子さんにお聞きしました。
進路で多い進学先から考えると高校卒業時までに「500万円」
「子どもの進路は、子ども自身のライフプランがある程度はっきりする高校生くらいまではよくわからないことが多いもの。
進路がわからないのですから、必要になる教育費もわからないのですが、だからといって準備に取りかからないわけにもいきませんよね。
そこで、目安になるのが『500万円』です。
現在、高校3年生の約6割が大学へ、約2割が専門学校へ進学しています。そして、大学進学者の4割は私立大学の文系です。つまり子どもの進学先としては大学の文系の可能性が高いと考えられるので、その費用を目安にしようということです。
私立大学の文系の学校納付金平均額は4年間で約443万円です。これに受験料や教科書代などを足して『500万円』とします。
この500万円は、子どもの進路がはっきりしない場合の目安です。
理系や芸術系など文系以外の分野はもっと高額です。中でも学校納付金が一番高額とされる私立大学の医学・歯学部を希望していることがはっきりしているのであれば、6年間の平均額約3230万円が目安になります。
注意したいのは、新しい制度への勘違いです。2020年4月に開始した『高等教育の修学支援新制度』は、大学・専門学校の授業料を免除・減免したり、返還不要の奨学金を給付したりするものです。ただ、全員が対象ではないことから、大学や専門学校の費用全般の負担が『わが家も無し』になったような『錯覚をしない』ことです。
以前に比べて、子どもの教育費を援助してくれる制度は整ってきています。けれども、すべての子どもが無条件に対象になるわけではありません。一定の条件をクリアしなければ『定価』を払わなければならないのです。
子どもの大学進学時、定価を払わなくてすむようであれば、貯めたお金は住宅ローンの繰上返済や親の老後生活資金に使うことができます。貯めたお金は無駄にはなりません。
児童手当が高校卒業まで受け取れるようになるなど、新たな制度も子どものための貯蓄を助けてくれます。コツコツ貯め始めるようにしましょう」(菅原直子さん)
参考:文部科学省「令和5年度学校基本調査」「令和5年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額」
産後すぐに貯め始めたとしても、1ヶ月に2万4千円ほどの貯蓄が必要に。1人あたり500万円という目標に向けてコツコツ始めたいですね。
(取材・文/橋本真理子、たまひよONLINE編集部)
菅原直子さん
PROFILE)
ファイナンシャル・プランナー。外資系生命保険会社の勤務・代理店を経て1997年FP資格取得・独立。わが子の成長にあわせて教育資金関連に注力し、各地の高校で保護者・生徒向けの進学費用に関する講演多数。現在は子育て世帯からの教育費を中心とした家計相談に加え、高齢者や独立しない子どものいる家族のライフプラン相談も。「働けない子どものお金を考える会」「子どもにかけるお金を考える会」メンバー。
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2024年8月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数182人)
※記事の内容は2024年10月の情報であり、現在と異なる場合があります。