11歳の娘をもつモデル・鈴木えみ。子育ては、命を守ることにせいいっぱい。だれにも相談できずにつらかった
11歳の娘を育てるモデル・クリエイターの鈴木えみ(以下、えみ)さん。子育ての経験から、2024年1月に“Family Heart Talks”という性教育のプロジェクトを発足させ講演会などの活動を行っています。
えみさんに、結婚や出産当時のこと、思春期を迎える娘の子育てのことなどについて話を聞きました。
スピード婚から12年、今も夫婦仲よし
――今から12年前、27歳のときに交際3カ月で結婚したことが話題になっていました。結婚を決めたときのことを教えてください。
えみさん(以下敬称略) 夫とは共通の友人の誕生日会で出会い、すごくいいにおいがする人だなと思って、直感的にひかれました。交際が始まったころ、私は結婚にこだわらないタイプだと話をしていたんですけど、交際開始から2週間後くらいに彼からプロポーズしてくれました。彼に身をゆだねてみようかな、と3カ月後に入籍しました。
ただ、入籍までのスピードがあまりにも速すぎて、私の周囲の友人たちがみんなパニック状態で(笑)。友人たちに彼のことを紹介しきれていなかったから「結婚するって、そもそも、だれと?」ってかなり驚かれましたし、友人たちからは「たぶん長くは続かない」と思われていたと思います。でも、おかげさまで結婚12年目に突入して、仲よく一緒に生活できています。
――その後娘さんを出産したえみさん。出産や育児を経験してどんな変化がありましたか?
えみ 私自身はひとりっ子で育ち、13歳でモデルの仕事を始めて、どちらかというと自分自身のペースを大事に生きてきました。ところが出産をしてみたら、24時間を小さな赤ちゃんのペースに合わせて動かないといけませんよね。そのことが慣れなくて負担に感じた時期がありました。
当時28歳だった私のまわりには出産経験のある同世代の友人がほとんどいませんでした。だから子育てのことを相談したり、経験談を聞いたりできる人がいなかったんです。娘が2歳くらいになるまでの時期、夜の睡眠がなかなかとれなかったり、後追いが激しかったりして、大変だった記憶があります。小さな命を守ることにせいいっぱいで、真面目になりすぎてつらかったのかもしれません。
――これまでの子育てで、いちばん幸せを感じたことはどんなことですか?
えみ 娘が生まれてから、今も毎日幸せです。娘は、私の誕生日や母の日などの記念日に初めて歩いたり、卒乳したりしてくれる子だったんです。だから、記念日になると娘の幼いころの成長も思い出せて幸せな気持ちになれるので、できた子だなぁ、と思います(笑)。彼女の成長をいちばん近くで見届けられることにすごく幸せを感じます。今、娘はどんどんキャラを進化させてきているので、これからの変化も楽しみです。
娘からの質問や相談にできるだけ答えたい
――えみさんが子育てで大事にしていることはどんなことですか?
えみ 娘の質問にはできる限り答えることですね。一緒にニュースを見ながら「これはどういうこと?」と聞かれたら、娘が理解できるような言葉で、暗いニュースでもごまかさずにちゃんと説明するようにしています。そうすることで、娘自身も社会の一員だと意識できるようになると思うんです。
私がよく知らないことを聞かれたときには、娘と一緒に調べます。一緒に勉強して理解できると、仲間みたいな絆も深まる気がします。
――育児に悩んだとき、相談したり頼ったりする存在はいますか?
えみ 今は、私が友人たちに先輩ママとして相談されることのほうが多いです。「こういうときどうしてた?」とよく聞かれるので、自分の経験を話したりアドバイスしたりしています。娘も思春期を迎える時期なので、メンタル面の相談をされることも増えてきました。
――これから娘さんにどんなふうに育ってほしい、という願いはありますか?
えみ これまでは、お友だちとの遊びやかかわりのなかで「みんなと一緒がいい」と言うことが多かったんですけど、小学校高学年になってそれが少しずつ「みんなと違ってもいい」と思えるようになってきたようです。そういう価値観の変化に成長を感じます。
子どもはみんなそれぞれ違うすばらしさがありますよね。娘にも、自分が持って生まれた個性を誇りに思ってほしいし、自分の感覚を大事にしてほしいなと思います。そのために、私も普段から、「みんな違って当たり前。みんな違っていいんだよ」という考えや態度を、娘にお手本として見せていきたいなと思っています。
夫とも娘とも、生理のことを日常的に話し合っている
――えみさんは2024年1月に“Family Heart Talks”という性教育のプロジェクトを発足させたそうです。講演イベントにはどのような感想や反響が届いていますか?
えみ 毎回アンケートを取って私も全部に目を通していますが、参加者のみなさんからはとても満足度の高い結果が出ています。仲よしのママ友同士でも、なかなか性の話ってしづらかったりするから、気になっていたことを聞けてよかった、という声が圧倒的に多いです。
ただ、参加してくれる方は関心がある方なので、そうじゃない人にも届けられるようにしていくのが今後の課題だと思っています。
――えみさん自身は11歳の娘さんにどんなふうに性のことを伝えていますか?
えみ 生理のことも隠したことはないですし、「生理だから一緒におふろに入れない〜」とか、「今日生理前だから胃袋がブラックホールだわ〜」なんて日常的に話しています。日常的に話しているから、娘も生理前後にどんなことが起こるかの理解もできています。思春期近くなって身体の変化の話題なんかもよく話しますよ。
――性教育について夫婦ではどんな情報共有をしていますか?
えみ 娘とは、日常生活での自然な会話の流れで性について話すことが多いので、夫には「今日はこんなことを話したよ」とか「同級生たちはこんな様子で、娘はこう考えているみたいだよ」とあとから共有しています。
子どもが生まれる前から、夫にも生理のことをフラットに話していたので、生理前でイライラすることや腹痛などいろいろな症状があることなども理解してくれていると思います。
――公共交通機関などを利用する際、性犯罪に巻き込まれないような工夫はしていますか?
えみ それに関しては、娘の学校では定期的に授業をしてくれています。公共交通機関を利用するときのマナーも含めて、危険なことに巻き込まれそうなときの対処法や「“あやしい人”ってどういう人なんだろう?」というテーマで、子どもたち同士で話し合ったりする時間があります。
娘にはキッズフォンを持たせていますが、いざというとき防犯ブザースイッチのストラップを引っ張れるかというと、おそらく難しいんじゃないかなと思うんです。だから危ないときにどうするか、というシミュレーションもしています。体のどこかをつかまれそうになったら、まず大声を出すとか、とにかく逃げるとか。そういう場面をイメージしておくだけでもきっと違うと思います。
お話・写真提供/鈴木えみさん 写真提供・取材協力/株式会社TENGA 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部
娘さんは、お友だちとのことや学校でのことなども、なんでも話してくれるのだとか。えみさんの話から、とっても仲よしな親子の様子が伝わってきました。
PROFILE
1999年に雑誌「SEVENTEEN」の専属モデルとしてデビュー。数多くのメディアで活躍するほか、デザインプロジェクト「Lautashi Design」のディレクターをはじめ、クリエイターとしての活動も多岐に渡る。
プライベートでは一児の母。2024 年に性教育の普及を目指したサポート団体「Family Heart Talks」を発足。子どもたちにとってのよりよい未来を目指して、講演イベントなどを精力的に行っている。
●記事の内容は2024年12月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。