「もうすぐ幼稚園入園。でもおもらしが多い」「もうすぐ小学校入学。でも頻繁におねしょ」入園入学時期の「トイレが心配…」どうすれば?【専門家】

もうすぐ入園・入学の時期。3歳代に年少で幼稚園に入園する場合、トイレトレーニング(トイトレ)が進んでいても、まだトイレに間に合わないというシーンもあるでしょう。小学校入学を迎える6歳代になると夜以外はほとんどの子はトイレで排せつできるようになっていますが、慣れない“学校のトイレ”に不安を感じるママ・パパもいるのではないでしょうか。子どもの発達にくわしい臨床心理士の帆足暁子先生に、入園・入学時期の排せつ習慣やトイレ事情について聞きました。
トイトレは行きつ戻りつするもの。3歳代で幼稚園に入園する場合、トイレを心配しすぎないでも大丈夫
幼稚園に年少で入園する3歳代は、トイレトレーニングを進めている途中という子が多いことでしょう。
「尿意を親に伝え、『おしっこしたい』と認識しながら、トイレまでがまんできるようになるのが3歳代です。トイレトレーニングの進み方には個人差がありますが、親がトイレに誘うことを繰り返していくうちに、トイレでおしっこできる成功体験が増えていくころです。ただ、遊びに夢中だと間に合わないこともよくあります」(帆足先生)
幼稚園に入園する前の面談などでは、トイレトレーニングの進み具合を聞かれることが多いようです。
「トイレトレーニングの進み具合によっては、おむつで登園する子もいるでしょうが、トイレトレーニングに対する考え方は幼稚園によってさまざま。『おむつで登園してもいいけれど、おむつがはずれていないと夏にプールに入れない』ということもあります。気になるときは園に確認するといいでしょう。また、入園時にトイレトレーニングが完了していることを、なんとなく求められていると感じるママ・パパもいるようです。そんなときも、心配しすぎず、面談などで進み具合を話して『親子でトイレの練習に取り組んでいますが、もしかしたらトイレに間に合わないことも少なくないかもしれません。そのときはよろしくお願いします』などと伝えておくといいでしょう」(帆足先生)
トイレトレーニングは行きつ戻りつするのが”普通”。ある程度トイレでおしっこできるようになっていたのに、幼稚園入園直前になっておもらしが多くなるケースも。あせってしまうママ・パパもいるでしょうが、よくあることです。「大切なのは子どもの心を安定させること」だと帆足先生は言います。
「『入園までに絶対にトイレトレーニングを完了させないと!』とあせって、必要以上に親がイライラしたり、トイレに間に合わなかったときに厳しくしかったりするのは逆効果です。大切なのは、子どもが安心できていること。入園するというだけでも子どもには大きな環境の変化です。入園前後はとくに、トイレトレーニングを意識させ過ぎず、いつも以上に子どもとのスキンシップをとるなど、たくさん甘えさせて安心感を大切にしてください。ただし、安心感を与えるのと先回りしすぎることは違います。“なんでも親がやってしまって甘やかすこと”ではないので、それには注意しましょう」(帆足先生)
6歳代では時々おねしょをするという子もまだいます。学校で排便をがまんしてしまうケースも
小学校入学の6歳代になると、トイレについての心配事はかなり減ってくるでしょう。
「4歳代になると、まれにトイレに間に合わないことがあるものの日中のおしっこはほぼトイレでできるように。ただし、夜間のおむつ卒業については排尿機能がさらに発達する5~6歳が目安。小学校入学ごろの6歳代でも時々おねしょをしてしまうという子はいます。おねしょをしても心配しすぎることはなく、宿泊行事がなければとくに学校に言う必要もありません。
『授業中にいねむりして、そのときにおねしょをしてしまったら・・・』などと心配する親もいると聞きますが、1年生でいねむりする子はほとんどいないでしょう。多少ウトウトすることがあったとしても、おねしょをするほど長時間寝ることはほぼないので、“授業中のいねむり→おねしょ”ということは心配しすぎないで大丈夫です」(帆足先生)
小学校入学後、トイレのタイミングは子どもたち自身に任せられるようになることが多く、保育園や幼稚園と比べると先生から声をかけてもらうことは少なくなります。
「『授業中は絶対にトイレに行かせない』という小学校の先生はほぼいませんが、トイレは休み時間に済ませるのが基本です。先生方もそのように声かけをしてくれるでしょう。もちろん家庭でも、休み時間中にトイレを済ませること、もし授業中にがまんができなくなったら先生に伝えてから行くことを、入学前に子どもに教えておくといいかもしれません」(帆足先生)
また、小学校のトイレは、家庭のトイレや、今まで通っていた幼稚園・保育園のトイレとは雰囲気が異なることがあり、排便をがまんしてしまう子もいるようです。
「うんちはおしっこと違い、ある程度出さないでいることができてしまうもの。学校で排便をがまんしてしまうかどうかは、子どもの性格や小学校のトイレ環境などによります。何かを口に入れることで、胃腸が動き出し、排便しやすくなります。学校で排便する必要がないように、朝食を食べたら、登校前に家庭で排便する習慣をつけるのが理想です。朝は登校のしたくであわただしいかもしれませんが、朝食後に、家庭でゆっくりトイレに入る時間が作れるといいでしょう」(帆足先生)
入園や入学などの大きな環境の変化が排せつに影響する場合も
幼稚園入園や小学校入学は子どもにとっても大きな環境の変化です。そのことが排せつに影響することもあります。一時的におもらしやおねしょが増えることもあるでしょう。そんなときも、親がしかったりせずに、子どもに安心感を与える接し方が重要だと帆足先生は言います。
「幼稚園に年少で入園する3歳代の子は、多くの場合トイレトレーニングの途中なので、入園前後に一時的にトイレに間に合わないことが増えても大目に見てあげて。小学校に入学する6歳代の子がおもらしをしても、単発であればそれほど心配しないでいいでしょう。
入学前後の6才代が久しぶりに数回おねしょを繰り返したというときも心配しすぎないで大丈夫です。ただ、2~3週間くらいの単位で見たときに、続いていたり、頻度や一晩の回数が増えていったりして親が心配に思うときは、専門機関に相談するといいでしょう」(帆足先生)
取材・文/たまひよONLINE編集部
幼稚園入園・小学校入学直前のあわただしい時期に、おもらしやおねしょをが増えると、イライラしたり、入園・入学後のことを考えて不安が大きくなってしまうかもしれません。それでも、「親のあせる気持ちを子どもにぶつけるのはNGです」と帆足先生は言います。子どもにとって、入園・入学の環境の変化は大きいもの。トイレについて心配事があるようなら、親子でゆっくり話す時間を作ったりいつも以上にスキンシップをしたりするなど、子どもを安心させることを最優先にしましょう。
●記事の内容は2025年1月の情報であり、現在と異なる場合があります。