「くそババア」「てめぇ」「うるさい」子どもが乱暴な言葉を使ったときの正しい対処法
子どもがいきなり乱暴な言葉を発することがあり、びっくりすることがありませんか。「たまひよ」アプリユーザーの子育て体験談とともに、青山学院大学教授 菅野幸恵さんの子どもが乱暴な言葉を使ったときの対応についてアドバイスをお届けします。
乱暴な言葉を使ったとき、叱るそれとも様子見? どうすればいいの?
まず、子どもが乱暴な言葉を使ったときのエピソードを聞いてみました。
◾️きょうだい喧嘩の言葉遣い
「年中の妹が小3の兄にキツイ言い方をされてよく泣いて訴えてきます。内容としては小3男子なら言うだろうくらいのあまりひどくない言い方だと思うので、妹を抱っこして『そうだねぇ、お兄ちゃんキツイねぇ』などと、なぐさめています」(ゆうまま)
◾️若い女性に「ばぁば」
「若いお姉さんを前にして『ばぁば』と言ってしまったときは、母が凍りつきました…」(あーと)
◾️『クソババ』『うるさい』
「『クソババ』『うるさい』といったときは、夫とにすぐ共有。夫が子どもと話をして、説明をしてくれました」(びぃばぁ)
◾️『~だろーが!』『クソが!』
「怒ってというよりもふざけているときに多いのですが、男言葉で『~だろーが!』『クソが!』など親が使わない言葉でも友だち同士の会話で覚えてきて日常的に使うようになっています。『クセになって親しい人以外との会話でも、出ちゃうからやめなさい』と、その都度注意はするようにしていますが、なかなかなおりません。そしてやはりクセになってしまい遠方のおばあちゃんの前などでも使ってしまうので、とても恥ずかしいです…」(ちくわ)
◾️『あんた!うるさい!』
「『あんた!うるさい!』と言われたときは、びっくりしました」(ちゃんこ)
◾️『くそババア』
「『くそババア』と3歳が5歳に言っていたことです。『そんなこと言ったらダメ』と伝えて、まだ言うならこうだよ!と、くすぐり倒しました」(Luka)
◾️うんち
「うんちまーん、ままきんたまあ!」(あちん)
◾️あっちーけーー
「『ママ、あっちいけーー!』といわれたので、『だめよ、そんなこといったら悲しいよ』と伝えています」(あのちゃん)
◾️バカ!
「『バカ』そんなこと言ったら傷つくし、言われたら嫌な気持ちになる!と言いました」(まつママ)
◾️いきなりのババア
「ママって呼んで欲しくて、『ママ、ママ』と声をかけていたら『ババア!』と言われてびっくりしたあと、撃沈して笑ってしまいました」(かびごん)
◾️てめぇ
「『てめぇ、ぶっ飛ばす』など。このような言葉を言う度に使うのをやめるように言うようにしていいます」(はな)
乱暴な言葉に大人が過剰反応せず巻き込まれないことが肝要
教えたわけではないのに、子どものひと言に「ドキッ」とすることことがあります。乱暴な言葉を言ったときの親の対応方法について、菅野幸恵さんのアドバイスをお届けします。
「年齢はさまざまなのでしょうが、なかなかの乱暴な言葉のオンパレード。おうちの人に対してだけではなく、お友だちや見ず知らずの人に使ってしまう場合もあるとどう対応するか困ってしまいますよね。家では誰もそんな言葉を使っていないのに、いったいどこから覚えてきたのか不思議に思われることもあるでしょう。
大人が『えっ』と、思うような乱暴な言葉や身体部位や排泄物の名称など大人が対応に困ってしまうような言葉を使いだすのは、だいたい3歳くらいからです。集団生活を経験する子どもも増えてくる年齢であり、集団生活のなかでまわりの子、特に年上の子どもたちが使っているのを聞いて覚えることが多いです。子どもに身近となったYouTubeやテレビから受ける影響もあるとは思いますが、身近な子どもから受ける影響の方が大きいです。もしメディアの影響が疑われる場合は、そのメディアからは遠ざける方が懸命です。
乱暴な言葉を使い始めたばかりのころは、どんな意味なのか分かっていません。ちょっと上のお兄さんやお姉さんが使っているのが、カッコいいと思って自分も真似して言ってみたり、大人の反応を面白がったりして使っていることがほとんどです。特に身体部位や排泄物は、大人が恥ずかしがったり嫌な顔をしたりするので、しつこく繰り返すことも多いです。身体部位や排泄物の名称を連呼したりするときの大人の対応としては、反応しないことです。
大人が恥ずかしがったり、やめさせようとしたりすると余計にエスカレートするので、取りあわずにスルーしてみてください。反応がないと面白くないので、言わなくなります。またもう少し大きくなって言葉の意味がわかってくると、恥ずかしくなるので使わなくなります。
『てめえ』など少々ガラの悪い言葉は、年上の子が使っているのを見たり、自分が言われたりして、使うようになります。これらの言葉は自分を強く見せたいとき、相手より優位な立場にいることを示したいときに見られます。子どもからするとちょっと強そうな人になってみているという遊びに近い感覚もあると思いますので、まともに取り合わずよほどでない限りは見守っていてもいいのではないかと思います。
『バカ』『ババア』など相手を傷つけるような言葉も、初めは意味が分からず使っています。その言葉を使わないように言うのではなく、ユーザーさんたちがされているように、悲しい、イヤな気もちになるなど、『私(I)』を主語に伝えましょう。年齢と共に意味が分かるようにはなりますが、感情が高ぶるとつい出てしまうこともあります。そんなときは、まずそんな言葉を使わないといけないくらいネガティブな状態にある子どもの気持ちを考えてみましょう。悔しかったり、悲しかったり激しい感情があるはずです。乱暴な言葉には大人もついカッとなりがちですが、冷静になって子どもの感情に寄り添って、そのあとでそういうときはどうしたらいいのかを伝えてみてください。頭ごなしに『そんな言葉使っちゃダメだよ』では、子どもの気もちはモヤモヤしたままです。
乱暴な言葉に大人が過剰反応せず巻き込まれないことが肝要です」(菅野幸恵さん)
幼稚園や保育園だけでなくテレビやYouTubeなど、保護者の知らないうちに影響を受けて出る乱暴な言葉にびっくりすることも。過剰反応したり、すぐに叱ったりせずに、大人の冷静な対処が大事ですね。
(取材・文/酒井範子、たまひよONLINE編集部)
※文中のコメントは「たまひよ」WEB・アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2025年1月の情報で、現在と異なる場合があります。
菅野幸恵さん
PROFILE)
青山学院大学コミュニティ人間科学部 コミュニティ人間学科教授。専門は、発達心理学で研究テーマは、乳幼児期の親子関係、地域コミュニティでの子育てについて。著書に、『つながりの子育て―子どもをまんなかにしたコミュニティづくりを、問いなおそう』(理工図書)『あたりまえの親子関係に気づくエピソード65』(新曜社)などがある。
