3人の男の子パパ、俳優・高橋光臣。「出産は立ち会ったほうが絶対にいい!」泣く泣く立ち会った長男の出産で心境に変化が! 夫婦円満の秘けつは「何も言わずにそばにいる」こと
数々のドラマに出演し、俳優として活躍する高橋光臣さん。画面の中ではクールな印象の高橋さんですが、Instagramの中ではおちゃめなキャラで、手慣れた手つきでスイーツを作る姿が話題です。さらにプライベートでは、2024年秋に第3子となる男の子が誕生し、3人の男の子のパパでもあります。今回は、3人の息子さんたちの妊娠・出産の話や、日々の子育てについて聞きました。
全2回インタビューの後編です。
泣きやませ方もわからなかった初めての育児。夜な夜な、近所を歩き回ることも
――3人の子どもたちの子育てをそれぞれ経験して、どうでしたか?
高橋 長男のときは、妻も僕も初めての経験なので、本当に何もわからない状態でした。僕なんて、ただあたふたするだけで・・・。
あやし方も、泣きやませ方もわからないんですよ。夜に長男が泣いていて、妻がしんどそうなときには、「俺が預かるわ」と言って抱っこするんですけど、とにかく泣きやまないんです。そうなると、結局は妻も眠れなくて・・・。
そこで長男のときは、夜な夜な、近所を歩き回ることをしていました。泣き声でご近所に迷惑がかかるのも申し訳ないなと思って、抱っこしながら外を歩いていましたね。外に出て歩いていると、歩いているあの揺れがいいみたいで、泣きやむんですよ。
子どもが体調を崩したときはもっと大変でした。夜中に病院に連れて行って、結局朝までかかって、そのまま仕事に行くこともありましたから。ただ、意外とやれるということがわかったんです。
でも現場に行くと、ママでもある俳優さんは子育てしながら現場に来たりしているんです。あれを見ると、本当に頭が下がりますよ。どうやって子育てと仕事を両立して、さらに台本を覚えているのか、聞きたいぐらいです。
妻は、今は仕事をセーブしているので、僕が仕事の間は妻に育児全般をお願いしているんですけど、それでも、自分ができることはなるべくやろうと思っています。やればやるだけ、妻は「助かる」と言ってくれるので、そのほうが妻にとっても楽になることなんだなと実感しています。
――普段、高橋さんは育児のほかにも、家事をするんですか?
高橋 僕自身は、あまり家事をしている認識がないんですが、今回の取材を受けるにあたって、妻に聞いてみたんです。そうしたら、「意外とやってくれているよ」と言ってくれて。僕、朝は早く起きるんですけど、起きたらまず、シンクに残っているお皿を洗うんです。目覚まし感覚で洗っているところがあるんですが、妻には「すごく助かる」と言われます。
二男の幼稚園の送り迎えは、仕事のない日や時間に余裕がある日は、できるだけ僕がしています。妻が今は、三男の世話であまり動けないということもあるので。
小1の息子には、「今日、学校途中まで送ってやろうか?」なんて言うと、「いや、今日はいいや」とそっけなく言われてしまいますね。だんだんと手も離れ始めていることを感じますが、「もう来なくていいよ」と言われる日もきっと近いので、言われるまでは送っていこうと思ってます(笑)
第1子は33時間の難産だったものの、第2子以降は思いがけないスピード出産に
――3人の息子さんたちの、それぞれの妊娠時や出産時で印象的なエピソード、記憶に残っている出来事などはありますか?
高橋 長男は、生まれるまで33時間かかったんです。僕の中のイメージでは、大体8時間ぐらいで、長くても10時間ぐらいかな〜なんて思っていました。最初からずっと立ち会いができたので、妻のそばにいましたけど、時計の針がグルングルン回っていた感じでした。今何時なのか、外が暗いのか明るいのかさえもわからない状態で。妻はもちろん大変でしたが、僕自身もフラフラになっていました。
二男のときは、なんと3時間で生まれました。僕も前回のことがあるので、「さて、ここからまだまだかかるな!」と気合を入れていたら、先生に、「もう出ますよ!」と言われて。まだ何も始まっていないけど?と思いましたが、すぐに生まれてきてくれました。
さらに三男のときは、病院に到着して1時間半ぐらいで生まれたんです。さらにびっくりという感じでした。
――立ち会いは予定されていたんですか?
高橋 実は最初、「俺、立ち会いしないといけないのかな?」なんて思っていたんです。ただ、妻からの「絶対に立ち会ったほうがいい」という強いすすめがあって、それで立ち会うことにしました。長男のときは、なんなら、泣く泣く立ち会ったような感じで。でも実際に経験してみたら、「これは立ち会ったほうが絶対にいい!」と思いましたね。そこを逃したら、一生できないことだと思うので。
最初はそんな気持ちでしたが、運よく、3人とも立ち会うことができたんです。子育てって、もう今後、一生ないかもしれないということがたくさんありますよね。
――長男が生まれたときの気持ちを教えてください。
高橋 正直なところ父親になった実感がわきませんでした。「生まれました〜」となって、みんなで「かわいい、かわいい」と言っている中で、僕だけ、わが子が生まれた実感がないんですよ。女性は、おなかの中で10カ月間も一緒にいて、動きも共有したりしているから、気持ちもつながっている感覚が強いのではないかと思うんですけど、男性の場合は、なかなか生まれるまでに実感しづらいので、「わ、出てきた!」というのが正直な印象でした。だから、ある意味そこからが、父親としてのスタートでした。
初めは、戸惑いも大きかったですが、だんだんと父親の自覚が出てきたのは、子どもが立ち上がり始めるぐらいですかね。わが子というか、人として認識できるというか。「パパ」と呼ばれた瞬間に、スイッチが入った感覚もありました。
――息子さんたちの妊娠がわかったときはどんな気持ちでしたか?
高橋 なかなか赤ちゃんを授かることができなかったこともあって、最初にできたとわかったときは、本当にうれしかったです。ただ、どこかで戸惑いがありました。ちゃんと父親になれるのかと、喜びより不安のほうが大きかったです。こういうとき、女性のほうが肝がすわっているなと感じました。
今回、3人目を授かりましたが、私は姉との2人きょうだいなので、イメージとしては子どもは2人ぐらいかなと思っていたんです。3人きょうだいというのをまったく想像していなくて。でも、3人きょうだいというのは、妻の夢だったんです。これまで僕のむちゃな夢にずっとついてきてくれたので、今度は妻の夢をかなえてあげたいなと思いました。
子どもたちの好きなことに関連づけて、何事も楽しく学んでほしい
――パパになったことで、自身の考え方や生き方に変化はありましたか?
高橋 今までは、自分1人の寿命のことを考えて、平均的なら80年ぐらいの人生かな〜なんてイメージしていたんです。でも、子どもができると、子どもの分の80年間のことも想像できるじゃないですか。それがありがたいことに、僕たち夫婦には3人分あって、彼らの人生に触れていられて、かかわっていけるという喜びがすごく大きいです。
考え方も、まったく別物になりましたね。自分の夢だけじゃなくて、彼らにどんなものを見せたいか、どんなことを経験してほしいか。軸が自分じゃなくて「彼ら」になったぐらい。自分自身も、彼らのために成長したいと思うようにもなりました。
――高橋家流の教育ってありますか?
高橋 子どもたちには、とにかく毎日を楽しく過ごしてほしいと思っています。だから、彼らが興味を持ったことに関連づけて、いろいろなことを教えていきたいです。いま、長男と二男は鉱石がすごく好きで、家が石だらけなんですよ(笑)。この好きなことにからめて、「この石はどこから転がってきたの?川だよね。じゃあ、川は何でできているのかな?川は山からだよね。じゃあ、あの山は何ていう山だろうね。高尾山だね」という感じで問いかけをして、実際に高尾山に登りに行ったりしています。あとは、「高尾山からは富士山とスカイツリーが見えるね。スカイツリーの高さは何メートルでしょうか」「じゃあ、スカイツリーの高さから、東京タワーの高さを引いたら?」など、楽しみながら勉強もしていますね。
自分自身が、「勉強しろ」と言われるのが好きじゃなかったんですよ。だから、好きなことに関連づけて勉強できれば、楽しいかなと。
――息子さんたちは習い事もしていますか?
高橋 習い事ばかりになってしまうのは避けたいので、自分で教えられることは自分で教えるようにしています。とくにスポーツに関しては僕が教えられるので、自分で子どもたちに教えるようにしているんです。子どもたちは、最近はサッカーも好きなので、朝ごはんの前に一緒にサッカーをしたりしています。
――夫婦の関係性はどうですか?
高橋 妻とは、ほとんどけんかをしません。初めに、子どもたちの前ではけんかはしないようにしようねと話したんです。本当にささいなことで言い合うことはありますけど、あの程度じゃけんかとは言わないんじゃないかな。
子どもたちを授かるまでに、大変だったことがあって、妻が落ち込んでいた時期があったんです。そういうときにも、僕はできるだけ何も言わないようにしていました。こちらがアドバイスのつもりで言っても、妻がそう思っていなければ、きっと嫌な思いをするしぶつかると思うんですよね。とにかく、何も言わずにそばにいること、それしかないなと思っていました。基本、そのスタイルが多いです。
やっぱり、言葉にしてしまうとぶつかるんです。黙って、受け止めているのが一番いいんじゃないかなと思っています。
自分で作ったものを子どもたちに食べてもらう、その喜びを知ってほしい
――今回、スイーツ本を出版されましたが、何かきっかけはあるんですか?
高橋 スイーツ作りを始めたときに、ゆくゆくは本でも出せたら面白いよね〜なんて、冗談で話していたんです。でも正直、ここまで続くとは思っていなくて。始めてから1年半ぐらいたったときに事務所から連絡があって、「本にしませんか」という話をいただいたことを聞きました。
コンセプトとしては、「家族のために、パパが作れる簡単なスイーツ」ということで、レシピも掲載しています。どれも、シンプルで簡単に作れるものばかりです。
今回のスイーツ本の撮影で、子どもたちと初めて仕事をしました。あの2人が現場に行って大丈夫かな〜なんて心配しましたけど、意外としっかりこなしていましたね。卵割りもバッチリだったし。現場でも、子どもらしくいてくれて、雰囲気よく撮影できてよかったなと思います。
――パパたちへのメッセージはありますか?
高橋 スイーツでも、料理でもいいと思うんですけど、子どもたちに自分が作ったものを食べてもらうのはすごくいい機会ですよ。味の記憶って、子どもたちの中にずっと残ると思うんです。おふくろの味を忘れないような感じで。
実際に子どもたちも、「あのとき作ってくれたスイーツ、おいしかったよね」と覚えてくれるんです。だから、簡単なものでもいいから挑戦してみると、自分が作ったものを食べてもらう喜びを感じられると思います。
スイーツ作りって、意外と男性にも合ってるんじゃないかと思うんです。ママさんたちって、忙しくて料理など時短で作るときに、調味料を目分量で入れる人が多いですよね。料理だと、それでもおいしくできるんですけど、スイーツで同じことをやってしまうと、別物ができちゃうんですよ。スイーツ作りはきっちり計ることが大切なので、料理は苦手というパパにも向いているんじゃないかな・・・。スイーツ作り、パパたちに絶対おすすめです!
お話・写真提供/高橋光臣さん 取材・文/内田あり(都恋堂)、たまひよONLINE編集部
3人の男の子パパになった高橋さん。子どもたちの好きなことに関連づけて、楽しみながらいろいろなことを学べるような声かけをするのが、高橋さん流の子育て術だそうです。いつしか、自分の中の軸が、「自分」から「子どもたち」になっていき、その人生も一緒に楽しめることが、何よりの喜びだと言います。
高橋光臣さん(たかはしみつおみ)
PROFILE
俳優。1982年、大阪府出身。2005年、『ウォーターボーイズ 2005夏』で俳優デビュー。2006年、『轟轟戦隊ボウケンジャー』の明石暁/ボウケンレッド役で初主演を務める。主な出演作に『ノーサイド・ゲーム』、『DCU』、『フェルマーの料理』、大河ドラマ『光る君へ』などがある。2014年1月、俳優の宮下ともみさんと結婚し、2018年2月に長男、2020年2月に二男、2024年秋に第3子となる男の子が生まれ3人のパパに。趣味としてInstagramにあげていたスイーツ作りが、初の書籍化。
●記事の内容は2025年3月の情報で、現在と異なる場合があります。
『俺とスイーツ~家族のためのお菓子作り~』
2025年3月発売となる、自身初の書籍。高橋さんがこれまで作り続けてきたお菓子の中から、初心者でも挑戦できる37種類のレシピを厳選して掲載。家族に、友人に作りたくなるスイーツが詰まった1冊に。高橋光臣著/2090円(KADOKAWA)