しっかり寝ても眠いのはなぜ?病気の可能性も?! 原因と対策を解説
「寝ているはずなのに日中眠気を感じる」「朝起きてもスッキリしない」など睡眠トラブルに悩んでいるママやパパは多いのではないでしょうか? 日中の眠気は過眠症の兆候や症状の場合もありますが、睡眠の質が悪いせいで十分にからだが休まっていない場合もあります。今回は過眠について、その原因と対策を解説します。
過眠の原因
じつは、春は気候や環境の変化が大きく、これらが心身へ影響を与えるため過眠の症状がでやすい季節です。具体的な過眠の原因をみていきましょう。
ストレス
ストレスにより自律神経が乱れると、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりと睡眠の質に影響がでてしまいます。
春先は寒い日や暖かい日が繰り返しやってきます。朝晩と日中の気温差も大きいため、体温の調節をつかさどる自律神経に負担がかかる状態が続きがちです。
また、就職や異動、それにともなう引越しなど、環境の変化も多い時期。新しい場所での生活や人間関係の構築などにより、ストレスを感じる場面も多くあります。
このように、心身ともにストレスを感じる機会が多い春は、自律神経が乱れて睡眠の質が悪くなり、日中に眠気を感じやすくなるのです。(※1)
花粉症などのアレルギー症状
過眠の原因は花粉症などのアレルギー症状にもあるといわれています。ある調査では、花粉症患者の25%に日中の眠気がみられたという結果も報告されています。(※2)
花粉症のおもな症状である鼻づまりは、眠りの質を低下させる原因です。また、花粉症は頭痛やだるさ、熱っぽさなどの自覚症状があらわれることもあり、それらが眠気を誘発することもあります。
さらに、市販の花粉症の薬でよく見る抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状を抑える代わりに、副作用で眠気の症状があらわれることがあります。脳内のヒスタミンには集中力の維持や覚醒の働きがありますが、抗ヒスタミン薬はそれらの作用も抑えてしまうからです。
以上のことから、花粉症の症状がある人は、とくに日中に眠気を感じやすいことがわかります。
過眠に関連する病気は?
過眠は深刻な病気の症状である場合もあるため注意が必要です。
たとえば、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群などにより睡眠の質が低下することで、日中の眠気がでている可能性があります。
そのほか、発作的に眠り込んでしまう症状があれば、ナルコレプシーや突発性過眠症など、過眠症と呼ばれる病気かもしれません。
日中の眠気が続く場合や、コントロールのできない眠気がある場合は、早めに病院を受診し医師に相談しましょう。(※1)
睡眠トラブルの対策方法
睡眠の質を向上させることが過眠の対策の近道です。睡眠トラブルの対策方法を紹介するので、できそうなものから実践し、自分に合うものを見つけましょう。
光を利用して睡眠環境を整える
光には覚醒と睡眠のリズムを整える作用があります。そのため、浴びる光をうまく調整することは、睡眠トラブルの効果的な解決方法のひとつです。
睡眠の質と関係のあるメラトニンは、暗い環境になると脳内で分泌されます。しかし、寝室が明るすぎると、メラトニンの分泌が抑制され、寝つきの悪さや睡眠の質の低下につながってしまいます。
寝る前にスマホやタブレットなど光の強いものを操作するのも、睡眠の質に悪影響を与えるので、できるだけ控えましょう。(※3)
また、朝はカーテンを開けて朝日を浴びることが大切です。朝日を浴びることで体内時計が安定し、メラトニンの材料となるセロトニンの分泌も促進されます。
寝室の照明を調整したり朝日を浴びたりと、光の力を使って睡眠の質を向上させましょう。
香りを活用する
香りには自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
とくにおすすめなのはラベンダーの香りです。ラベンダーの香りのもととなる「リナロール」や「酢酸リナレル」という成分には、安眠作用やリラックス効果があります。寝室でラベンダーの香りのアロマを焚けば、精神を落ち着かせる空間を作ることができます。
そのほか、カモミールの香りもおすすめです。カモミールに含まれる「アピゲニン」という成分には、抗炎症作用や鎮静作用があります。寝る前にカモミールティーを飲めば、胃のむかつきや精神不安を解消してくれるので、落ちついた状態で眠りにつくことができるでしょう。(※4)
適度に運動する
適度な運動も睡眠の質を向上させるのに効果的です。日中にからだを動かすことでからだがほどよく疲弊し、眠気を感じやすくなります。
運動といってもウォーキングやジョギングなどの軽度な運動でOKです。運動する時間がない人は、通勤時に一駅分歩く、近い距離なら車を使わず歩いて向かうなど、からだを動かす機会を増やすだけでも効果が見込めます。
大切なのは習慣づけることです。無理のないレベル・頻度で実践しましょう。
過眠対策のカギは質のよい睡眠
日中の眠気の原因は睡眠の質の低下にあることがほとんどです。とくに気候や環境の変化が激しい春は、自律神経が乱れやすく睡眠トラブルを感じやすい季節。そのため、寝室の環境や日々の生活を整えることが大切です。自分に合った対策を見つけてぜひ今日から実践してみましょう。
<参考文献>
PROFILE
医師
木村 眞樹子(きむらまきこ)
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。
自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。