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乳歯が生えるのが遅かった長女。小児歯科医の母は、離乳食の進め方に不安ととまどいが【体験談】

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杉原先生の娘さん。生後6カ月で10倍がゆを食べています。

東池袋すぎはら歯科+Kids副院長で口育士の杉原麻美先生は、5歳の女の子の母親でもあります。娘さんは歯が生え始めるのが遅くて、杉原先生は離乳食の進め方に悩んだ時期もあったと言います。
「歯の生え始めには個人差があるって知っていたのに、当時はとてもあせりました」と、杉原先生。歯の生え具合と離乳食の関係について聞きました。

歯が生えてこなくて、歯科医師をしていても不安に

絵本を通して、歯に触れる機会を。

杉原先生の娘さんは歯が生え始めるのが遅かったとのこと。

――娘さんの歯について教えてください。

杉原先生(以下敬称略) 娘の歯が生え始めたのは1歳3カ月ごろです。歯が生える時期は個人差がありますが、一般的には
生後7カ月ごろから 前歯が上下4本に
生後11カ月ごろから 前歯が上下8本に
1歳3カ月ごろから 奥歯が上下4本に
2歳4カ月ごろから 奥歯が上下8本に
生えると言われています。
しかし遅い子だと、1年ぐらい差があることもあります。
1歳半ごろから生え始め3歳半ごろ乳歯が生えそろう、ということもあるんです。

私は小児歯科医なので、歯の生え始める時期は個人差があることはもちろんわかっていたのですが、初めての子育てだった娘の歯については「それにしても歯が生えるのが遅すぎないかな?」と、とても不安でした。
私が働く小児歯科に娘を連れて行き、レントゲンを撮って乳歯の芽となる歯胚(しはい)があるか確認したこともあります。

コロナ禍で離乳食の相談ができず、通信講座で子どもの食について学ぶ

離乳食を始めたころは、スプーンを舌で押し出していたことも。

杉原先生は、2020年離乳食・幼児食コーディネーターの民間資格を取得しています。

――離乳食・幼児食コーディネーターの資格を取得しようと思った理由を教えてください。

杉原 妊娠中や娘を出産したころはコロナ禍で、母親学級などが中止になっていました。娘の歯が生え始めるのが遅く、離乳食の進め方について聞きたいことがあっても相談できる場がなかったんです。そのため通信講座で学び、離乳食・幼児食コーディネーターの資格を取得しようと思ったんです。
離乳食・幼児食コーディネーターの講座では、子どもの月齢・年齢ごとの食材の選び方や調理のコツ、好き嫌いの改善法、乳幼児の食と身体発達の基礎知識などを学びます。
私は、この資格を取得したことで、娘を育てていく中で、離乳食について改めて考えることができるようになりました。

――たとえば、どのようなことでしょうか。

杉原 離乳食は一般的に生後5~6カ月ごろからスタートすると言われています。離乳食の進め方が書かれている育児書などもその表記です。なので私も、娘の離乳食を生後5カ月からスタートしました。
しかし、初めはスプーンを口に入れようとすると、舌で押し返すんです。舌挺出反射(ぜつていしゅつはんしゃ)といわれる原始反射がまだ残っていたんです。

舌挺出反射とは、口の中に固形物やスプーンなどが入ると、赤ちゃんが反射的に舌でそれを押し出す動きです。娘にはその反射がまだ残っていたので、離乳食を少しお休みして、口の中にスプーンなどが入る感覚に慣れるように、歯ぐきを中心に口の中のマッサージをすることにしました。

自分の手をきれいに洗ってから、娘の歯ぐきを前→奥にかけて、やさしく触ります。口のマッサージを続けることで、娘はスプーンを押し返さなくなりました。離乳食を再開したのは、生後6カ月になる少し前からです。

歯が生えていないため、離乳食を丸飲みしたり、ベ~っと出すことも

にんじんをやわらかく煮たりして、手づかみ食べにも挑戦。

杉原先生は、娘さんの歯が生え始めるのが遅かったので、離乳食の進め方も工夫したそうです。

――娘さんの離乳食の進め方について教えてください。

杉原 離乳食は、赤ちゃんの成長に合わせて、離乳初期・ごっくん期(生後5~6カ月ごろ)、離乳中期・もぐもぐ期(生後7~8カ月ごろ)、離乳後期・かみかみ期(生後9~11カ月ごろ)、離乳完了期・ぱくぱく期(1歳~1歳6カ月ごろ)と進むのが基本です。
しかし娘は、歯が生え始めたのが1歳3カ月ごろと遅かったため、生後9カ月を過ぎてもかみかみができずに、丸飲みしたり、ベ~と出してしまっていました。

娘は離乳食を食べることは大好きだったので、食べられる食材を増やしつつ、1歳3カ月で歯が生えるまでは、もぐもぐ期ぐらいのかたさ(舌と上あごでラクにつぶせる絹ごし豆腐ぐらいのかたさ)を目安にして、離乳食を作っていました。

生後10カ月ごろになってからは、バナナをスティック状に切って持たせたり、スティック状に切ったにんじんや大根をだしでやわらかく煮て、手づかみ食べを積極的にさせました。

また1歳になって、牛赤身肉を食べさせられるようになっても、歯が生えていないのでかみ切れないんです。
そのため娘には、歯が生えてかみ切れるようになるまでは、肉類はひき肉を使っていました。

離乳食を進めるときは、歯の生え方も考慮して

1歳9カ月のころ。フォークを使って、自分から積極的に食べるように。

杉原先生は、自身の経験からも「離乳食は月齢だけではなく、赤ちゃんの歯の生え方も考慮して進めてほしい」と言います。

――離乳食は、月齢だけを目安に進めないほうがいいのでしょうか。

杉原 歯が生えていないと、結局丸飲みしたり、ベ~と出してしまうんです。そのため、次の進め方を目安にしてください。ただし歯が生える時期は個人差があり、あくまで目安となります。
歯なし期=離乳初期・ごっくん期(生後5~6カ月ごろ)
前歯が上下4本期=離乳中期・もぐもぐ期(生後7~8カ月ごろ)
前歯が上下8本期=離乳後期・かみかみ期(生後9~11カ月ごろ)
奥歯が上下4本期=離乳完了期・ぱくぱく期(1歳~1歳6カ月ごろ)

歯が生えるのがゆっくりな子には、月齢だけを見て離乳食を進めるのではなく、その子の歯の成長に合った食材の大きさやかたさにしましょう。
また食物アレルギーを防ぐには、アレルギーが心配される食材の食べさせ始めをママ・パパの判断で遅らせないということがあります。そうした点からも食材の種類は、歯の生え方とは関係なく、月齢に応じて増やしていってください。

離乳食が始まっても、歯が生えてこないときは、小児歯科で離乳食の進め方を相談してもいいでしょう。

前歯でかじり取り、奥歯でもぐもぐ・かみかみすることが大切

娘さんにも、もぐもぐ・かみかみするメニューを中心に。

歯並びをよくするには、あごの発達を促すことがポイント。授乳や離乳食でも、あごの発達は促せます。

――子どもの歯並びをよくするために、乳幼児期で注意したほうがいいことはありますか。

杉原 歯並びをよくするために大切なのは、あごの発達を促すことです。たとえばもぐもぐ、かみかみして離乳食を食べることも、その1つです。
歯が生えていないからといって、いつまでも離乳初期のようなすりつぶしたメニューを与え続けるのではなく、たとえばもぐもぐ、かみかみできるかたさのつくね団子や蒸しパン、おやきなどを作って食べさせましょう。
もぐもぐ、かみかみして乳児期からあごの発達を促すことが、歯並びをよくする土台を作ります。

また哺乳びんの乳首は、逆さまにしたときにミルクがポタポタとこぼれないものをおすすめします。すぐにミルクが出てくる乳首は、赤ちゃんにとっては飲みやすいのですが、口腔機能は育ちにくいです。

ほかにはストローやスパウトよりも、コップ飲みができるように練習したほうがいいです。ストローやスパウトで水分補給を続けると、低位舌(ていいぜつ)といって、舌の位置が低い状態になりやすく、えん下がうまくできない原因にもつながり、歯並びにも影響しやすいです。そのためコップ飲みを積極的に練習させましょう。

お話・写真提供/杉原麻美先生 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

歯が生え始める時期は個人差がありますが、杉原先生は「1歳になっても歯が生えないときは、念のため小児歯科で相談してください」と言います。

●記事の内容は2025年9月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

杉原麻美先生(すぎはら あみ)

PROFILE
東池袋すぎはら歯科+kids副院長、小児歯科医、離乳食・幼児食コーディネーター、口育士。 2015年日本大学歯学部卒業後、同大学附属歯科病院小児歯科学講座に入局。子どもや障がいのある方の歯科疾患、口腔機能について学ぶ。数軒の歯科医院勤務を経て、2024年より現職。1児の母。

『歯並びをよくする離乳食・幼児食』

ママ歯科医が教える、0歳から家庭でできる歯並びケア。授乳のしかたや哺乳びんの選び方、離乳食・幼児食のメニュー、食べさせ方などを通して、歯並びをよくするコツを紹介。発売2カ月で3刷重版! 杉原麻美著/1650円(日本文芸社)

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