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俳優・宮沢氷魚、絵本の翻訳に初挑戦!「幼いころ母に読んでもらった、絵本は今でも鮮明に覚えている」

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絵本出版記念のトークイベントでの宮沢さん。(公式Instagramより)

柔らかな雰囲気と透明感を持ち、スクリーンでは圧倒的存在感を放つ俳優・宮沢氷魚さん。日本語と英語のバイリンガルでもある宮沢さんが、この度初めて絵本の翻訳にチャレンジしました。宮沢さんに幼少期の絵本の思い出や、今作にこめた思いについて聞きました。全2回のインタビューの前編です。

原文のリズミカルな表現の翻訳に苦労した

――絵本の翻訳は初めてだったそうです。このお話があったときの気持ちを教えてください。

宮沢さん(以下敬称略) 純粋にすごくうれしかったです。僕は子どものころから日本語と英語の両方を話していましたし、もし今の俳優の仕事をしていなかったら翻訳家や通訳の道に進んでいたかもしれないと考えたこともあったんです。
レイチェルさんが物語を作り、ジムさんが絵を描いた作品に参加できることは本当にうれしいことでした。自分が31年間生きてつちかってきた英語と日本語の力を役立てることができた実感もありました。

――翻訳作業はどのくらいの時間がかかったのでしょうか?

宮沢 初めてのことでどこから始めればいいかもわからず、けっこうかかったと思います。原文がとてもすてきなのでまずは直訳してみました。でも、ただ直訳したのでは僕が翻訳する意味がないということに気づきました。

そこで、自分ならこの言葉をどう表現するか、言い回しをどうするかというニュアンスを加えたバージョンもいくつも作ってみました。締め切りの日までに、何度もやり直していくつもバリエーションを試してみたんです。
その作業を繰り返しながら、言葉を1つ変えるだけでニュアンスや伝わり方がまったく変わるということを、深く実感しました。

――翻訳はどのようなタイミングで取り組んだのでしょうか?

宮沢 ずっと家で作業をしているとイマジネーションが限界を迎えることもあるので、近所のコインランドリーに行って布団を洗濯・乾燥する待ち時間に翻訳したり、公園に行って外の空気を吸いながら翻訳したり・・・。そういう挑戦もしてみました。場所を変えてみると、新しい発想が生まれるんですよね。そんな体験も新鮮でおもしろかったです。

――絵本の翻訳で苦労したところはありますか?

宮沢 英語の原文は、ライム(韻を踏む表現)が使われていたり、語尾が次の文にかかっていたりと、リズミカルなテンポ感があるのですが、それを日本語に置き換えることにはとても苦労しました。言語の構造が違う分、うまく表現できない部分が多かったんです。

そこで、「ギュウギュウ」や「ゆらゆら」などオノマトペを工夫して取り入れて、子どもたちが何度も繰り返して読みたくなるようなしかけを考えました。編集者さんとも「この言葉がいいんじゃないか」「この表現のほうが伝わるんじゃないか」と何度も話し合いながら、チームで作り上げた作品です。

――海の生き物たちの絵もとてもすてきですよね。

宮沢 すばらしい絵から伝わるものを補足するような形で翻訳したい、ということは最初から意識していたことです。絵の魅力を十分に楽しめるよう、文章の情報が多すぎないようにしました。

翻訳した文が入ったレイアウトをデザイナーさんに見せてもらい、絵とのバランスを見て文字を小さくしたり、改行してすっきりさせたり、強調した文字のサイズを調整したりといった作業もしました。レイアウトにも自分の意見を反映させてもらえたのはありがたかったです。

絵本を読む親子時間は、子どもの心にきっと深く刻まれる

宮沢さん2歳のころ。

――宮沢さんは両親に絵本を読み聞かせてもらった記憶はありますか?

宮沢 はい。両親は絵本をたくさん読んでくれました。英語の本が多くて、とくに『はらぺこあおむし』が有名なエリック・カールさんの作品が印象に残っています。

大好きだったのはエリック・カールの『Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?』(邦題:「くまさんくまさんなにみてるの?」)です。「くまさん、くまさん、何が見える?」という問いかけに、「白い犬が見えるよ」と答えるような、繰り返しのリズムが楽しい絵本です。
それ以外ではセサミストリートの絵本とか・・・、母のひざの上に座って読んでもらった光景は、今も鮮明に覚えています。

――どんなタイミングで読んでもらうことが多かったですか?

宮沢 寝る前が多かったですね。夜に限らず、お昼寝の前など眠そうなタイミングで絵本を読んで、ミルクを飲んで寝かせるというのが、母のルーティンだったようです。

――今回の絵本『ほしがりやのクジラ』を、どんなふうに楽しんでほしいですか?

宮沢 絵本は親子の距離がいちばんが近くなる瞬間の1つだと思います。肌と肌が触れ合いながら同じ物語を共有する時間は、とても大切な親子のコミュニケーションです。
その記憶はきっと子どもの心に深く刻まれるはずです。大人になって絵本を手に取ったとき「これ、昔読んでもらったな」と思い出すことってありますよね。
絵本って何十回、何百回と読むことになりますから、やっぱり自分が楽しく読むことがいちばん大事だと思っています。もちろん、子どもを楽しませたいという気持ちはあると思いますが、そればかりでは疲れてしまうこともありますよね。

疲れているときは、あえて疲れた感じで読んでみたり、逆にハイテンションで読んでみたり、変なイントネーションで読んでみたりと、自分自身も楽しめるように工夫して読むようにしていけば、毎日同じ絵本を読むことも苦にならなくなるのではないかと思うんです。

絵本は子どもが楽しめることはもちろん、大人になってからも感じ方が変わるし、また読み返したくなるもの。『ほしがりやのクジラ』も、そんな一生の宝物になる作品であってほしいと願っています。

お話・写真提供/宮沢氷魚さん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

▼続きを読む<関連記事>後編

子どものころの好きな絵本について話すとき、邦題がわからず「『Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?』という本なんですけど・・・」と絵本の一節を読んでくれた宮沢さん。母親との思い出を語る優しげな声と表情が印象的でした。

宮沢氷魚さん(みやざわひお)

PROFILE
1994年4月24日生まれ。アメリカ・カリフォルニア州出身。2015年モデルデビュー、2017年ドラマ『コウノドリ』第2シリーズで俳優デビュー。以後、ドラマ 『偽装不倫』、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』ほか、話題作に出演し続ける。初主演映画『his』では、4つの新人男優賞を受賞、映画『騙し絵の牙』では、第45回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞、映画『エゴイスト』では、第16回アジア・フィルム・アワード助演男優賞受賞など、数々の賞を受賞。2025年NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では田沼意知役を演じた。主演映画「佐藤さんと佐藤さん」が11月28日に公開となる。

宮沢氷魚さんの公式サイト

宮沢氷魚さんのInstagram

『ほしがりやのクジラ』

主人公のクジラ・ハンフリーは自分の心を満たすものを探して広い海を冒険する。ハンフリーが本当に欲しかったものに気づく感動の物語。レイチェル・ブライト・文、ジム・フィールド・絵、宮沢氷魚・訳/1760円(トゥーヴァージンズ)

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