想像もしなかった一卵性三つ子を妊娠。「出産できる病院が見つからない…」突然の破水とトラブルも多数経験!【体験談】
神奈川県在住のゆきさんは、多胎児の中でも珍しい“一卵性の三つ子”を育てるママ。
パパが一卵性の双子ということもあり、「もしかしたら双子を妊娠するかも」という思いは以前からあったそうですが、まさか“三つ子”を授かるとは思ってもみなかったといいます。
今回は、そんなゆきさんに妊娠から現在に至るまでのお話を聞きました。
全2回でお届けするインタビュー、前編では「妊娠がわかったときの驚き・不安」から「突然の破水で迎えた出産」までをお届けします。
三つ子妊娠だとわかり、一気に不安に…
――三つ子がわかったときのエピソードを教えてください。
ゆき 子どもが欲しくて不妊治療をしていたときに、妊娠がわかったんです。はじめは「双子ですね」と言われて。体外受精だったのですが、戻した受精卵は1つだけ。どうやらその1つが分裂したようで、もうびっくりでした。
でも実は、夫が一卵性の双子なんです。だから「もしかしてうちも双子になるかも?」なんて気持ちが、心のどこかにはあったのですが、まさか本当になるとは…。双子ってかわいいイメージしかなかったから、とにかく夫婦で浮かれていました。リスクがあることは知っていたけれど、純粋にうれしかったんです。
でも、その浮かれ気分が続いたのはほんの1週間だけでした。
次の健診で先生がエコーを見ながら「1人目、2人目…」と言ったあとに、「3人目がいた」と言われたんです。
――え? 3人目?
頭の中が一瞬で真っ白になりました。予想もしていない言葉でとにかく衝撃で。受精卵を1つしか戻していないのにそんなことがあるの?って。
エコーが終わり、診察室に呼ばれるまでの間、待合室でひたすらスマホ検索をしました。出てくるのは、母体や胎児のリスクや減胎手術(多胎妊娠のリスク軽減のため、一部の胎児をあらかじめ手術で減らすこと)などの情報ばかり。見れば見るほど不安が大きくなっていきました。
診察室に入ると、先生からはやはり三つ子だということ、多胎を受け入れる病院を探す必要があることを淡々と説明されました。そのときは我慢していましたが、診察が終わって病院を出た瞬間に、緊張の糸が切れたのか泣いてしまって…。
そのまま夫にも電話をしたんですが、電話口で私が泣きじゃくっていたので、その日はまったく仕事が手につかなかったそうです。
今、振り返ってもあのときの気持ちは、不安が100%。「ちゃんと無事に産めるのかな」という思いでいっぱいでした。
産院もなかなか決まらず、不安な日々を過ごす
――転院先はスムーズに決まりましたか?
ゆき いえ、まったくスムーズではなかったですね。何件も電話をかけて問い合わせたのですが、なかなか受け入れてもらえなくて…。
ようやく初診の予約が取れた病院に行ったら「うちでは出産できません」と言われてしまい、ロビーでぼうぜんとして、泣いてしまったこともありました。
最終的に、家から1時間半ほどかかる国立の病院でようやく受け入れてもらえることになったんです。
――それは大変でしたね。
ゆき はい。「この子たちを産もう」と覚悟を決めたのに、産む場所さえ見つからないのかと不安でした。
――先ほど「減胎手術」の言葉が出ましたが、検討はされましたか?
ゆき いいえ。無事に決まったその病院には多胎妊娠を専門的に診ている先生がいたんです。その先生が主治医となってくださったのですが、一卵性の三つ子の場合、減胎手術は推奨されないとの説明を受けました。
でも、もし選択ができたとしても、選ばなかったと思います。ずっと子どもを望んで、不妊治療を頑張り、やっとの思いで授かった命です。そのうちのだれか1人を…なんて、とても考えられませんでした。
つわり時にハマったものが今の子どもたちの大好物に!?
――つわりはいかがでしたか?
ゆき きつかったです。多胎の場合、つわりの症状が強めに出ることが多いそうです。主治医から「三つ子だから軽く済むことはないと思うよ」と言われていましたが、そのとおりになりました。
食べづわりも吐きづわりもあって、点滴に通う日も。2〜3週間で3〜4kgほど体重が落ちてしまいました。
不思議なのは、つわりを機にそれまであまり得意ではなかったトマトソースが急に大好きになったこと。
実は今、子どもたちは3人ともトマトソースが大好物なんです!「もしかしたらあのときのことと関係あるのかな?」なんて思いますね(笑)。私自身もすっかりトマトソースが好きになりました!
――ゆきさん自身もトマトソースが好きになったんですね!ちなみに当時はお仕事をされていましたか?
ゆき はい。そもそも不妊治療をする段階で、職場の皆さんに迷惑をかける可能性があったので、相談をしていました。
幸い、理解のある職場だったので、すごく応援してもらうことができ、妊娠したこともすぐに報告しました。
つわりのころも職場には通っていたのですが、ピークのときは、出勤してもトイレから出られずで使いものにならなかったので、お休みをいただいたこともありました。
夫の全面的なサポートのおかげで気持ちが前向きに
――当時、パパはどのような関わりをされていましたか?
ゆき 出産予定の病院が車で1時間半ほどかかる場所だったので、通院が大変だったのですが、夫が仕事の都合をつけて、毎回送迎してくれました。本当に心強かったし、助かりましたね。
また、三つ子妊娠がわかって、不安の中で「それでもこの子たちを産もう」と覚悟を決めたときに、「(当時住んでいた)東京から神奈川の実家近くに引っ越したい」と伝えたら、夫は職場が遠くなるのに、何の迷いもなく「そうしよう」と賛同してくれたんです。
妊娠中、夫が全面的にサポートしてくれたおかげで、不安だらけだった気持ちも少しずつ落ち着き、しだいに子どもたちが生まれる楽しみのほうが大きくなっていきました。
妊娠31週のときに突然の破水から緊急帝王切開に!
――多胎妊娠だと事前に入院になることが多いと思います。ゆきさんはいつから入院になりましたか?
ゆき 28週です。病院がかなり遠く、普段、夫の帰りも遅くて1人でいるのが不安だったので、先生にこちらから入院したいと伝えました。
――それまで切迫早産(せっぱくそうざん)の傾向などはありましたか?
ゆき まったくなかったです。多胎妊娠だと子宮収縮を抑えるために点滴することも多いと思いますが、それもせず。
ただ、つわりが終わったくらいからおなかがどんどん出てきて、苦しかったのと、おなかの皮膚が急に伸びたせいか、痒(かゆ)くてしかたがなかったですね。
あと、足がむくんで、パンパンに腫(は)れ、痛みや痺(しび)れがあるのがつらかったですね。なので、よく眠れず、出産前は1時間に1回くらいのペースで起きていました。
――三つ子妊娠だと、ママの体への負担が大きいですよね。出産はいつされたんですか?
ゆき 実は31週のときに破水してしまったんです。まったく思ってもいないタイミングで、主治医の先生もまだ生まれると思ってなかったようです。その日は当直の先生に緊急帝王切開を担当してもらうこととなりました。
夫もまさかという感じで、夜中1時ごろに電話がかかってきたと思ったら「今すぐ出産です」と伝えられたみたいで…。コロナ下による制限もあり、「病院には朝に来てくれ」と言われたらしく、その日は人生で初めて一睡もできなかったと話していましたね。
出産が終わったあとは安堵して、とにかく眠った
――三つ子妊娠で突然破水からの緊急帝王切開はなかなか緊迫感のある状況だと思います。破水はすぐに気づかれたんですか?
ゆき 最初はまったく気づきませんでした。日中に「ちょろっ」と何か出たような感覚があって、助産師さんに相談したら「尿もれかもしれないね」と言われたんです。
そうなんだと思って、母に尿もれパッドを買って来てもらいました。
でも夜中になって、今度は「ドバーッ」と明らかに違う感覚があって…。トイレで確認して、「これは尿もれじゃない!」と思い、そのままナースステーションへ直行しました。
――すごく冷静ですね!
ゆき いえいえ、きっと家にいたらパニックになっていたと思います。入院していたおかげで、すぐに対応してもらえて本当によかったです。
――三つ子ちゃんが生まれてきたときの様子はどのような感じでしたか?
ゆき 「1人目、生まれました」「2人目、生まれました」「3人目、生まれました」という声が次々に聞こえて、あっという間の出来事でした。
感動と安堵(あんど)で胸がいっぱいで、当時の写真を見ると自分の目がうるんでいます。
もちろん、この先子どもたちに何があるかわからない不安もありましたが、それよりも「出産まで来られた」「3人とも生まれて来てくれた」という安堵感が大きかったです。
そのあとは泥のように眠ってしまいました。ずっとむくみによる痛みで眠れなかったのもあって、久しぶりにぐっすり眠れました。
お話・写真提供/ゆきさん 取材・文/江原めぐみ、たまひよONLINE編集部
「産休中にお友だちと優雅にランチ…なんて夢のまた夢でしたね」と笑うゆきさん。最初の不安や戸惑いを夫婦で乗り越え、3つの小さな命を守って頑張ってきた姿が印象的でした。
そしてここからは三つ子との新生活がスタート!後編では、その“3倍にぎやか”な育児エピソードをお届けします。
ゆきさん
PROFILE
神奈川県在住。3歳になった一卵性の女の子の三つ子(さなちゃん、みなちゃん、れなちゃん)を育てるママ。出産を機に一眼レフを購入し、カメラが趣味に。Instagramではかわいい三つ子写真を公開中!
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2025年11月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。


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