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怖い感染症から子どもの命を守ろう!「麻疹」「風疹」の排除国である日本で、ワクチン接種が大切な理由とは?【小児科医】

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●写真はイメージです 写真提供/ピクスタ

「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#54は、麻疹・風疹についての大切な情報です。日本は世界保健機関(WHO)から2015年3月に麻疹の排除認定がされ、2025年9月に風疹の排除認定がされました。
太田先生は「麻疹の排除認定から風疹の排除認定までは10年かかってやっと成しとげたこと。これからは認定を続ける努力をする必要がある」と話します。
連載の最終回は、麻疹・風疹排除認定維持のための今後の対策についてです。

麻疹の排除認定されたのに、その後のワクチンの接種率低下で、認定が取り消された国も

麻疹排除国になるには、どのような条件を満たさなければいけないのでしょうか。
ワクチン接種率が高いだけでは認定されません。普段の感染管理の徹底も必要です。
2000年までに麻疹排除国に認定されていたのに、再び患者が増えて認定を取り消された国も出ています。

普段の感染管理の大切さを理解するための印象的な例として、2002年に日本でサッカーワールドカップが開催されたときの逸話を紹介します。
排除認定されている参加国では、「日本ではまだ麻疹が出ているそうだ。日本でかからないため細心の注意を払おう」と指示が出たと知って、医師として恥ずかしい思いをしました。また排除認定国では、患者が1人出たら、接触者追跡調査をして感染拡大抑制をするのだと聞いて、そこまでしないと排除認定されないのかと驚いたものです。

接触者追跡調査とは、患者が接触したすべての人の罹患歴・ワクチン歴の確認はもとより、体調や症状を追跡するもので、患者と同じ飛行機や、同じ列車に乗った人の追跡もするので、対象者が1000人を超えることもあるそうです。
今は日本でも同じ対応ができるようになりましたが・・・。

麻疹・風疹の急性期の症状を診察したことがない医師の増加の問題も

ワクチンの普及により、麻疹も風疹も減ったのはいいのですが、それは麻疹、風疹発症者の急性期症状を診たことがない医師の増加にもつながります。
日本国内でもすでに10年以上患者が出ていない地域もあります。そうなると診断までに時間がかかるし、普段の危機意識が低下してしまいます。とくに、空気感染する麻疹は、一刻も早く診断して感染拡大予防対策をしないと、あっという間に患者が増えてしまいます。
排除認定国では、輸入麻疹・風疹を見逃さないことも大事です。
海外の流行状況の把握、流行国からの入国者・帰国者が発熱しているときには、麻疹と風疹の可能性を念頭に置く必要があります。体調が悪い本人を含め周囲の人が意識することが大事ですが、もちろん医療者も気をゆるめてはいけません。

感染力が強く重症化する麻疹は、「命定め」の病気といわれた

江戸時代の麻疹の流行時には、多くの死者が出ました。かかってもなすすべがなく、麻疹を追い払う浮世絵を貼って流行が過ぎ去るのを待つ、かかっても軽くすむように祈る、このくらいしかできませんでした。そのために『命定め』の病気だとも言われていました。

昭和の時代になってもワクチンができるまでは、ほぼ同じ状況でした。
麻疹ワクチンは1978年に定期接種化されましたが、幼児の接種率はすぐには上がらず、流行するたびに、まだ接種対象にならない乳児が巻き込まれて感染し、死者が出るという事態も。ワクチン未接種で罹患すると、年齢を問わず肺炎や膿胸(のうきょう)、中には脳炎になり、重症だと治療のかいなく死亡するという状況でした。

2003年ごろから「1歳のお誕生日を迎えたら麻疹ワクチンを」のキャンペーン、そしてMRワクチンの登場

2003年ごろから、小児科医を中心にして始まった「1歳のお誕生日を迎えたらすぐに麻疹ワクチンを」という推奨キャンペーンが、日本中に広がって、麻疹ゼロを目指す機運も上がりました。大流行が消えて、まだ20年しか経っていません。
現在ではなくなりましたが、弱者が接種を受けにくい規則もありました。1度けいれんを起こしたことがある乳幼児は1年間は接種不可だったのです。接種がけいれんの引き金になることが怖かったのでしょうか。ワクチン接種の有用性・有効性を理解して、何を優先すべきか、乗り越えないといけないハードルのひとつでした。

2006年からは、麻疹と風疹の混合ワクチンであるMRワクチンの接種がスタート。さらに、定期接種も2回接種になり、長期に免疫が維持できるようになりました。そして、2015年には麻疹排除認定国となり、MRワクチンの接種開始から20年、1歳から成人まで、すべての年齢の免疫が上がり、麻疹排除を続けています。

これからも接種率を維持しながら、輸入麻疹の対策を

排除認定されても世界から麻疹はなくなったわけではないので、排除認定国での流行はなくても、他国の流行地から持ち込まれる輸入麻疹は防げていません。さらに、科学的根拠のない偽情報を信じたり、コロナ禍の影響で接種環境が悪化し、接種率が下がって患者数が増えている地域や国もあります。

欧州では、英国、ギリシャ、チェコ、アルバニアは、コロナ禍以前に認定を取り消されています。
最新の動きとしては、2025年にカナダの取り消しが決定。2016年から米州地域全域(北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカの南北アメリカ大陸全域と、カリブ海地域を含む広大な地域の総称)で「麻疹排除地域」だと公言してきたステータスが消滅していましました。

そしてなんと、アメリカでは2025年には輸入麻疹で1500人を超える患者が出たと報じられています。1500人の大半はワクチン未接種者だそうで、背景には接種率の低下があります。

三日ばしかといわれる風疹は、軽症か!?

風疹は空気感染する麻疹ほど感染力は強くなく、軽症者が多いですが、運が悪いと脳炎になり命を落とすこともあります。一番つらいのは妊娠中に罹患して胎児も感染して先天性風疹症候群(CRS/目、耳、心臓などにさまざまな障害をもつ)の児が生まれてくることです。

風疹もワクチンで予防できます。今はMRワクチンが接種できるので、1歳以上の子どもの発症はほとんどなく、近年は小児科医が診ることはほとんどありません。発症者は成人が主体で、内科への受診が多くなります。

日本では1964年沖縄で風疹が大流行し、多くのCRSベビーが生まれました。そのときはまだワクチンがありませんでした。1969年に風疹ワクチンが認可され、1977年からはワクチン接種(中学2年生の女子対象)がスタート。
しかし、それだけではCRSの排除には至りませんでした。風疹そのものの排除には、男女を問わず全員への接種が必要でした。わが国では男性にワクチン未接種世代が残されていましたが、2019年に風疹第五期接種が始まり、やっと昨年、風疹も排除認定されました。

現在、妊娠した女性は産科で風疹抗体価チェックを受けますが、2回のワクチン接種を済ませていても、CRSベビー発生の危険性が高まるくらいに免疫力が下がっている方がいることもわかってきました。今後も排除認定を維持して、発症しない環境づくりが欠かせません。

麻疹・風疹の排除認定を維持するために、MRワクチンの接種率のキープを

せっかく手に入れた、麻疹・風疹排除認定をもらうためには、「1歳のお誕生日を迎えたらすぐにMRワクチンを」という推奨キャンペーンはとても効果的でした。しかし、今後接種率が下がる事態が発生すると、国内での患者発生が増えてきます。接種を受けていない人は発症します。未接種の人にとっては、今も変わらず麻疹は『命定め』ですし、風疹罹患は、まわりにCRSベビー誕生のきっかけになることを肝に銘じておく必要があります。

MRワクチン接種率はいつまでも95%を保つよう気を引き締めておかねばなりません。

これからは、接種機会をより具体的に、
「1歳のお誕生日を迎えたら1カ月以内にMRワクチンを」と
「年長さんになったら夏休みまでに2回目のMRワクチンを」と
強めに伝えていけるといいと感じています。

医療者としても、普段から母子健康手帳のワクチン接種歴チェックをして、接種もれがないように、最適な時期での接種に貢献できるよう、日々の診療に当たろうと考えています。

文・監修/太田文夫先生 構成/たまひよONLINE編集部

2019年5月にスタートした「小児科医 太田文夫先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」の連載は、第54回をもっていったん終了となります。予防接種・ワクチンの情報を中心に、育児中のママ・パパたちに知っておいてほしい情報が詰まっています。

●記事の内容は2026年1月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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